FB Research Memo(4):インターネットインフラカテゴリは戦略投資期間中でも売上・利益を堅実に伸ばす(2)
[21/07/02]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■フリービット<3843>の業績動向
3. 不動産テック事業
周辺の市場環境に関して、まず光アクセス回線を主とする固定網による通信サービス市場自体は普及が一巡しているものの、(株)ギガプライズがサービスを提供している集合住宅向けインターネット接続サービス市場分野においては、高速ブロードバンド環境導入による資産価値や入居率の向上を目的にその導入がより一層進んでいる。また、コロナ禍を機にテレワークやオンライン授業、動画コンテンツ視聴等の利用が増えたことで、より安定したインターネット環境の重要性が改めて認識されたことから、その規模は引き続き拡大することが予想される。
不動産業界全体においては、AIやIoT、VR等のテクノロジーを活用した不動産Techへの関心度が高く、各種IoT機器を活用することで、地域の課題を解決し暮らしに安全・安心等の新たな価値を創出するスマートシティや、多様化する生活スタイルに合わせたスマートホームの実現等、新たなサービスの需要はさらに拡大する見込みである。特に不動産業界では、賃貸管理や仲介業務でICT化が遅れており、属人的で労働生産性が低く、顧客にとっても手続きに手間や時間がかかることが課題である。これらを解消するためのDX投資が近年拡大しており、在庫状況のリアルタイム性向上と管理会社における物件確認などの応対の自動化、内覧のWeb予約・管理、スマートロックを利用した内覧時の鍵の受け渡し業務の削減、セキュリティ向上、VR内覧、申込や契約の電子化・ペーパーレス化などが進められている。そのため同社にとってサービスを展開する余地は大きいものと想定される。
不動産テック事業の業績に関して、集合住宅向けインターネット接続サービスについては提供戸数の拡大に向けて、大手顧客からの継続的な受注と新規獲得に注力した。また、新築物件については、将来の機器交換時の工事を不要とする新商品「PWINS」を、今後更なる需要が見込まれる既存物件については、その導入シェア拡大に向けて「SPES」の販売をそれぞれ強化することで、累計提供戸数の大幅増を達成している。
上記の施策・取り組みの結果、売上高は15,869百万円(前期比16.3%増)、セグメント利益は2,160百万円(同59.2%増)となった。不動産テック市場もインフラテック市場と同様に、今までマニュアル手続きが多かった不動産業界に風穴をあけるものとしてDX推進は期待値が高い。そのため、今後の市場は安定成長が期待され売上高・利益ともに来期以降もポジティブな成長が見込まれるであろう。
4. アドテク事業
アドテク市場を取り巻く広告市場に関しては、インターネット広告市場は一貫して成長を続け、2020年はインターネット広告費がテレビメディア広告費を超え、2.2兆円を超える市場に成長している。(株)電通グループ<4324>の調査「2020年 日本の広告費」によると、特に主たる事業領域である国内インターネット広告市場では、2020年は前年比105.9%増の約2兆2,290億円と堅調に推移している。このような事業環境のもと、(株)フルスピードは、テクノロジー&マーケティングカンパニーをスローガンに掲げ、ソーシャルメディアマーケティングを中心としたインターネットマーケティング事業や、「afb」「Webridge」「ADMATRIX DSP」を中心とするアドテクノロジー事業の展開を強化、また中長期での新たな収益柱の構築のため、複数の新規事業への取り組みに注力してきている。
好調なマクロマーケットが追い風になっていることに加えて、その中でも従来型の予約型広告からリスティング広告やアドテクノロジー活用広告といった運用型広告への移行がより一層進むとともに、動画広告やソーシャルメディア広告がけん引する形で市場が拡大し、特にモバイル向け広告の成長が顕著となっている。一方で、広告業界はコロナ禍の影響を受けやすい市場でもあり、弊社では今後の動向を注視する必要があるとの認識である。新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした「巣ごもり需要」が増加し、インターネット広告視聴者の広告掲出店舗への顧客送客が減少したことに伴い収益が一時停滞した。一方、同社グループ独自のアドテクノロジー関連サービスであるDSP広告等の商材を中心としたインターネット広告サービスの提供に注力したほか、同感染症拡大の影響を受けにくい新たな業界の開拓も注力した。
上記の施策・取り組みの結果、売上高は15,630百万円(前期比8.5%減)、セグメント利益は743百万円(同14.9%減)となった。
5. ヘルステック事業
2021年4月期第2四半期において同事業を担っていた(株)フリービットEPARKヘルスケアについて、保有するすべての株式を2020年10月30日をもって外部に売却したため、同社及び同社子会社を連結の範囲から除外している。売上高は2,550百万円(前期比27.4%減)、セグメント利益は305百万円(前期は144百万円のセグメント損失)となった。
6. エドテック事業
2021年4月期第3四半期において同事業を担っていた(株)アルクについて、保有するすべての株式を2020年11月30日をもって売却したため、同社及び同社子会社を連結の範囲から除外した。その結果、売上高は1,992百万円(前期比66.3%減)、セグメント損失は240百万円(前期は368百万円のセグメント損失)となった。
7. 財務状況
財務状況、財務比率及びキャッシュ・フローに関する状況は下記のとおりである。資産売却、連結除外などのオフバランス化を進めた影響で自己資本比率25.0%を達成するなどバランスシートの財政状態は良好な状態である。
また、実質的な手元資金を見ると、ネットデット(キャッシュ)の部分は、2020年4月期末のネットデット3,176百万円に対して、2021年4月期末は3,303百万円のネットキャッシュを確保しており、6,000百万円を超える大幅な改善を実現している。ネットキャッシュのうち、現金及び預金は17,621百万円となっている。
総資産は、前期比7,636百万円減少の34,835百万円となった。これは主に、(株)フリービットEPARKヘルスケア及び(株)アルクを連結の範囲から除外したこと等も影響し、受取手形及び売掛金が2,633百万円、未収入金が2,787百万円及びのれんが1,424百万円減少したことによるものである。負債合計は、前連結会計年度末比8,936百万円減少の22,687百万円となった。これは主に、(株)フリービットEPARKヘルスケア及び(株)アルクの非連結化等も影響し、未払金が3,203百万円、社債が2,420百万円、長期借入金が1,316百万円及びリース債務(固定)が1,275百万円減少したことによるものである。純資産合計は利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末比1,300百万円増加の12,148百万円となり、この結果、自己資本比率は25.0%となり大幅に増加している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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3. 不動産テック事業
周辺の市場環境に関して、まず光アクセス回線を主とする固定網による通信サービス市場自体は普及が一巡しているものの、(株)ギガプライズがサービスを提供している集合住宅向けインターネット接続サービス市場分野においては、高速ブロードバンド環境導入による資産価値や入居率の向上を目的にその導入がより一層進んでいる。また、コロナ禍を機にテレワークやオンライン授業、動画コンテンツ視聴等の利用が増えたことで、より安定したインターネット環境の重要性が改めて認識されたことから、その規模は引き続き拡大することが予想される。
不動産業界全体においては、AIやIoT、VR等のテクノロジーを活用した不動産Techへの関心度が高く、各種IoT機器を活用することで、地域の課題を解決し暮らしに安全・安心等の新たな価値を創出するスマートシティや、多様化する生活スタイルに合わせたスマートホームの実現等、新たなサービスの需要はさらに拡大する見込みである。特に不動産業界では、賃貸管理や仲介業務でICT化が遅れており、属人的で労働生産性が低く、顧客にとっても手続きに手間や時間がかかることが課題である。これらを解消するためのDX投資が近年拡大しており、在庫状況のリアルタイム性向上と管理会社における物件確認などの応対の自動化、内覧のWeb予約・管理、スマートロックを利用した内覧時の鍵の受け渡し業務の削減、セキュリティ向上、VR内覧、申込や契約の電子化・ペーパーレス化などが進められている。そのため同社にとってサービスを展開する余地は大きいものと想定される。
不動産テック事業の業績に関して、集合住宅向けインターネット接続サービスについては提供戸数の拡大に向けて、大手顧客からの継続的な受注と新規獲得に注力した。また、新築物件については、将来の機器交換時の工事を不要とする新商品「PWINS」を、今後更なる需要が見込まれる既存物件については、その導入シェア拡大に向けて「SPES」の販売をそれぞれ強化することで、累計提供戸数の大幅増を達成している。
上記の施策・取り組みの結果、売上高は15,869百万円(前期比16.3%増)、セグメント利益は2,160百万円(同59.2%増)となった。不動産テック市場もインフラテック市場と同様に、今までマニュアル手続きが多かった不動産業界に風穴をあけるものとしてDX推進は期待値が高い。そのため、今後の市場は安定成長が期待され売上高・利益ともに来期以降もポジティブな成長が見込まれるであろう。
4. アドテク事業
アドテク市場を取り巻く広告市場に関しては、インターネット広告市場は一貫して成長を続け、2020年はインターネット広告費がテレビメディア広告費を超え、2.2兆円を超える市場に成長している。(株)電通グループ<4324>の調査「2020年 日本の広告費」によると、特に主たる事業領域である国内インターネット広告市場では、2020年は前年比105.9%増の約2兆2,290億円と堅調に推移している。このような事業環境のもと、(株)フルスピードは、テクノロジー&マーケティングカンパニーをスローガンに掲げ、ソーシャルメディアマーケティングを中心としたインターネットマーケティング事業や、「afb」「Webridge」「ADMATRIX DSP」を中心とするアドテクノロジー事業の展開を強化、また中長期での新たな収益柱の構築のため、複数の新規事業への取り組みに注力してきている。
好調なマクロマーケットが追い風になっていることに加えて、その中でも従来型の予約型広告からリスティング広告やアドテクノロジー活用広告といった運用型広告への移行がより一層進むとともに、動画広告やソーシャルメディア広告がけん引する形で市場が拡大し、特にモバイル向け広告の成長が顕著となっている。一方で、広告業界はコロナ禍の影響を受けやすい市場でもあり、弊社では今後の動向を注視する必要があるとの認識である。新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした「巣ごもり需要」が増加し、インターネット広告視聴者の広告掲出店舗への顧客送客が減少したことに伴い収益が一時停滞した。一方、同社グループ独自のアドテクノロジー関連サービスであるDSP広告等の商材を中心としたインターネット広告サービスの提供に注力したほか、同感染症拡大の影響を受けにくい新たな業界の開拓も注力した。
上記の施策・取り組みの結果、売上高は15,630百万円(前期比8.5%減)、セグメント利益は743百万円(同14.9%減)となった。
5. ヘルステック事業
2021年4月期第2四半期において同事業を担っていた(株)フリービットEPARKヘルスケアについて、保有するすべての株式を2020年10月30日をもって外部に売却したため、同社及び同社子会社を連結の範囲から除外している。売上高は2,550百万円(前期比27.4%減)、セグメント利益は305百万円(前期は144百万円のセグメント損失)となった。
6. エドテック事業
2021年4月期第3四半期において同事業を担っていた(株)アルクについて、保有するすべての株式を2020年11月30日をもって売却したため、同社及び同社子会社を連結の範囲から除外した。その結果、売上高は1,992百万円(前期比66.3%減)、セグメント損失は240百万円(前期は368百万円のセグメント損失)となった。
7. 財務状況
財務状況、財務比率及びキャッシュ・フローに関する状況は下記のとおりである。資産売却、連結除外などのオフバランス化を進めた影響で自己資本比率25.0%を達成するなどバランスシートの財政状態は良好な状態である。
また、実質的な手元資金を見ると、ネットデット(キャッシュ)の部分は、2020年4月期末のネットデット3,176百万円に対して、2021年4月期末は3,303百万円のネットキャッシュを確保しており、6,000百万円を超える大幅な改善を実現している。ネットキャッシュのうち、現金及び預金は17,621百万円となっている。
総資産は、前期比7,636百万円減少の34,835百万円となった。これは主に、(株)フリービットEPARKヘルスケア及び(株)アルクを連結の範囲から除外したこと等も影響し、受取手形及び売掛金が2,633百万円、未収入金が2,787百万円及びのれんが1,424百万円減少したことによるものである。負債合計は、前連結会計年度末比8,936百万円減少の22,687百万円となった。これは主に、(株)フリービットEPARKヘルスケア及び(株)アルクの非連結化等も影響し、未払金が3,203百万円、社債が2,420百万円、長期借入金が1,316百万円及びリース債務(固定)が1,275百万円減少したことによるものである。純資産合計は利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末比1,300百万円増加の12,148百万円となり、この結果、自己資本比率は25.0%となり大幅に増加している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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