IXナレッジ Research Memo(1):2022年3月期は増収増益予想。クラウド化案件などで受注拡大を目指す
[21/07/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
アイエックス・ナレッジ(IKI)※<9753>は、独立系の中堅システムインテグレーターである。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までのシステムのライフサイクルに対応する一貫したサービスを提供する。日立製作所<6501>やNTTデータ<9613>などの大手システムインテグレーターやみずほリサーチ&テクノロジーズ(株)などのエンドユーザー系の情報システム会社、KDDI<9433>などのユーザーなどが主要取引先であり安定している。なお、顧客企業上位10社で売上高の約7割を占める。
※同社の略称はIKI(IX Knowledge Inc.)で、企業コンセプトのInformation & Knowledge Innovationともリンクしている。
1. 業績動向
2021年3月期の業績は、売上高が前期比1.0%減の17,289百万円、営業利益は同10.7%増の868百万円となった。売上高では、車載組込みシステム開発が堅調に推移したことに加え、地方銀行や総合物流企業、化学メーカー、化粧品メーカーにおけるシステム開発案件などの受注が拡大した。また、運用設計や基盤構築案件も拡大した。しかしながら、前期の大手通信事業者向けのシステム検証大型プロジェクト収束の影響を補うまでには至らず、全体として微減収となった。売上高の微減により売上総利益も前期比0.6%減となったが、売上総利益率は前期と変わらず18.6%であった。また、販管費は同4.2%減少し、販管費率も同0.5ポイント低下した。販管費に関しては、社内業務のデジタル化推進が増加要因となったものの、在宅勤務の推進による通勤費減少、採用・教育のオンライン化、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による交際費抑制などの影響が大きく、販管費全体として減少した。
2022年3月期の業績見通しについては、売上高で前期比7.7%増の18,616百万円、営業利益で同3.6%増の900百万円と増収増益を予想する。システム開発に関しては、既存案件である車載組込みシステム開発案件、第三者検証サービス案件、運用設計や基盤構築案件などの受注拡大を目指すとともに、新規でクラウド化案件の受注拡大を目指す。弊社では、同社の顧客ポートフォリオが多様であり既存顧客からの安定的な受注が見込めること、コロナ禍を契機としてクラウド化のニーズが顕在化しDX(デジタルトランスフォーメーション)化の動きが活発となっていること等から、今期の増収増益予想は妥当性があると見ている。
2. 成長戦略
同社では、中期経営計画を毎期ローリングし、経営計画及び重点取り組みポイントをアップデートしている。具体的には、2024年3月期の業績目標として売上高21,500百万円、営業利益1,153百万円を掲げ、中期経営方針を「中核事業の拡大」「次期成長事業の創出」「事業基盤の強化」の3本柱としている。注目すべき戦略は「顧客のDX化ニーズへの対応」である。コロナ禍後は“非対面・非接触、オンライン”が主流となり、自動運転や金融のキャッシュレス化、オンライン業務などに代表される社会変化が進んでいる。このようにDX化が加速する事業環境を前提として、「持続的成長」を可能とする礎作りを推進する。また、中長期経営計画において同社が力点を置くのは、クラウドである。コロナ禍によりテレワーク・在宅勤務やオンライン会議などが求められており、クラウド型システムの構築は急務である。これに対し同社では、AWS、Azure等の技術者育成及びクラウド事業の積極的展開を行うべく、専門組織を立ち上げた。
3. 株主還元
同社では株主還元に関して、経済環境の変動が激しいことから、安定配当を第一とし、業績や将来の見通し、配当性向、配当利回り等を総合的に勘案し配当を決定する方針である。過去に遡ると、減益となった期もあったものの、1株当たりの配当金は維持または増配を行ってきた。2021年3月期の1株当たり配当金は、普通配当15円(前期同額)、配当性向23.7%となった。2022年3月期は、普通配当15円(前期同額)、配当性向23.5%を予想する。
■Key Points
・産業・サービス、金融・証券、情報・通信向けのシステム開発が主力。車載組込みシステム開発や第三者検証サービスなど多様な案件に参画
・2021年3月期業績は、新規案件の受注が拡大するも売上高微減、一方で事業基盤の強化及び販管費抑制により2ケタ営業増益で着地
・2022年3月期は増収増益予想。車載組込みシステム開発案件、第三者検証サービス案件、クラウド移行案件などで受注拡大を目指す
・中長期経営計画では、クラウドをはじめとするDX対応を本格展開
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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アイエックス・ナレッジ(IKI)※<9753>は、独立系の中堅システムインテグレーターである。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までのシステムのライフサイクルに対応する一貫したサービスを提供する。日立製作所<6501>やNTTデータ<9613>などの大手システムインテグレーターやみずほリサーチ&テクノロジーズ(株)などのエンドユーザー系の情報システム会社、KDDI<9433>などのユーザーなどが主要取引先であり安定している。なお、顧客企業上位10社で売上高の約7割を占める。
※同社の略称はIKI(IX Knowledge Inc.)で、企業コンセプトのInformation & Knowledge Innovationともリンクしている。
1. 業績動向
2021年3月期の業績は、売上高が前期比1.0%減の17,289百万円、営業利益は同10.7%増の868百万円となった。売上高では、車載組込みシステム開発が堅調に推移したことに加え、地方銀行や総合物流企業、化学メーカー、化粧品メーカーにおけるシステム開発案件などの受注が拡大した。また、運用設計や基盤構築案件も拡大した。しかしながら、前期の大手通信事業者向けのシステム検証大型プロジェクト収束の影響を補うまでには至らず、全体として微減収となった。売上高の微減により売上総利益も前期比0.6%減となったが、売上総利益率は前期と変わらず18.6%であった。また、販管費は同4.2%減少し、販管費率も同0.5ポイント低下した。販管費に関しては、社内業務のデジタル化推進が増加要因となったものの、在宅勤務の推進による通勤費減少、採用・教育のオンライン化、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による交際費抑制などの影響が大きく、販管費全体として減少した。
2022年3月期の業績見通しについては、売上高で前期比7.7%増の18,616百万円、営業利益で同3.6%増の900百万円と増収増益を予想する。システム開発に関しては、既存案件である車載組込みシステム開発案件、第三者検証サービス案件、運用設計や基盤構築案件などの受注拡大を目指すとともに、新規でクラウド化案件の受注拡大を目指す。弊社では、同社の顧客ポートフォリオが多様であり既存顧客からの安定的な受注が見込めること、コロナ禍を契機としてクラウド化のニーズが顕在化しDX(デジタルトランスフォーメーション)化の動きが活発となっていること等から、今期の増収増益予想は妥当性があると見ている。
2. 成長戦略
同社では、中期経営計画を毎期ローリングし、経営計画及び重点取り組みポイントをアップデートしている。具体的には、2024年3月期の業績目標として売上高21,500百万円、営業利益1,153百万円を掲げ、中期経営方針を「中核事業の拡大」「次期成長事業の創出」「事業基盤の強化」の3本柱としている。注目すべき戦略は「顧客のDX化ニーズへの対応」である。コロナ禍後は“非対面・非接触、オンライン”が主流となり、自動運転や金融のキャッシュレス化、オンライン業務などに代表される社会変化が進んでいる。このようにDX化が加速する事業環境を前提として、「持続的成長」を可能とする礎作りを推進する。また、中長期経営計画において同社が力点を置くのは、クラウドである。コロナ禍によりテレワーク・在宅勤務やオンライン会議などが求められており、クラウド型システムの構築は急務である。これに対し同社では、AWS、Azure等の技術者育成及びクラウド事業の積極的展開を行うべく、専門組織を立ち上げた。
3. 株主還元
同社では株主還元に関して、経済環境の変動が激しいことから、安定配当を第一とし、業績や将来の見通し、配当性向、配当利回り等を総合的に勘案し配当を決定する方針である。過去に遡ると、減益となった期もあったものの、1株当たりの配当金は維持または増配を行ってきた。2021年3月期の1株当たり配当金は、普通配当15円(前期同額)、配当性向23.7%となった。2022年3月期は、普通配当15円(前期同額)、配当性向23.5%を予想する。
■Key Points
・産業・サービス、金融・証券、情報・通信向けのシステム開発が主力。車載組込みシステム開発や第三者検証サービスなど多様な案件に参画
・2021年3月期業績は、新規案件の受注が拡大するも売上高微減、一方で事業基盤の強化及び販管費抑制により2ケタ営業増益で着地
・2022年3月期は増収増益予想。車載組込みシステム開発案件、第三者検証サービス案件、クラウド移行案件などで受注拡大を目指す
・中長期経営計画では、クラウドをはじめとするDX対応を本格展開
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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