HCH Research Memo(2):開発最上流でのプレゼンスが強まりつつあるIT成長企業
[21/07/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>は、金融機関向けのハード販売・開発・保守運用を目的として1974年に設立された(株)バンキング・システムズを前身としている。バンキング・システムズは設立後まもなく派遣事業を開始し、主力事業となった。その後、現在に至る純粋持株会社体制に移行するため、2016年に株式移転の方式により同社が設立された。
同社グループは純粋持株会社である同社と、事業を担う連結子会社4社の計5社で構成されている。現状では祖業の技術者派遣の収益の割合が多いものの、後に詳述するようにシステム開発における最上流の部分、いわゆるコンサルティング分野の収益が足元で大きく伸びている。ビジネスモデルの観点では、将来的には開発上流部分からの機能を担う会社としてのプレゼンスが高まっていくシナリオを弊社は予想する。
同社グループはシステムソリューションサービスの単一セグメントである。システムソリューションサービス事業では、主要顧客であるシステムインテグレーターやメーカーを経由して受託した企業向け社内システム構築などの開発案件に参画し、常駐を基本としてシステムの開発・保守を行う技術者を派遣している。システムの利用者となるエンドユーザーから直接受託したシステムの構築についても行っている。顧客は金融サービス業界、製造・流通業界、エネルギー業界、公共・医療業界、通信・メディア業界など幅広く、開発領域についても、物流、製造、マーケティング・販売、サービスなど多岐にわたる。
2019年7月にはシステムコンサルティング・受託に特化したACFを設立したほか、同年10月にはシステム開発後の保守運用を主とする(株)セイリング(以下、SLG)がグループに入った。これにより、グループ内でシステム開発における上流工程から最終工程まで全工程に対して、ソフトウェア開発における技術の提供が可能となった。
この点は同社の大きな特徴の1つとなっている。具体的には、ACFが最上流にてコンサルティングを行い、最下流ではSLGが保守運用を行うという流れで、グループとして一気通貫で案件を受注することができる。業界としては、いわゆる開発だけ、企画提案・コンサルティングだけといったように工程を部分的に手掛ける同業が多いなか、同社の一気通貫型サービスは独自性・差別化要因となっている。これはエンドユーザー目線では同社への信頼につながり、その結果として高付加価値な上流案件を獲得し、中流・下流の案件もセット受注するといった流れが見られる。同社は案件獲得において大手システムインテグレータと連携もしており、こういった強みを背景に新興企業ながら高い受注力を有すると弊社は考える。
事業を担う連結子会社4社の事業内容は以下の通り。
1) ACF
SI(システムインテグレーション・システム開発領域)の上流工程を担い、顧客企業の経営課題解決のコンサルティングを主体としている。経営課題抽出を通じてIT投資予算の獲得・拡大まで関与するため、システムソリューションサービスの頭脳部分であり、後工程の付加価値レベル向上に貢献している。要件定義・プロジェクトマネジメントを実践する中で、開発品質向上及びエンジニアの早期育成環境提供の両立を目指す。2020年9月末時点での保有エンジニア数は7名。
2) CLS
SIにおける要件定義・基本設計を担う。首都・東京圏に集中したプロジェクトチーム単位で、主として派遣契約に基づく技術者派遣を通じた技術的課題を解決する。グループ会社である(株)ブレーンナレッジシステムズ(以下、BKS)に所属するエンジニアの早期育成環境提供の役割も担っている。2020年9月末時点での保有エンジニア数は128名。
3) BKS
全国6拠点(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡)で展開しており、SIにおける基本設計・詳細設計を提供している。主として派遣契約に基づく技術者派遣を通じてプロジェクトチーム単位での参画に加え、緊急性が高いSI案件(=プロジェクトの遅延、他社エンジニアの離任に伴う緊急補充等)への技術的な課題解決も行う。2020年9月末時点での保有エンジニア数は504名。
4) SLG
派遣契約に基づく技術者派遣を通じて、SI・開発終了後、すべてのシステムにおいて必要となるシステム更改、機能拡張・改善、保守運用を担っている。SI工程の最終工程を担っているため、長期・安定型技術者派遣の提供が特徴である。2020年9月末時点での保有エンジニア数は70名。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>は、金融機関向けのハード販売・開発・保守運用を目的として1974年に設立された(株)バンキング・システムズを前身としている。バンキング・システムズは設立後まもなく派遣事業を開始し、主力事業となった。その後、現在に至る純粋持株会社体制に移行するため、2016年に株式移転の方式により同社が設立された。
同社グループは純粋持株会社である同社と、事業を担う連結子会社4社の計5社で構成されている。現状では祖業の技術者派遣の収益の割合が多いものの、後に詳述するようにシステム開発における最上流の部分、いわゆるコンサルティング分野の収益が足元で大きく伸びている。ビジネスモデルの観点では、将来的には開発上流部分からの機能を担う会社としてのプレゼンスが高まっていくシナリオを弊社は予想する。
同社グループはシステムソリューションサービスの単一セグメントである。システムソリューションサービス事業では、主要顧客であるシステムインテグレーターやメーカーを経由して受託した企業向け社内システム構築などの開発案件に参画し、常駐を基本としてシステムの開発・保守を行う技術者を派遣している。システムの利用者となるエンドユーザーから直接受託したシステムの構築についても行っている。顧客は金融サービス業界、製造・流通業界、エネルギー業界、公共・医療業界、通信・メディア業界など幅広く、開発領域についても、物流、製造、マーケティング・販売、サービスなど多岐にわたる。
2019年7月にはシステムコンサルティング・受託に特化したACFを設立したほか、同年10月にはシステム開発後の保守運用を主とする(株)セイリング(以下、SLG)がグループに入った。これにより、グループ内でシステム開発における上流工程から最終工程まで全工程に対して、ソフトウェア開発における技術の提供が可能となった。
この点は同社の大きな特徴の1つとなっている。具体的には、ACFが最上流にてコンサルティングを行い、最下流ではSLGが保守運用を行うという流れで、グループとして一気通貫で案件を受注することができる。業界としては、いわゆる開発だけ、企画提案・コンサルティングだけといったように工程を部分的に手掛ける同業が多いなか、同社の一気通貫型サービスは独自性・差別化要因となっている。これはエンドユーザー目線では同社への信頼につながり、その結果として高付加価値な上流案件を獲得し、中流・下流の案件もセット受注するといった流れが見られる。同社は案件獲得において大手システムインテグレータと連携もしており、こういった強みを背景に新興企業ながら高い受注力を有すると弊社は考える。
事業を担う連結子会社4社の事業内容は以下の通り。
1) ACF
SI(システムインテグレーション・システム開発領域)の上流工程を担い、顧客企業の経営課題解決のコンサルティングを主体としている。経営課題抽出を通じてIT投資予算の獲得・拡大まで関与するため、システムソリューションサービスの頭脳部分であり、後工程の付加価値レベル向上に貢献している。要件定義・プロジェクトマネジメントを実践する中で、開発品質向上及びエンジニアの早期育成環境提供の両立を目指す。2020年9月末時点での保有エンジニア数は7名。
2) CLS
SIにおける要件定義・基本設計を担う。首都・東京圏に集中したプロジェクトチーム単位で、主として派遣契約に基づく技術者派遣を通じた技術的課題を解決する。グループ会社である(株)ブレーンナレッジシステムズ(以下、BKS)に所属するエンジニアの早期育成環境提供の役割も担っている。2020年9月末時点での保有エンジニア数は128名。
3) BKS
全国6拠点(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡)で展開しており、SIにおける基本設計・詳細設計を提供している。主として派遣契約に基づく技術者派遣を通じてプロジェクトチーム単位での参画に加え、緊急性が高いSI案件(=プロジェクトの遅延、他社エンジニアの離任に伴う緊急補充等)への技術的な課題解決も行う。2020年9月末時点での保有エンジニア数は504名。
4) SLG
派遣契約に基づく技術者派遣を通じて、SI・開発終了後、すべてのシステムにおいて必要となるシステム更改、機能拡張・改善、保守運用を担っている。SI工程の最終工程を担っているため、長期・安定型技術者派遣の提供が特徴である。2020年9月末時点での保有エンジニア数は70名。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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