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ギフト Research Memo(5):業務・製品の仕組化を推進することで2025年10月期に国内1000店舗を目指す

注目トピックス 日本株
■中期経営計画

1. 中期経営計画と出店戦略
ギフト<9279>は中期経営計画として、2023年10月期に売上高213億円、経常利益21億円、2025年10月期に国内1,000店達成を目指している。また、中期ビジョンとして、「商品改革」「オペレーション改革」「製造・物流改革」の「3つの改革」を実行し、業務・製品の仕組化を推し進めることを掲げている。

2. 3つの改革
(1) 商品改革
商品改革では、商品や調理方法を標準化・単純化することで、安定した品質で商品を提供することを目指す。具体的には、麺・餃子に加えチャーシューの自社工場生産を開始したことに加え、からあげのPB化により、店内仕込み及び包丁作業の軽減を図る。また、ABC分析※によりメニューをブラッシュアップし、主力商品に集中することで、提供速度を改善させる。新業態に関しては、「横浜家系ラーメン」「豚山」の店舗展開から得たノウハウをみそ業態にも注入することで、みそ業態をブラッシュアップするほか、更なる新業態として、年間2業態を目標に積極的に開発を進める。

※ABC分析:売上や販売個数など指標の重要度順にメニューを並べて分析することで、メニューの改廃などに生かす販売管理手法。


(2) オペレーション改革
オペレーション改革では、パフォーマンスを最大化し、優れたノウハウを蓄積していく文化を作ること、また、優れたノウハウをワークショップとフォーラムを通じて全社共有することで、さらに繁盛する店舗へと進化することを目指す。具体的には、パフォーマンスの最大化のために、作業をカメラ画像で分析する新フォーメーション「RUN&GUN」を開発した。「RUN&GUN」により、提供速度のバラつきがなくなり、極度に提供が遅くなる商品を解消できた。また、調理工程の簡略化やトッピングの共通化により、品質の安定化及び提供速度も上がっているようだ。5店舗で行った実証実験では、ラーメン1杯当たりの提供時間が平均で9.2分から5.9分へと35%短縮されただけでなく、5店舗全店で短縮が図れたようだ。なお、「RUN&GUN」で営業時間外の工数が削減されたことにより、コスト削減にもつながっている。

社員・キャストのモチベーションアップも、オペレーション改革の重要な目的である。同社は、繁盛店運営マニュアルの標準化、調理オペレーションの動画共有、充実したOJT教育、各種社内研修の実施、本社からのサポート体制の充実など、徹底したオペレーション教育を実施している。これにより、店舗、社員・キャスト間で作業やサービスにばらつきが出ないようにするとともに、仮にばらつきがあったとしても、進捗管理やフォーラムを通じたナレッジの全社共有などによって改善が可能となっている。そのうえで、充実した評価・報酬制度があることが、モチベーションアップに大きな効果を挙げている。細かい評価項目を設定し、成果に応じて次のキャリアを準備することでスピード感のあるキャリアアップが可能となるため、入社1年目で店長に昇進する従業員もいるようだ。

(3) 製造・物流改革
製造・物流改革では、品質・生産能力向上、配送効率を上げることで安定供給とコスト削減を目指す。製造改革では、製造能力を強化することで多店舗展開に耐えうる供給体制を構築する。具体的には、製麺工場を365日稼働することで麺の鮮度・製造能力向上・リスクヘッジを図る。さらに丹波篠山工場が本格的に稼働することで従来の1.5倍の製造能力を確保した。また、内製化品目を増やすことで品質向上及びコスト削減を図る。一方、物流改革では、多店舗展開を支える物流センターを確立することで、メーカーからの一括納入によるコストメリットや安定供給に加え、各店舗へ一括納品することで配送頻度を低減させることが可能となった。

3. リスク対応
同社は、3つの改革を実行し、業務・製品の仕組化を推進することで、「横浜家系ラーメン」で培ったブランド力を維持しながら成長を続けていく考えである。併せて、繁盛店の立地を狙ったM&Aや新業態事業も軌道に乗せていく方針である。その際のリスクとしては、出店数に応じた人材の育成と、直営店ノウハウのプロデュース店への横展開にあると考えられる。人材については、徹底した教育体制と充実した評価・報酬制度によって十分確保できるであろう。一方、独立志向の強いプロデュース店は本来チェーン化のニーズに乏しいが、日々ブラッシュアップを続ける同社のPB商品や運営ノウハウは、プロデュース店の味・品質・サービスの維持やオペレーションコストの継続的な削減にもつながる。このためプロデュース店においても、3つの改革の効果は波及していくことが予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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