川辺 Research Memo(3):ハンカチーフ、スカーフ・マフラー、フレグランスの海外有名ブランドが主力
[21/07/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■川辺<8123>の事業概要
1. 身の回り品事業とフレグランス事業を展開
ハンカチーフ、スカーフ・マフラー、タオル、雑貨等を販売する身の回り品事業、香水等を販売するフレグランス事業を展開している。両事業とも海外有名ブランドが主力である。
2021年3月期の売上高構成比は身の回り品事業が86.1%、フレグランス事業が13.9%であった。過去5期間(2017年3月期〜2021年3月期)の推移で見ると、事業別の売上高構成比は身の回り品事業が8割強、フレグランス事業が1割強で推移している。品目別の売上高構成比はハンカチーフが6割強で推移している。また雑貨・その他の構成比が上昇傾向である。フレグランス事業は収益性改善が課題となっている。
2. 販売経路別では百貨店向けが主力
販売経路別では、百貨店向けを主力として、量販店、専門店、小売店、卸売事業者等に卸売販売している。また直営小売店において雑貨やフレグランスを小売販売している。過去5期間の売上高構成比の推移を見ると、百貨店向けが、取引形態変更や地方百貨店を中心とする閉店に伴う売場面積減少などで低下傾向となっている。一方で、その他(直営小売店、通販含む)が新規販路開拓やEC通販拡大などで上昇傾向となっている。なお直営小売店舗は2021年3月期末時点で、身の回り品事業の「プレイヤーズ自由が丘」を19店舗、フレグランス事業の「ジューシィジュエル」「クリスティーナ・パフューマリー」「ザ・パフューマーズ」を合計9店舗展開している。
3. 両事業とも海外有名ブランドが主力
両事業とも海外有名ブランドを主力としている。さらに消費トレンドの変化に対応したブランドの新規導入、S&B(スクラップ・アンド・ビルド)や、消費者ニーズの多様化に対応した自社ブランド商品の企画・開発・拡販も積極推進している。
身の回り品事業の主力ブランドとして、ハンカチーフではPOLO RALPH LAUREN(ポロ・ラルフローレン)、LANVIN COLLECTION(ランバン・コレクション)、LANVIN en Bleu(ランバン・オン・ブルー)、PEANUTS(ピーナッツ)、JILL STUART(ジルスチュアート)、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)、2018年導入のnicolai bergmann(ニコライ・バーグマン)、2019年導入のKate spade NEW YORK(ケイト・スペード ニューヨーク)、2020年導入のDORAEMON(ドラえもん)などがある。
スカーフ・マフラーでは、自社ブランドのNATURAL BASIC(ナチュラル・ベーシック)、自社ブランドのfelice regalo(フェリーチェ・レガーロ)、モデル・女優の桐島かれんプロデュースのHOUSE OF LOTUS(ハウス・オブ・ロータス)などがある。
雑貨・その他では、「マザーズバッグ」をコンセプトとしたハウスブランド「プレイヤーズ」を、直営小売店「プレイヤーズ自由が丘」の主力商材としている。30〜40歳前後の子育て中のマザー(母親)をターゲット層にした軽量・多機能のファッションバッグである。またコロナ禍も背景として、DR.C医薬(株)の光触媒を応用したクリーン技術「ハイドロ銀チタン(R)」マスクや、ライセンスブランドのファッションマスクの販売を強化している。
フレグランス事業では、Salvatore Ferragamo(サルヴァトーレ フェラガモ)等を主力として、Miller Harris(ミラーハリス)やACQUA DI PARMA(アクア ディ パルマ)など、希少性の高いmaison(メゾン)系ブランドを発掘して積極投入している。さらにブルガリパルファン事業部の日本国内における輸入販売をブルガリ社と2021年1月より開始している。
ギフト需要や冬季需要などの特性
4. 収益特性・リスク要因と対策
収益特性及びリスク要因としては、季節要因、景気や天候の消費マインドへの影響、消費トレンドの変化、主力販売先である百貨店の閉店・売場面積縮小、百貨店との取引形態変更、導入品のライセンス契約変更などがある。またコロナ禍のマイナス影響(緊急事態宣言に伴う百貨店及び直営小売店の臨時休業・時短営業、百貨店における催事中止・規模縮小、外出自粛による個人消費低迷、海外からの入国制限によるインバウンド需要の消失など)を大きく受けている。
季節要因としては、ハンカチーフは海外有名ブランドが主力で3月の新生活需要が最大のマーケットとなり、スカーフ・マフラーは防寒商品のため秋・冬シーズンが需要期となる。こうした市場には、新ブランド・新アイテムを積極投入することによって、消費喚起や売上拡大につなげている。
百貨店の閉店・売場面積減少というリスク要因に対しては、直営小売事業・EC事業・OEM事業の拡大、新規販路(百貨店以外の量販店・専門小売店チェーン)の開拓や、ブランド力向上に向けた百貨店以外でのイベント企画・運営などを推進している。
導入ブランドのライセンス契約については、国内外の有名ブランドの権利者と商標使用並びに技術提携に関する契約を締結しているが、契約更新に伴う契約条件の改定、ライセンス供給側に起きるM&Aや経営方針・販売戦略の転換による契約終了などが発生する可能性がある。こうしたリスク要因への対策として、消費やブランドのトレンド変化を的確に捉えて旬のブランドを導入するだけでなく、管理効率化も目的としてブランドのS&Bを積極推進している。
なお主力商品は海外有名ブランドだが、商品仕入は総合商社などを経由した国内仕入が大半を占めており、直接輸入が少ないため為替変動による業績への直接的な影響は小さい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<NB>
1. 身の回り品事業とフレグランス事業を展開
ハンカチーフ、スカーフ・マフラー、タオル、雑貨等を販売する身の回り品事業、香水等を販売するフレグランス事業を展開している。両事業とも海外有名ブランドが主力である。
2021年3月期の売上高構成比は身の回り品事業が86.1%、フレグランス事業が13.9%であった。過去5期間(2017年3月期〜2021年3月期)の推移で見ると、事業別の売上高構成比は身の回り品事業が8割強、フレグランス事業が1割強で推移している。品目別の売上高構成比はハンカチーフが6割強で推移している。また雑貨・その他の構成比が上昇傾向である。フレグランス事業は収益性改善が課題となっている。
2. 販売経路別では百貨店向けが主力
販売経路別では、百貨店向けを主力として、量販店、専門店、小売店、卸売事業者等に卸売販売している。また直営小売店において雑貨やフレグランスを小売販売している。過去5期間の売上高構成比の推移を見ると、百貨店向けが、取引形態変更や地方百貨店を中心とする閉店に伴う売場面積減少などで低下傾向となっている。一方で、その他(直営小売店、通販含む)が新規販路開拓やEC通販拡大などで上昇傾向となっている。なお直営小売店舗は2021年3月期末時点で、身の回り品事業の「プレイヤーズ自由が丘」を19店舗、フレグランス事業の「ジューシィジュエル」「クリスティーナ・パフューマリー」「ザ・パフューマーズ」を合計9店舗展開している。
3. 両事業とも海外有名ブランドが主力
両事業とも海外有名ブランドを主力としている。さらに消費トレンドの変化に対応したブランドの新規導入、S&B(スクラップ・アンド・ビルド)や、消費者ニーズの多様化に対応した自社ブランド商品の企画・開発・拡販も積極推進している。
身の回り品事業の主力ブランドとして、ハンカチーフではPOLO RALPH LAUREN(ポロ・ラルフローレン)、LANVIN COLLECTION(ランバン・コレクション)、LANVIN en Bleu(ランバン・オン・ブルー)、PEANUTS(ピーナッツ)、JILL STUART(ジルスチュアート)、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)、2018年導入のnicolai bergmann(ニコライ・バーグマン)、2019年導入のKate spade NEW YORK(ケイト・スペード ニューヨーク)、2020年導入のDORAEMON(ドラえもん)などがある。
スカーフ・マフラーでは、自社ブランドのNATURAL BASIC(ナチュラル・ベーシック)、自社ブランドのfelice regalo(フェリーチェ・レガーロ)、モデル・女優の桐島かれんプロデュースのHOUSE OF LOTUS(ハウス・オブ・ロータス)などがある。
雑貨・その他では、「マザーズバッグ」をコンセプトとしたハウスブランド「プレイヤーズ」を、直営小売店「プレイヤーズ自由が丘」の主力商材としている。30〜40歳前後の子育て中のマザー(母親)をターゲット層にした軽量・多機能のファッションバッグである。またコロナ禍も背景として、DR.C医薬(株)の光触媒を応用したクリーン技術「ハイドロ銀チタン(R)」マスクや、ライセンスブランドのファッションマスクの販売を強化している。
フレグランス事業では、Salvatore Ferragamo(サルヴァトーレ フェラガモ)等を主力として、Miller Harris(ミラーハリス)やACQUA DI PARMA(アクア ディ パルマ)など、希少性の高いmaison(メゾン)系ブランドを発掘して積極投入している。さらにブルガリパルファン事業部の日本国内における輸入販売をブルガリ社と2021年1月より開始している。
ギフト需要や冬季需要などの特性
4. 収益特性・リスク要因と対策
収益特性及びリスク要因としては、季節要因、景気や天候の消費マインドへの影響、消費トレンドの変化、主力販売先である百貨店の閉店・売場面積縮小、百貨店との取引形態変更、導入品のライセンス契約変更などがある。またコロナ禍のマイナス影響(緊急事態宣言に伴う百貨店及び直営小売店の臨時休業・時短営業、百貨店における催事中止・規模縮小、外出自粛による個人消費低迷、海外からの入国制限によるインバウンド需要の消失など)を大きく受けている。
季節要因としては、ハンカチーフは海外有名ブランドが主力で3月の新生活需要が最大のマーケットとなり、スカーフ・マフラーは防寒商品のため秋・冬シーズンが需要期となる。こうした市場には、新ブランド・新アイテムを積極投入することによって、消費喚起や売上拡大につなげている。
百貨店の閉店・売場面積減少というリスク要因に対しては、直営小売事業・EC事業・OEM事業の拡大、新規販路(百貨店以外の量販店・専門小売店チェーン)の開拓や、ブランド力向上に向けた百貨店以外でのイベント企画・運営などを推進している。
導入ブランドのライセンス契約については、国内外の有名ブランドの権利者と商標使用並びに技術提携に関する契約を締結しているが、契約更新に伴う契約条件の改定、ライセンス供給側に起きるM&Aや経営方針・販売戦略の転換による契約終了などが発生する可能性がある。こうしたリスク要因への対策として、消費やブランドのトレンド変化を的確に捉えて旬のブランドを導入するだけでなく、管理効率化も目的としてブランドのS&Bを積極推進している。
なお主力商品は海外有名ブランドだが、商品仕入は総合商社などを経由した国内仕入が大半を占めており、直接輸入が少ないため為替変動による業績への直接的な影響は小さい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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