MRO Research Memo(1):2021年12月期第1四半期は2ケタ増収増益
[21/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。近年は購買管理システム事業(大企業連携)も急成長している。5,834千口座(2021年3月末現在)の顧客に対して1,800万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品61.0万点(うち自社保有在庫で48.9万点)を販売する。
1. 2021年12月期第1四半期の単体業績
2021年12月期第1四半期単体業績は、売上高は前年同期比24.8%増の44,393百万円、営業利益は同31.3%増の6,092百万円、経常利益は同32.8%増の6,155百万円、四半期純利益は同32.1%増の4,268百万円となり、売上高で20%、各利益30%を超える成長となった。売上高に関しては、主力の事業者向けネット通販事業、購買管理システム事業(大企業連携)ともに注文単価及び顧客数が増加した。前年同期は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に見舞われた時期に当たり単価が抑制されたが、2021年12月期は主要3業種(製造、建設・工事、自動車整備)や大手企業をはじめとする事業者の購入単価が上昇した。また、海外ロイヤルティの受領額が増加したことも増収に寄与した。購買管理システム事業では、連携社数が前期末比で163社増加、売上高は前年同期比42.5%増の9,190百万円となり、期初計画を10.0%上回る高い成長となった。営業利益は前年同期比31.3%増、営業利益率は同0.7ポイント上昇となった。コロナ禍の影響が続いたものの、法人(主要業種、大企業)からの売上増加、ロイヤルティ増加、原価及び販管費の適切なコントロールなどが奏功し堅調な増益となった。
2. 2021年12月期の連結業績見通し
2021年12月期通期の連結業績は期初予想を据え置き、売上高は前期比23.4%増の194,220百万円、営業利益は同25.9%増の24,678百万円、経常利益は同25.8%増の24,738百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同25.4%増の17,273百万円としている。売上高・各利益ともに20%を超えて成長する予想である。この計画が達成されれば、20期連続の増収、12期連続の増益となる。事業者向けネット通販事業では顧客ベースの拡大及び顧客生涯価値向上、既存顧客売上拡大施策に取り組み、新規口座の獲得目標は2020年12月期の獲得数(139万口座)を上回る142万口座としている。既存顧客売上拡大に関しては、「ワンストップショッピング拡大」「商品を見つける時間の短縮」「商品到着時間短縮」をテーマに掲げ、新しく稼働させるシステムや物流拠点開発などを通じて推進する。購買管理システム事業は、2021年12月期の売上高計画34,680百万円(前期比32.6%増)とし、2020年12月期を上回る成長を見込む。2021年12月期第1四半期は、前年同期比で42.5%増と予想を上回る滑り出しとなった。同社はこうしたコロナ禍による需要停滞からの反動増、中小企業におけるデジタルシフトも追い風となり、同社を取り巻く事業環境は改善傾向であると弊社では考えている。茨城中央サテライトセンター(茨城中央SC)を1ヶ月前倒しで操業したが、購買管理システム事業の予想以上の成長などを勘案すると、特に利益面では業績予想を超えてくることも期待できる。
3. コロナ禍で成長鈍化した大企業需要が回復
購買管理システム事業は同社の事業のなかでも成長性が高く、右肩上がりで伸びてきた。2014年12月期から2019年12月期の5年間の売上高の年平均の伸び率は、54.8%である。コロナ禍においては成長が鈍化し、2020年12月期売上高の前期比は29.8%となった。特に2020年12月期は第2四半期及び第3四半期は停滞した。この時期は1回目の緊急事態宣言の期間であり、リモート勤務への対応を余儀なくされ、様々な業界でサプライチェーンが混乱し、生産や投資が滞った。同第4四半期からは一転して、購買管理システム事業の売上高の伸びが戻り、2021年12月期第1四半期もその流れは続いている。コロナ禍に対応した働き方への対応が完了し、生産や投資も回復基調にあることの反映と考えられる。また、連携企業数の増加も売上成長のドライバーである。2020年12月期の四半期平均の増加数は105社だったが、2021年12月期は第1四半期だけで163社増加している。現時点(6月中旬)においては、ワクチンの普及が進むなどコロナ禍の収束も視野に入ってきており、購買管理システム事業の予想以上の快進撃は続きそうだ。
■Key Points
・2021年12月期第1四半期は売上高で前年同期比20%、各利益30%を超える成長。事業者顧客の注文単価上昇、大企業連携も予想を上回る伸び
・2021年12月期通期は12期連続の増収増益を予想。茨城中央SCの1ヶ月前倒し稼働や大企業連携の高成長など進捗順調
・コロナ禍で成長鈍化した大企業需要が回復。茨城中央SCは順調に稼働開始
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。近年は購買管理システム事業(大企業連携)も急成長している。5,834千口座(2021年3月末現在)の顧客に対して1,800万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品61.0万点(うち自社保有在庫で48.9万点)を販売する。
1. 2021年12月期第1四半期の単体業績
2021年12月期第1四半期単体業績は、売上高は前年同期比24.8%増の44,393百万円、営業利益は同31.3%増の6,092百万円、経常利益は同32.8%増の6,155百万円、四半期純利益は同32.1%増の4,268百万円となり、売上高で20%、各利益30%を超える成長となった。売上高に関しては、主力の事業者向けネット通販事業、購買管理システム事業(大企業連携)ともに注文単価及び顧客数が増加した。前年同期は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に見舞われた時期に当たり単価が抑制されたが、2021年12月期は主要3業種(製造、建設・工事、自動車整備)や大手企業をはじめとする事業者の購入単価が上昇した。また、海外ロイヤルティの受領額が増加したことも増収に寄与した。購買管理システム事業では、連携社数が前期末比で163社増加、売上高は前年同期比42.5%増の9,190百万円となり、期初計画を10.0%上回る高い成長となった。営業利益は前年同期比31.3%増、営業利益率は同0.7ポイント上昇となった。コロナ禍の影響が続いたものの、法人(主要業種、大企業)からの売上増加、ロイヤルティ増加、原価及び販管費の適切なコントロールなどが奏功し堅調な増益となった。
2. 2021年12月期の連結業績見通し
2021年12月期通期の連結業績は期初予想を据え置き、売上高は前期比23.4%増の194,220百万円、営業利益は同25.9%増の24,678百万円、経常利益は同25.8%増の24,738百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同25.4%増の17,273百万円としている。売上高・各利益ともに20%を超えて成長する予想である。この計画が達成されれば、20期連続の増収、12期連続の増益となる。事業者向けネット通販事業では顧客ベースの拡大及び顧客生涯価値向上、既存顧客売上拡大施策に取り組み、新規口座の獲得目標は2020年12月期の獲得数(139万口座)を上回る142万口座としている。既存顧客売上拡大に関しては、「ワンストップショッピング拡大」「商品を見つける時間の短縮」「商品到着時間短縮」をテーマに掲げ、新しく稼働させるシステムや物流拠点開発などを通じて推進する。購買管理システム事業は、2021年12月期の売上高計画34,680百万円(前期比32.6%増)とし、2020年12月期を上回る成長を見込む。2021年12月期第1四半期は、前年同期比で42.5%増と予想を上回る滑り出しとなった。同社はこうしたコロナ禍による需要停滞からの反動増、中小企業におけるデジタルシフトも追い風となり、同社を取り巻く事業環境は改善傾向であると弊社では考えている。茨城中央サテライトセンター(茨城中央SC)を1ヶ月前倒しで操業したが、購買管理システム事業の予想以上の成長などを勘案すると、特に利益面では業績予想を超えてくることも期待できる。
3. コロナ禍で成長鈍化した大企業需要が回復
購買管理システム事業は同社の事業のなかでも成長性が高く、右肩上がりで伸びてきた。2014年12月期から2019年12月期の5年間の売上高の年平均の伸び率は、54.8%である。コロナ禍においては成長が鈍化し、2020年12月期売上高の前期比は29.8%となった。特に2020年12月期は第2四半期及び第3四半期は停滞した。この時期は1回目の緊急事態宣言の期間であり、リモート勤務への対応を余儀なくされ、様々な業界でサプライチェーンが混乱し、生産や投資が滞った。同第4四半期からは一転して、購買管理システム事業の売上高の伸びが戻り、2021年12月期第1四半期もその流れは続いている。コロナ禍に対応した働き方への対応が完了し、生産や投資も回復基調にあることの反映と考えられる。また、連携企業数の増加も売上成長のドライバーである。2020年12月期の四半期平均の増加数は105社だったが、2021年12月期は第1四半期だけで163社増加している。現時点(6月中旬)においては、ワクチンの普及が進むなどコロナ禍の収束も視野に入ってきており、購買管理システム事業の予想以上の快進撃は続きそうだ。
■Key Points
・2021年12月期第1四半期は売上高で前年同期比20%、各利益30%を超える成長。事業者顧客の注文単価上昇、大企業連携も予想を上回る伸び
・2021年12月期通期は12期連続の増収増益を予想。茨城中央SCの1ヶ月前倒し稼働や大企業連携の高成長など進捗順調
・コロナ禍で成長鈍化した大企業需要が回復。茨城中央SCは順調に稼働開始
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>