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昭和産業 Research Memo(4):コロナ禍による需要減少の影響あるも、2社子会社化の業績寄与で増収で着地

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年3月期の業績
昭和産業<2004>の2021年3月期の業績は、売上高255,997百万円(前期比0.8%増)、営業利益7,594百万円(同13.8%減)、経常利益9,213百万円(同9.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10,115百万円(同49.5%増)となった。コロナ禍の影響による内食需要の高まりから、中華麺用・日本麺用小麦粉の販売は好調であった一方、コロナ禍による外出自粛の影響から外食や土産品向けなどは厳しい環境であった。売上高については、コロナ禍の影響による減収分は約100億円と見られるものの、ボーソー油脂を子会社化したことにより業務用油脂の販売数量が伸びたほか、サンエイ糖化の子会社化によって糖化品の販売数量が伸びて増収での着地となった。2020年11月に業績修正を発表しており、営業利益、経常利益はおおむね修正計画に沿った着地となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、ボーソー油脂グループの連結子会社化に伴う負ののれんの特別利益(34億円)の計上により上振れとなった。

2. セグメント別業績
コロナ禍の影響については、特に外食やコンビニ、インバウンド向けなど、業務用の構成比が高い同社においては需要減少などの影響が大きく、売上高への影響としては全体で約100億円の減収要因となった。セグメント毎による事業への影響については、製粉事業では家庭用加工食品の需要が拡大する一方で、外食、土産品、インバウンド、コンビニエンスストア向けの需要が減少した。油脂食品事業では、家庭用食品の需要やECが拡大する一方で、外食、中食、インバウンド向けの需要が減少した。糖質事業では、ビール、飲料、食品、工業用すべてにおいて需要が減少した。飼料事業においては、ほとんど影響は見られなかった。

(1) 製粉事業
製粉事業の売上高は74,315百万円(前期比6.9%減)、営業利益は1,704百万円(同40.4%減)となった。マーケット分析力を生かし、ターゲット業態別での提案型営業の強化を行った。内食需要の高まりにより、中華麺用・日本麺用小麦粉の販売は好調ながら、外食や土産品向けなどは外出自粛の影響から厳しい環境であった。またコンビニエンスストア向けの日配品においても、来店客数の減少などにより販売数量は減少した。冷凍食品やテイクアウトなど新しい生活様式に寄り添った同社ならではの価値提案への取り組みを行ったが、業務用小麦粉、業務用プレミックス(加工用プレミックス)などは苦戦した。販売価格は、輸入小麦の政府売渡価格が2020年4月に平均3.1%(税込価格)引き上げられ、同年10月には平均4.3%(税込価格)引き下げられたことを受け、小麦粉製品の価格改定を実施した。

(2) 油脂食品事業
油脂食品事業の売上高は88,533百万円(前期比8.5%増)、営業利益は3,118百万円(同16.6%減)となった。業務用では油脂と食材(ミックス・パスタ)のシナジーを生かし、課題解決型の営業活動を強化。ボーソー油脂の子会社化による販売数量の増加が寄与した。しかしコロナ禍の影響から主要販売先の外食産業は苦戦しており、業務用食材の販売数量については、前期を下回った。家庭用では巣ごもり需要に伴う内食消費傾向が続いたことにより家庭用食用油、家庭用小麦粉、プレミックス(お好み焼粉、ホットケーキミックス等)、パスタの販売数量については、前期を上回っている。

(3) 糖質事業
糖質事業は子会社である敷島スターチやサンエイ糖化との連携を図り、価格改定、提案型営業の強化による低分解水あめ、粉あめなどの独自商品群の拡販に努めたことにより、売上高は36,607百万円(前期比5.5%増)、営業利益は1,677百万円(同48.8%増)と伸長した。糖化品の販売数量については、サンエイ糖化を子会社化したことで前期を上回ったものの、コーンスターチの販売数量はビール用途などの需要が減少した。加工でん粉の販売数量についても、食品用途・工業用途ともに需要が減少した。

(4) 飼料事業
飼料事業の売上高は51,620百万円(前期比1.9%減)、営業利益は1,017百万円(同33.4%増)となった。配合飼料の販売数量が増加したほか、配合飼料価格安定基金の費用負担が減少したことにより増益となった。なお、配合飼料の販売価格は前期並みとなったほか、鶏卵の販売数量及び販売価格については、前期を下回った。

(5) その他
業績管理区分を見直し、従来の「倉庫事業」「不動産事業」を「その他」に区分する変更を行った。保険代理業、自動車等リース業、運輸業等をあわせたその他の売上高は4,921百万円(前期比6.5%減)、営業利益は1,826百万円(同7.4%減)となった。コロナ禍の影響による荷動きの停滞で貨物収容スペースが圧迫されるなか、同社関連サイロ会社との連携を図り、効率的な荷役に努めた。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)




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