天昇電 Research Memo(3):2021年3月期はコロナ禍の影響で72.1%の営業減益も、下期は回復
[21/07/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■天昇電気工業<6776>の業績動向
1. 2021年3月期の業績概要
(1) 損益状況
2021年3月期の連結業績は、売上高15,557百万円(前期比15.2%減)、営業利益291百万円(同72.1%減)、経常利益298百万円(同70.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益158百万円(同77.3%減)となった。
主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売がコロナ禍の影響を受け、上期に大きく落ち込んだことが響いた。下期に入ってから回復に向かったが、上期の落ち込みを十分には取り戻せず通期では大幅減益となった。四半期(会計期間)毎の営業利益は、第1四半期が35百万円の損失だったが、それ以降は利益を計上し第2四半期は38百万円、第3四半期は162百万円、第4四半期は126百万円となり、下期の回復ぶりが見て取れる。
特別損益では、特別利益として補助金収入451百万円、特別損失として固定資産圧縮損439百万円を計上したが、前者は現金性の収入だが後者は非現金性の損失であり、キャッシュ・フローの点ではプラスとなっている。
(2) セグメント別状況
セグメント別状況は地域ベースとなっている。日本成形関連事業の売上高は13,249百万円(前期比16.5%減)となった。金型の減価償却費が再び増加したことなどからセグメント利益は50百万円(同92.4%減)と大幅減益となった。中国成形関連事業の売上高は361百万円(同18.4%減)、セグメント利益は10百万円(同75.0%減)となった。減収・減益ではあったが、減収金額は比較的小さかった。子会社の株式追加取得により2019年3月期から新たにセグメントに追加されたアメリカ成形関連事業の売上高は1,656百万円(同5.1%減)、セグメント利益は21百万円(同81.0%減)となった。不動産関連事業は、売上高289百万円(同0.2%減)、セグメント利益247百万円(同10.6%増)となった。
(3) 設備投資額と減価償却費
2021年3月期の設備投資額(有形固定資産取得額)は1,984百万円(前期は2,178百万円)となり、引き続き高水準であった。射出成形機等の生産設備への大型投資は一巡したが、金型投資が増加した。減価償却費は1,208百万円(同1,047百万円)となった。
財務内容は改善しつつあり、自己資本比率は39.0%へ上昇
2. 財務状況とキャッシュ・フローの状況
2021年3月期末の財務状況は次のとおり。流動資産は7,870百万円(前期末比6百万円増)となったが、主要科目では現金及び預金が前期末比117百万円減、売上債権(電子記録債権含む)が同289百万円減、たな卸資産が同167百万円増となった。固定資産は9,453百万円(同219百万円増)となったが、内訳は有形固定資産が同185百万円増、無形固定資産が35百万円減、投資その他の資産が同68百万円増となった。この結果、資産合計は17,342百万円(同225百万円増)となった。
流動負債は7,096百万円(同379百万円減)となった。主な変動要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加308百万円、その他流動負債の減少687百万円である。固定負債は3,077百万円(同531百万円増)となったが、主に長期借入金の増加477百万円による。純資産は7,150百万円(同72百万円増)となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加108百万円による。この結果、2021年3月期末の自己資本比率は39.0%となり前期末の38.8%から0.2ポイント改善した。
また2021年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは1,035百万円の収入となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上310百万円、減価償却費1,208百万円、売上債権の減少276百万円、仕入債務の増加19百万円で、主な支出は、たな卸資産の増加179百万円となった。投資活動によるキャッシュ・フローは1,681百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得による支出1,984百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは496百万円の収入となったが、主な収入は長短借入金の増加(ネット)789百万円で、主な支出はリース債務の返済239百万円となった。この結果、現金及び現金同等物は117百万円減少し、2021年3月期末の残高は2,891百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2021年3月期の業績概要
(1) 損益状況
2021年3月期の連結業績は、売上高15,557百万円(前期比15.2%減)、営業利益291百万円(同72.1%減)、経常利益298百万円(同70.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益158百万円(同77.3%減)となった。
主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売がコロナ禍の影響を受け、上期に大きく落ち込んだことが響いた。下期に入ってから回復に向かったが、上期の落ち込みを十分には取り戻せず通期では大幅減益となった。四半期(会計期間)毎の営業利益は、第1四半期が35百万円の損失だったが、それ以降は利益を計上し第2四半期は38百万円、第3四半期は162百万円、第4四半期は126百万円となり、下期の回復ぶりが見て取れる。
特別損益では、特別利益として補助金収入451百万円、特別損失として固定資産圧縮損439百万円を計上したが、前者は現金性の収入だが後者は非現金性の損失であり、キャッシュ・フローの点ではプラスとなっている。
(2) セグメント別状況
セグメント別状況は地域ベースとなっている。日本成形関連事業の売上高は13,249百万円(前期比16.5%減)となった。金型の減価償却費が再び増加したことなどからセグメント利益は50百万円(同92.4%減)と大幅減益となった。中国成形関連事業の売上高は361百万円(同18.4%減)、セグメント利益は10百万円(同75.0%減)となった。減収・減益ではあったが、減収金額は比較的小さかった。子会社の株式追加取得により2019年3月期から新たにセグメントに追加されたアメリカ成形関連事業の売上高は1,656百万円(同5.1%減)、セグメント利益は21百万円(同81.0%減)となった。不動産関連事業は、売上高289百万円(同0.2%減)、セグメント利益247百万円(同10.6%増)となった。
(3) 設備投資額と減価償却費
2021年3月期の設備投資額(有形固定資産取得額)は1,984百万円(前期は2,178百万円)となり、引き続き高水準であった。射出成形機等の生産設備への大型投資は一巡したが、金型投資が増加した。減価償却費は1,208百万円(同1,047百万円)となった。
財務内容は改善しつつあり、自己資本比率は39.0%へ上昇
2. 財務状況とキャッシュ・フローの状況
2021年3月期末の財務状況は次のとおり。流動資産は7,870百万円(前期末比6百万円増)となったが、主要科目では現金及び預金が前期末比117百万円減、売上債権(電子記録債権含む)が同289百万円減、たな卸資産が同167百万円増となった。固定資産は9,453百万円(同219百万円増)となったが、内訳は有形固定資産が同185百万円増、無形固定資産が35百万円減、投資その他の資産が同68百万円増となった。この結果、資産合計は17,342百万円(同225百万円増)となった。
流動負債は7,096百万円(同379百万円減)となった。主な変動要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加308百万円、その他流動負債の減少687百万円である。固定負債は3,077百万円(同531百万円増)となったが、主に長期借入金の増加477百万円による。純資産は7,150百万円(同72百万円増)となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加108百万円による。この結果、2021年3月期末の自己資本比率は39.0%となり前期末の38.8%から0.2ポイント改善した。
また2021年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは1,035百万円の収入となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上310百万円、減価償却費1,208百万円、売上債権の減少276百万円、仕入債務の増加19百万円で、主な支出は、たな卸資産の増加179百万円となった。投資活動によるキャッシュ・フローは1,681百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得による支出1,984百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは496百万円の収入となったが、主な収入は長短借入金の増加(ネット)789百万円で、主な支出はリース債務の返済239百万円となった。この結果、現金及び現金同等物は117百万円減少し、2021年3月期末の残高は2,891百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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