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ダイコク電 Research Memo(1):2022年3月期も市場活性化とともに、下期に向けて業績の回復が進む見通し

注目トピックス 日本株
■要約

1. 事業概要
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示ユニット及び制御ユニットやパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア36.6%を占める。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,337店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。

同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発や継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策、「新規則」機への入れ替えなど)を通じて、パチンコホール業界が大きな転換点を迎えるなかで、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響も重なり、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。一方、2019年6月には、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースし、今後の事業拡大に向けて本格的に動き出した。「新規則」機による新たな時代に向けて、ホール経営の効率化・省力化、さらには集客力に貢献することで、市場シェア拡大と収益力の向上を目指している。

2. 2021年3月期決算の概要
2021年3月期の業績は、売上高が前期比29.4%減の23,228百万円、営業利益が同65.7%減の490百万円と、コロナ禍の影響により大幅な減収減益となった。コロナ禍のもと、休業要請及び時短営業等の影響により、パチンコホール経営が一段と厳しい状況に置かれたことや、「旧規則」機の撤去スケジュールが延期されたことが、設備投資意欲の極端な低下や設備投資の先延ばしを招き、「情報システム事業」が大きく後退した。また、「制御システム事業」についても、コロナ禍の影響により各遊技機メーカーの新作タイトル販売が延期されたことなどを背景として、表示ユニット及び制御ユニットの販売が前期を下回った。利益面では、大幅な減収に伴って減益となったが、全社的な経費の見直しが収益を下支えし、計画に対しては上回る着地となっている。

3. 2022年3月期の業績予想
2022年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比11.9%増の26,000百万円、営業利益を同73.2%増の850百万円と増収増益を見込んでいる。コロナ禍の長期化や半導体不足により厳しい環境が続いているものの、下期よりパチンコホールの設備投資が回復に向かうことで売上高の一定の回復を見込んでいる。特に、「旧規則」機の設置期限を2022年1月末に控え、「新規則」機への入れ替えが遊技機市場の活性化に寄与する見通しとなっている。したがって、下期偏重の業績予想となっていることには注意が必要である。利益面でも、「情報システム事業」で積極的な投資(先行費用)を予定しているものの、増収や収益体質の改善効果により、大幅な営業増益を見込んでいる。

4. 今後の戦略的方向性
同社は、規則改正などパチンコホール業界を取り巻く環境の変化に対して、中長期的には業界がさらに幅広く社会に支持される産業へ進化する好機と捉えている。特に、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」及び次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、業界の発展に貢献すると同時に、同社自身の成長力及び収益力の向上へと結びつける方針である。弊社でも、中長期的な視点から、業界全体の活性化に向けた取り組みのほか、異業種を含めたM&Aの動きにも注目している。

■Key Points
・2021年3月期は厳しい業界環境が続くなか、コロナ禍の影響も重なり減収減益となったが、利益面では計画を上回る着地。年間配当も40円を維持
・2022年3月期は下期よりパチンコホールの設備投資が回復に向かう想定により増収増益を見込む
・「旧規則」機の設置期限を2022年1月末に控え、「新規則」機への入れ替え需要が市場活性化に寄与する見通し
・「新規則」機による新たな時代に向けて、ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、データ活用による新たな価値の提供により、市場シェアの拡大と収益力の向上を目指す方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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