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Eギャランティ Research Memo(4):売掛債権保証サービスの需要高まりにより、19期連続の増収増益に

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年3月期の業績概要
イー・ギャランティ<8771>の2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比20.8%増の7,194百万円、営業利益が同13.6%増の3,088百万円、経常利益が同13.0%増の3,108百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.9%減の2,004百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益を除いて19期連続の増収増益を達成した。コロナ禍で市場の先行き不透明感が強まるなか、売上債権の未回収リスクを懸念して、同社の保証サービスを利用する事業会社が増加し、信用保証残高が前期末比9.8%増の4,822億円に積み上がったことが増収増益要因となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、実効税率が例年並みに戻ったことにより減益となっている。前期は従業員持株会支援信託ESOPの分配(損金算入)を実施したことに伴い、法人税等の実効税率が7.0%と一時的に低下していた。

保証残高の動向について見ると、上期はコロナ禍の影響による今後の倒産件数増加に備えて、既存契約について契約内容を見直し、高額のリスクについては新規の引き受けを制限するなど、リスク分散及びポートフォリオの再構築を図った。また、同社サービスへの引き合いは急増していたものの、政府系も含めた金融機関の各種支援サービスの活用を顧客に提案していたこともあり、保証残高の増加率は従来の10%台前半から1ケタ台後半に鈍化した。下期はコロナ禍の影響について一定の見極めができるようになったことから、引受基準を通常の状態に戻しつつ、顧客ニーズに対応した新商品の開発・提供に取り組んだこともあり、保証残高の増加率も再び増勢に転じている。

保証料率については、信用リスクの上昇に伴い引き上げを実施し、平均保証料率で2020年3月の1.44%から2020年9月は1.58%、2021年3月は1.63%と緩やかに上昇した。なお、新規案件の保証料率に関しては2020年11月の2.7%台をピークに低下している。一方、支払保証料率についても上期に倒産件数の増加を想定して大幅な引き上げを実施し、この結果、売上原価率は前期の20.3%から25.2%と大幅に上昇し、この結果、売上総利益は前期比13.3%増の5,378百万円となった。

販管費については前期比12.8%増の2,289百万円と増加したものの、増収効果により販管費率は前期の34.1%から31.8%に低下した。主な増加要因は、人員体制強化に伴う人件費(給与及び手当、賞与引当金繰入額)の増加で86百万円、租税公課の増加で65百万円となっている。期末時点の連結従業員数は前期末比19名増の161名となっている。

会社計画比で見ると、売上高は6.6%下回った。これは、保証料率が前提よりも下回ったことによる。下期にかけてさらに上昇する想定となっていたが、前述したように政府の各種支援策の効果もあって倒産件数が増加しなかったこともあり、期初想定よりも上昇率が抑えられた。たた、各利益については計画を上回って着地している。

また、2019年12月には大和ハウス工業(株)及びそのグループ会社となる(株)アッカ・インターナショナル(以下、アッカ)と業務提携を発表し、物流施設の入居者の在庫データを活用した新たな融資保証サービスを開始している。具体的には、大和ハウス工業の物流施設及びアッカの「ALIS」(ECデータ一元管理システム)を利用している企業の審査を行い、当該企業の委託に基づき融資保証をし、倒産等による焦げ付きが発生した際に、設定した支払限度額を上限に保証金を金融機関に支払うサービスとなる。物流施設の入居者の日々の在庫情報等からリスク度合いを判別し、債務不履行の保証を行う仕組みで、従来の金融システムとは異なるアプローチにより、物流施設の入居者向けに与信を供与することで、新たな融資ニーズに応え、顧客層の拡大につなげていく取り組みとなる。業績への影響は軽微なものの、顧客獲得に向けた販売チャネル拡大の一例となる。


収益増とストックオプションの行使により、現金及び預金が大幅に増加
2. 財務状況と経営指標
2021年3月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比6,125百万円増加の22,570百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が6,823百万円増加し、有価証券が2,602百万円、前払費用が358百万円減少した。また、固定資産では投資有価証券が2,571百万円増加した。満期が到来した債権の買い替えによるもので、A格付け以上の債権を購入している。

負債合計は前期末比1,737百万円増加の5,384百万円となった。未払法人税等が932百万円増加したほか、将来の売上高となる前受金が605百万円増加した。また、純資産は前期末比4,387百万円増加の17,186百万円となった。ストックオプションの行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,454百万円増加したほか、利益剰余金が1,409百万円増加した。

経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は70.3%とほぼ前期並みの水準となっており、無借金経営で現金及び預金の水準も160億円超となるなど財務基盤の強化が一段と進んだ。収益性について見ると、売上高営業利益率で42.9%、ROEで14.6%、ROAで15.9%といずれも前期の水準からは低下したものの、いずれも高水準を維持している。これは同社のビジネスモデルが保証料を月額按分で売上計上するストック型のビジネスモデルであり、好不況に関わらずニーズが発生するサービスであること、また、競合企業もほとんどなく高い競争優位性を維持していることが要因として挙げられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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