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神戸物産 Research Memo(1):業務スーパーの快進撃により2ケタ増益が続く見通し

注目トピックス 日本株
■要約

神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで自社グループで行う食の製販一体企業として国内トップ企業である。食品スーパーの「業務スーパー」をFC展開するほか、外食・中食事業やエコ再生エネルギー事業も行っている。店舗の徹底的な「ローコストオペレーション」と自社グループ商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力を強みとし、顧客ニーズに合う商品をベストプライスで提供し続けることで成長を続けている。

1. 2021年10月期第2四半期累計業績の概要
2021年10月期第2四半期累計(2020年11月−2021年4月)の連結業績は、売上高で前年同期比0.2%増の176,437百万円、営業利益で同16.1%増の14,387百万円となった。前下期より連結対象から外れたクックイノベンチャー事業を除いた既存事業ベースでは、売上高で同10.1%増、営業利益で同19.8%増となり、会社想定を上回る増収増益となった。主力の業務スーパー事業において、直轄エリア※の既存店(以下、既存店)向け商品出荷額が前年同期比1.9%増と堅調に推移したほか、九州、関東エリアを中心に新規出店が想定を上回るペースで進んだことが主因だ。既存店向け商品出荷額については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による内食需要の高まりで前年に大きく伸長したことから前年実績を下回る可能性も想定していたが、PB商品が多くのメディアに取り上げられたことで新規顧客の獲得につながり、前年同期を上回ることができた。利益率の上昇要因は、PB商品の構成比上昇と物流コストの抑制効果などによる。2021年10月期第2四半期末における業務スーパーの店舗数は、前期末比43店舗増の922店舗となっている。

※直轄エリアは、関西2府4県(淡路島除く)、関東1都3県、九州(鹿児島県、沖縄県除く)、北海道で、それ以外は地方エリアとしている。


2. 2021年10月期の業績見通し
2021年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の358,000百万円、営業利益で同23.3%増の29,400百万円と期初計画(売上高341,000百万円、営業利益24,800百万円)から上方修正した。業務スーパーの純増店舗数を期初計画の45店舗から60店舗に上方修正したこと、既存店向け商品出荷額が想定を上回って推移していること、PB商品比率の上昇や物流の効率化による収益性の向上が主因となっている。下期だけで見ると、売上高は前年同期比10.2%増、営業利益は同31.0%増となり、既存店向け商品出荷額は前年同期比で若干増を見込んでいる。現在もなお人気PB商品については欠品が出るなど、販売機会ロスが生じているようで生産体制の増強も継続して進めていく計画となっている。店舗数については6月中旬現在において確度の高い案件数をもとに計画を上方修正しているもようで、今後の状況次第では上乗せされる可能性もある。なお、業務スーパー事業の新たな取り組みとして、2021年8月にAI技術を活用した次世代型店舗の直営1店舗を「業務スーパー天下茶屋駅前店」としてオープンすることを発表している。AIカメラによって品切れの自動検知システムや、来店客が選んだ商品に応じておすすめ商品やレシピを提案するショッピングカートを導入する。AI技術を活用することで、店舗の生産性向上と顧客満足度の向上に取り組んでいく。

3. 中期経営計画の進捗状況
同社はコロナ禍の影響が長期化するなど、先行きが不透明な状況であることから、2022年10月期を最終年度とした中期経営計画の業績目標(売上高3,580億円、営業利益260億円)については変更していない。ただ、業務スーパーの店舗数が想定を上回るペースで拡大しており、関東エリア・九州エリアを中心にまだ出店余地も大きいことから、市場環境に大きな変化が無ければ、上方修正される可能性が高いと弊社では見ている。店舗数は、現状の勢いからすれば少なくとも1,200店舗までは見えてきているようで、今後も店舗数の拡大によって業績は安定成長が続くものと予想される。また、外食・中食事業では業務スーパー内に出店する惣菜店「馳走菜(ちそうな)」が好調で、2025年までに店舗数100店舗を目指している(2021年4月末37店舗)ほか、焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」についても現在直営で運営している6店舗が好調なことから、今後FC展開していくことも視野に入れている。

■Key Points
・業務スーパー事業が想定以上に伸長し、2021年10月期第2四半期累計業績は実質2ケタ増収増益に
・2021年10月期業績は上方修正を発表、新たにAI技術を活用した次世代店舗の取り組みも開始
・中期経営計画最終年度の業績目標は1年前倒しで達成する見込み

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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