テクノスJPN Research Memo(5):2021年3月期は期初予想を上回る増収増益を実現
[21/07/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
1. 2021年3月期連結業績の概要
テクノスジャパン<3666>の2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.8%増の8,197百万円、営業利益が同227.2%増の924百万円、経常利益が同211.5%増の958百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同407.1%増の661百万円と期初予想を上回る増収増益となった。
コロナ禍対策としてのデジタル需要がDX化の流れを後押しする一方、景気悪化懸念に伴うIT投資抑制の動きが交錯するなかで、企業のERP・CRMへのシステム投資が堅調に推移したことや、2020年1月にグループ化したアックが通年寄与したことにより増収となり、売上高は3期連続で過去最高を更新した。
利益面では、人材増強※に伴う人件費の増加やプラットフォームビジネス(CBP)への先行費用を継続しながらも、特定案件のプロジェクト損失(一過性要因)により大幅減益となった前期(2020年3月期)からの回復や、増収による収益の押し上げ、コロナ禍(活動制限等)に伴う経費抑制などにより大幅な増益を実現した。営業利益率も11.3%(前期は3.7%)に改善し、前々期(2019年3月期)並みの水準に戻すことができた。
※2021年3月期の連結従業員数は511名(前期末比82名増)に増加した。積極的な新卒採用(約40名)のほか、連結子会社であるLirik Infotech Private(インド開発拠点)において、CRMビジネスの強化等を目的としてIT人材の積極採用を行ったことが理由である。
財政状態については、「現金及び預金」や「売掛金」「投資有価証券」(評価益)の増加等により、総資産は前期末比9.4%増の6,550百万円に拡大した。一方、自己資本についても、内部留保の積み増しや「その他投資有価証券評価差額金」の増加より、前期末比13.8%増の4,950百万円に拡大したことから、自己資本比率は75.6%(前期末は72.6%)に高まった。
2020年3月期の特殊要因を除けば、売上高・利益ともに順調に増加傾向
2. 過去の業績推移
過去の連結業績を振り返ると、2016年3月期以降、ビッグデータ事業の立ち上がりや海外売上高の拡大により成長が加速してきた。また、2018年3月期は、TDSEの非連結化に伴って一旦減収となったが、2019年3月期以降は、ERP・CRMの拡大により3期連続で増収となっており、旺盛な投資意欲を背景として同社業績も順調に伸びていると評価できる。また、利益面でも、2019年3月期までは5期連続で最高益(営業及び経常利益)を更新し、利益率は業界標準を大きく上回る水準を維持してきた(2020年3月期は、前述のとおり、一過性の特殊要因により利益水準は一旦落ち込んだが、2021年3月期には回復している)。
一方、財務面でも、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は高い水準で推移する一方、資本効率を示すROEも10%を超える水準を確保しており、同社の財務内容は極めて優良と言える。なお、2019年3月期から2020年3月期のROEが33.1%から2.7%へと大きく変動しているのは、それぞれに一時的な特殊要因※が影響しており、本質的な収益性(資本効率性)の変化を示すものではない。2021年3月期は14.2%のROE水準に回復している。
※2019年3月期は関係会社(TDSE)株式の売却益の計上、2020年3月期は特定案件のプロジェクト損失の計上が影響した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 2021年3月期連結業績の概要
テクノスジャパン<3666>の2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.8%増の8,197百万円、営業利益が同227.2%増の924百万円、経常利益が同211.5%増の958百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同407.1%増の661百万円と期初予想を上回る増収増益となった。
コロナ禍対策としてのデジタル需要がDX化の流れを後押しする一方、景気悪化懸念に伴うIT投資抑制の動きが交錯するなかで、企業のERP・CRMへのシステム投資が堅調に推移したことや、2020年1月にグループ化したアックが通年寄与したことにより増収となり、売上高は3期連続で過去最高を更新した。
利益面では、人材増強※に伴う人件費の増加やプラットフォームビジネス(CBP)への先行費用を継続しながらも、特定案件のプロジェクト損失(一過性要因)により大幅減益となった前期(2020年3月期)からの回復や、増収による収益の押し上げ、コロナ禍(活動制限等)に伴う経費抑制などにより大幅な増益を実現した。営業利益率も11.3%(前期は3.7%)に改善し、前々期(2019年3月期)並みの水準に戻すことができた。
※2021年3月期の連結従業員数は511名(前期末比82名増)に増加した。積極的な新卒採用(約40名)のほか、連結子会社であるLirik Infotech Private(インド開発拠点)において、CRMビジネスの強化等を目的としてIT人材の積極採用を行ったことが理由である。
財政状態については、「現金及び預金」や「売掛金」「投資有価証券」(評価益)の増加等により、総資産は前期末比9.4%増の6,550百万円に拡大した。一方、自己資本についても、内部留保の積み増しや「その他投資有価証券評価差額金」の増加より、前期末比13.8%増の4,950百万円に拡大したことから、自己資本比率は75.6%(前期末は72.6%)に高まった。
2020年3月期の特殊要因を除けば、売上高・利益ともに順調に増加傾向
2. 過去の業績推移
過去の連結業績を振り返ると、2016年3月期以降、ビッグデータ事業の立ち上がりや海外売上高の拡大により成長が加速してきた。また、2018年3月期は、TDSEの非連結化に伴って一旦減収となったが、2019年3月期以降は、ERP・CRMの拡大により3期連続で増収となっており、旺盛な投資意欲を背景として同社業績も順調に伸びていると評価できる。また、利益面でも、2019年3月期までは5期連続で最高益(営業及び経常利益)を更新し、利益率は業界標準を大きく上回る水準を維持してきた(2020年3月期は、前述のとおり、一過性の特殊要因により利益水準は一旦落ち込んだが、2021年3月期には回復している)。
一方、財務面でも、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は高い水準で推移する一方、資本効率を示すROEも10%を超える水準を確保しており、同社の財務内容は極めて優良と言える。なお、2019年3月期から2020年3月期のROEが33.1%から2.7%へと大きく変動しているのは、それぞれに一時的な特殊要因※が影響しており、本質的な収益性(資本効率性)の変化を示すものではない。2021年3月期は14.2%のROE水準に回復している。
※2019年3月期は関係会社(TDSE)株式の売却益の計上、2020年3月期は特定案件のプロジェクト損失の計上が影響した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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