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ダイコク電 Research Memo(8):市場活性化やパチンコホールの設備投資の回復により増収増益を見込む

注目トピックス 日本株
■業績見通し

1. 2022年3月期の業績予想
2022年3月期の業績予想についてダイコク電機<6430>は、売上高を前期比11.9%増の26,000百万円、営業利益を同73.2%増の850百万円、経常利益を同1.3%増の1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同6.1%増の650百万円と増収増益を見込んでいる。

コロナ禍の長期化や半導体不足により厳しい環境が続いているものの、下期よりパチンコホールの設備投資が回復に向かうことで売上高の一定の回復を見込んでいる。特に、「旧規則」機の設置期限を2022年1月末に控え、「新規則」機への段階的な入れ替えが、遊技機市場の活性化に寄与する見通しとなっている。したがって、下期偏重の業績予想となっていることには注意が必要である。また、コロナ禍の長期化も見据え、ホール稼動が元の水準に戻らなくても利益を出せる収益体質へさらに改善していく方針のようだ。

利益面でも、「情報システム事業」で積極的な投資(先行費用)を予定しているものの、増収や収益体質の改善効果により大幅な営業増益を見込んでいる。営業利益率も3.3%(前期は2.1%)に改善する想定である。

2. 主な活動方針
同社は、業績の早期回復を目指すとともに、状況の変化に臨機応変に対応しつつ、将来を見据えた活動にも注力していく方針である。

(1) 情報システム事業
引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の導入や、2022年3月期の目玉となる商圏分析サービス「Market-SIS」の普及を推進するとともに、新たなMGサービスの投入なども予定しているようだ。また、メンテナンスサービスの充実にも取り組み、ホールとの関係をさらに強化する考えだ。

(2) 制御システム事業
パチスロ遊技機から足元が好調なパチンコ遊技機へ営業の主軸を移す一方、今後に向けては、パチスロ自社筐体の販売※等による事業領域の拡大(ハードに重きを置いた販売戦略)や、ソフト開発受託案件の収益力強化(業務の効率化等)などに取り組む方針である。

※同社が保有する金型等の有効活用(OEM)などに狙いがある。


3. 弊社アナリストの見方
弊社アナリストも、コロナ禍の影響については引き続き注視する必要があるものの、「旧規則」機の設置期限に向けて市場活性化が期待できることや、特に「遊タイム」機が順調に普及していること、同社製品(サービス)に対する潜在的な需要の大きさなどから、同社業績は本格的な回復プロセスに入っていく可能性が高いと見ている。また、同社の業績予想についても、ホールの稼動率を保守的に見ていることなどを勘案すれば、十分に達成可能な水準と判断できる。注目すべきは、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」や「Market-SIS」の普及に向けた進捗のほか、新たなMGサービスの投入、「制御システム事業」における事業領域の拡大など、将来を見据えた取り組みにある。特に、具体的な製品(サービス)の動きは、今後の目指す方向性を示すものとして注目すべきであろう。また、コロナ禍が収束に向かうことを前提とすれば、市場の正常化とともに、パチンコホール業界には生き残りをかけた投資やM&Aが加速し、業界再編の動きが一気に進むことが想定され、同社にとっても重要なターニングポイントを迎える可能性がある。したがって、そのような視点からも今後の動きをフォローする必要があろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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