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ダイコク電 Research Memo(9):シェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値創出を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の戦略的方向性

ダイコク電機<6430>は、規則改正などパチンコホール業界を取り巻く環境の変化に対して、中長期的には業界がさらに幅広く社会に支持される産業へ進化する好機と捉えている。特に、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」及び次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、業界の発展に貢献すると同時に、同社自身の成長力及び収益力の向上へと結び付ける方針である。

1. 情報システム事業
AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の導入を促進するとともに、「遊タイム」等の新たな遊技性に対応した様々なコンテンツを搭載した製品を市場投入することで、パチンコホールの業績改善に貢献していく方針である。さらには、MGサービス(特に、商圏分析サービス「Market-SIS」)の推進により、パチンコホールの競争力向上と省力化を支援し、顧客の囲い込みと業績の安定化の両方を実現していく。

2. 制御システム事業
市場は、遊技機の開発コスト低減への志向を強めるとともに、今後の市場環境の変化に対応した新たな提案へのニーズが高まり、企画力がより重要になっているなかで、「情報システム事業」との連携による差別化戦略と市場環境の変化への迅速な対応、業務効率の向上に取り組む方針である。特に、開発体制の見直しや、さらなる業務効率の向上を図るとともに、これまで培ってきたハードとソフト技術の活用により、パチスロ遊技機の一括受託開発や製品販売の事業領域を拡大(パチスロビジネスの本格化)していくほか、「情報システム事業」の保有する「DK-SIS」データ及び「Fan-SIS」データ※を活用し、新たな遊技価値を生み出す企画提案活動を推進する。

※顔認証システム「CIIFACE」によって生成されたファン動向データを全国の導入店舗から集め、市場全体のファン動向の把握を可能とするサービス。


3. 研究開発体制の強化
2020年4月1日には、中長期的な視点から新技術の基礎研究や新規事業の検討等を行う研究開発部を新設した(2021年より研究開発室に変更)。将来の事業拡大への技術支援を目的とし、AI技術など最新技術を社内に導入するための技術基盤構築を担う。オープンイノベーションを推進し、技術の蓄積や社外とのアライアンス構築にも取り組む。

4. 弊社アナリストの注目点
弊社でも、パチンコホール業界が大きな転換期を迎えているなかで、その影響により足元の収益環境には依然として不透明感が残っているものの、中長期的に見れば、付加価値の高い次世代製品群をはじめ、将来を見据えたAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」が立ち上がってきた同社には大きなアドバンテージがあるものと見ている。特に、同社ならではのサービスやデータ分析による経営支援及び価値提案は、今後の業界の進むべき方向性に合致したものと評価できる。仮に、市場がしばらく縮小傾向をたどったとしても、付加価値の高い次世代製品群の本格稼動により既存店向けの入れ替え需要を取り込みながら、持続的な成長を実現することは可能だろう。また、パチンコホールも資本力のあるところを中心に勝ち残り、二極化がさらに進む可能性が高く、そうなってくれば、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」による囲い込みや市場シェアの拡大を目指す同社にとってプラスに働くものと見ている。

外部環境の影響を受けやすい売上高の伸びについては、当面、慎重に判断する必要があると捉えているが、市場環境の変化に対応した製品・サービスの開発やMGサービスの拡大などによる収益性の向上に注目すべきだろう。また、中長期的な視点からは、「新規則」機への全面移行による新たな時代を迎えるにあたって、業界全体の活性化に向けた取り組みにも期待している。具体的には、パチンコホールや遊技機メーカーにとどまらず、パチンコ・パチスロファン、アミューズメントファン、新たなファン層にも直接的に働きかける活動(スマートフォンアプリによる会員向け情報提供のほか、ホールに誘導する仕掛け等)などに注目したい。さらには、次世代ホールコンピュータなどへの大型投資が一巡し、回収期に入ってきたなかで、異業種を含めたM&Aの動きにも注意する必要があるだろう。特に、同社のデータを活用するノウハウは横展開が可能であるため、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るためにも、重要な戦略として捉えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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