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ソフト99 Research Memo(10):顧客変化を先取りした価値創出と事業領域の拡張により成長を目指す方針

注目トピックス 日本株
■ソフト99コーポレーション<4464>の今後の見通し

3. 中期経営計画について
(1) 第6次中期経営計画の概要
2021年3月期からスタートした第6次中期経営計画では、前中期経営計画で進めてきた新たな製品・サービス開発の継続に加えて、「Overtake!!(顧客変化を追い越せ!!)」をテーマとし、顧客(ユーザー)変化に対応するのではなく、顧客(ユーザー)の変化を先取りした価値の創出によって、事業領域の拡張と業容の拡大を目指していくこと、また、既存技術・ノウハウの横展開に加えて、新たな技術・ノウハウを取り込み、“他にない”新しい価値と事業の創出に取り組んでいくことを基本方針として掲げた。中期経営計画策定がコロナ禍前であったため、策定当時の市場環境変化の前提と一部方向性が異なっているが(カーシェアリングの普及からマイカー保有等)、市場環境の変化によって獲得した新たな顧客層の定着化に取り組み、新商品の開発を積極化することでさらに販売を拡大していく戦略だ。

経営数値目標としては、最終年度となる2023年3月期に、売上高で27,100百万円、営業利益で2,850百万円、ROICで6.1%を掲げていたが、営業利益とROICに関しては初年度で超過しており、2022年3月期には売上高、親会社株主に帰属する当期純利益についても1年前倒しで達成する見通しとなっている。足元の状況については極めて順調だが、コロナ禍による今後の市場への影響が見通し難いため、最終年度の目標値については据え置いている。

(2) 事業セグメント別見通し
a) ファインケミカル事業
2023年3月期におけるファインケミカル事業の売上高は13,850百万円、営業利益は1,800百万円を目標に設定している。営業利益については既に前期で超過しており、売上高も1年前倒しで達成する見込みだ。

国内の一般消費者向けカー用品では、自動車美装化の簡略化ニーズに応える商品の開発や、得意先小売店ごとに適した既販車メンテナンスサービスの構築など、自動車美装ケミカルのリーディングカンパニーとして自動車の快適・美化・衛生を保つ製品・サービスの提供に取り組んでいく。

また、業務用製品では、自動車向けの主力コーティングブランドである「G’ZOX」のリブランディングを2020年に実施しており、売上拡大に注力していくほか、OEMブランドでの国内外への展開を図っていく。また、車内向け製品・サービスの拡充等を通じて新ビジネスの創出も目指していく。自動車分野以外では、ビルメンテナンスや清掃業界へのアプローチを継続していくとともに、コロナ禍で需要が高まっている抗菌・抗ウイルス効果を付与した衛生管理製品の拡販や、表面改質技術を活用した印刷・接着業界向けのソリューションを提供するなど、新たな事業領域の拡張にも取り組んでいく方針だ。

海外向けに関しては、既存市場でのさらなる拡販に加えて、新規開拓エリアでの販売アプローチの見直しによる事業拡大を推進していく。特に、欧州、ロシア、南米、南アジア等の重点エリアにおいては、専用品の投入と将来的にはサプライチェーンリスクへの対応として現地生産化も視野に入れている。家庭用品販売については、メガネケア製品での成功ノウハウを横展開していく。特にスポーツ関連分野を新たな柱に育成すべく製品開発に注力していく方針だ。

TPMS事業では、運輸運送関連企業を中心とするトラック・バス用TPMSの販売体制強化と、補修用センサー販売及びOEMビジネスの拡大を図っていく。電子機器・ソフトウェア開発事業では、3Gネットワークの停波(2026年3月末)に伴う4G、5Gネットワークに対応した監視機器等の切り替え需要を確実に取り込んでいくほか、無線通信と各種センサーを用いた遠隔監視システムの技術・ノウハウを生かして新たな民生用製品の開発も推進していく考えだ。

b) ポーラスマテリアル事業
2023年3月期におけるポーラスマテリアル事業の売上高は6,050百万円、営業利益は640百万円を見込んでいる。アズテックの子会社化により売上高については大きく超過する見通しだ。一方、利益面では当初2024年3月期以降に予定していた新工場建設を2022年6月稼働と前倒しすることになったことから、最終年度に新工場立ち上げ負担がかかる可能性があり、その状況次第となる。

産業資材分野では、半導体・FPD・HDD等のハイテク業界向け製品において、年々高度化する技術要求に対応していくことでシェアの維持拡大を図っていく。また、医療分野においては、アズテックとの協業も含めて事業を拡大していく方針で、現在の医療部材の提供から医療関連製品の製造まで領域を拡大していくことを目指している。一方、生活資材分野のうち、国内市場では高吸水・高気孔といった性能の高さで差別化を図っていくと同時に、OEMビジネスやECビジネスの拡大を目指していく。また、海外向けではスポーツ用途展開による市場開拓などを進めていく方針だ。

c) サービス事業、不動産関連事業
2023年3月期におけるサービス事業、不動産関連事業の合計の売上高は7,200百万円、営業利益は410百万円を目指す。コロナ禍の影響を受けたため、今後はコロナ禍対応によってどの程度、収益を回復していくことができるかが計画達成の鍵を握る。

自動車整備・鈑金事業では、美装関連事業に注力していくと同時に、自動車のハイテク化に伴って需要が増えている特定整備(エーミング対応)※に取り組むことで、入庫車両数の確保と輸入車メーカー認証取得による対応車両の拡充を図っていく。また、自動車教習事業では、運転免許試験場以外の各種研修(高齢者ドライバー講習等)の拡大と、新サービスとして開始したドローンスクールの受講者数の拡大に取り組み、収益を拡大していく戦略となっている。ドローンに関しては2022年度から免許制度の導入が開始されることから、今後の需要拡大が見込まれている。生活用品企画販売事業については、自社ECサイトの再構築とPB商品の開発により、これまでリーチできていなかった顧客層の取り込みを図っていく。

※ASV(先進安全自動車)が搭載している衝突防止システムや車線維持支援システムなど各種安全システムが正しく動作するか検査し、不具合がある場合は調整する業務。エーミングには専用のツールや電波測定などをする作業環境が必要となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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