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テノックス Research Memo(7):端境期にコロナ禍が重なった

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年3月期の業績動向
テノックス<1905>の2021年3月期の業績は、売上高15,906百万円(前期比14.4%減)、営業利益308百万円(同72.9%減)、経常利益331百万円(同71.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は173百万円(同77.5%減)と減収減益となった。国内経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により社会生活や経済活動が制約を受けたため、個人も企業も非常に苦しい状況となった。建設業界では、公共投資は補正予算などにより底堅く推移したが、民間の設備投資が慎重な動きとなり、建設投資は総じて力強さを欠いた状態で推移した。

同社にとって2021年3月期は、前中期経営計画の最終年度であり、創立50周年の節目の年でもあったことから、目標達成に向けて最後まで意欲的に取り組んだ。しかし売上高は、大型の物流施設の杭工事が寄与したものの、鉄道関連をはじめとする土木の杭工事が端境期となり、また、民間の建築工事で着工時期の遅れなどが生じたため、減少することとなった。利益面では、コロナ禍の交通費減少や50周年イベントの抑制により販管費を削減したが、売上高が減少したこと、建設需要の先行き不透明感に伴って競合が激化し中小工事を中心に価格競争が発生したことなどによる売上総利益の減少をカバーできなかった。なお、第3四半期より広島組(2020年10月全株式取得)を連結した。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、受注活動や着工時期の遅れなど少なからず受けたが、施工への影響は軽微だった。

ところで、期初計画に対しては、売上高で1,794百万円、営業利益で352百万円の未達となった。要因は2つあって、地盤改良工事の同業他社との受注競合激化、及び計画自体が先延ばしまたは中止になってしまったことである。後者はコロナ禍で致し方ない面はあるが、前者は、同社は川上の設計から川下の施工までの一貫体制が強みであるが、川上の設計段階で「折り込む力」を十分に発揮できず、付加価値の提案というアドバンテージが得られないなか、川下で元請の価格要請が厳しくなったことにある。原因は分かっているので、すでに手を打ち修正はきいているようだ。なお、地盤改良工事の大型物件を受注したため、受注高及び期末受注残高は前期を上回った(売上計上は2022年3月期の予定)。

セグメント別の状況は、前期まで寄与してきた「北陸新幹線延伸事業」などが終了した反動により土木の杭工事が前期比44%減少、地盤改良工事で競争が激しくなったこともあり、地盤改良工事や大型物流施設の杭工事など建築工事でカバーできなかった。利益面では、土木の杭工事の売上高減少、及びコロナ禍での建設需要の先行き不透明感から競争が激化し工事利益率が低下したことにより、売上総利益が大幅に減少した。この結果、主力の建設事業の売上高は15,337百万円(前期比14.6%減)、セグメント利益は262百万円(同75.1%減)となった。土木建築コンサルティング全般等事業は、主に設計業務に関する収入が減少したことにより、売上高546百万円(同8.7%減)、セグメント利益41百万円(同46.7%減)となった。その他の事業は、神奈川県川崎市に所有している不動産の賃貸により、売上高23百万円(同7.9%増)、セグメント利益4百万円(同24.4%減)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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