ミロク情報 Research Memo(8):2022年3月期はサブスクモデルへの移行の影響などにより経常減益を見込む
[21/07/27]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■業績動向
4. 2022年3月期の業績見通し
ミロク情報サービス<9928>は5月に2022年3月期の連結業績に関して、売上高で前期比9.8%増の37,400百万円、営業利益で同11.0%減の4,030百万円、経常利益で同11.3%減の4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.3%減の2,380百万円と増収減益となる見通しを発表した。その後、7月13日付で「持分法適用関連会社の異動(譲渡)、特別利益の発生及び業績予想の修正に関するお知らせ」を開示し、2022年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益に関して、期初計画の2,380百万円から3,810百万円に上方修正した。同開示資料によると、同社が保有していた持分法適用関連会社のpringの株式(保有割合22.7%)すべてを米国のGoogleに譲渡することにより、約2,070百万円の特別利益が発生する見込みとのことだ。譲渡は2021年8月下旬までに実行される予定で、第2四半期に特別利益として計上されることになる。なお、同社は2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用する。本章における前期比については、参考として新旧基準数値を単純計算して記載した。
売上高については単体業績が前期比1.9%増と微増にとどまるものの、前第4四半期に子会社化したトライベックの売上が通年で寄与することや、前期にコロナ禍の影響で落ち込んだグループ会社の売上回復を見込んだことで、連結では2ケタ弱の増収計画になっている。一方で、利益面では、ERP製品のサブスクモデルへの段階的な移行を推進していくことで、一時的にマイナス影響を受けることや、積極的な人材投資(新卒採用者数は単体で過去最高の85名を採用)による人件費の増加が減益要因となる。連結相殺が入るため、連単差が単純に子会社の業績とはならないものの、営業利益の連単差を見ると、2021年3月期363百万円のマイナスから、2022年3月期は収支均衡ラインとなり、子会社の損益に関しては売上の回復とともに改善すると見られる。全体的には、利益面で保守的な印象が強く、コロナ禍の影響が深刻化しなければ、会社計画を上回る可能性もあると弊社では見ている。
2022年3月期の品目別売上高の見通しについては、システム導入契約売上高が前期比5.8%増の20,450百万円、サービス収入が同1.3%増の12,328百万円、その他(主に子会社の売上)が同80.4%増の4,621百万円となる見通し。
システム導入契約売上高に関しては、2021年3月にリリースした中堅・中小企業向け新ERPシステム「MJSLINK DX」(クラウド型)を中心に企業向けが前期比17.3%増の11,493百万円と大幅増を見込んでいる。営業施策として、中堅・中小企業向けERPシステムの販売に特化したソリューション支社を新たに4支社(北海道、東北、神奈川、南九州)を立ち上げ、合計11のソリューション支社で積極的な拡販活動を推進していく。一方、会計事務所向けについては同17.4%減の5,339百万円と減収を見込んでいる。会計事務所向けについてもサブスクモデルへの移行を推進していくため、その影響を見込んでいるようだ。また、その他(ERP子会社、販売パートナー向け等)については、ERP子会社の売上回復により同18.0%増の3,617百万円と2ケタ増収を見込む。
サービス収入の内訳を見ると、ソフト使用料は前期比14.8%増の2,639百万円と2ケタ成長が続く。サブスクモデルへの段階的移行が増収要因となる一方で、2022年3月期から会計基準変更(収益認識基準の適用)の影響を一部受けることもあって、伸び率は鈍化する見通しとなっている。ただ、影響額は数億円程度で、サブスクモデルへの移行による影響とほぼ変わらないであろうことを考えると、保守的な印象であり上振れする可能性が高いと弊社では見ている。一方、ソフト運用支援サービスについても、前期比2.6%増の5,403百万円と伸び率が鈍化する見通しとなっている。これは、既存ユーザーが「MJSLINK DX」にリプレースする際に、サブスクモデルで契約した場合、従来ソフト運用支援サービスに計上されていた保守・サービスの売上がソフト使用料に計上される格好となるためだ。会計事務所向け総合保守サービスのTVSについても同様に、同0.4%増の2,483百万円と微増にとどまると見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
4. 2022年3月期の業績見通し
ミロク情報サービス<9928>は5月に2022年3月期の連結業績に関して、売上高で前期比9.8%増の37,400百万円、営業利益で同11.0%減の4,030百万円、経常利益で同11.3%減の4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.3%減の2,380百万円と増収減益となる見通しを発表した。その後、7月13日付で「持分法適用関連会社の異動(譲渡)、特別利益の発生及び業績予想の修正に関するお知らせ」を開示し、2022年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益に関して、期初計画の2,380百万円から3,810百万円に上方修正した。同開示資料によると、同社が保有していた持分法適用関連会社のpringの株式(保有割合22.7%)すべてを米国のGoogleに譲渡することにより、約2,070百万円の特別利益が発生する見込みとのことだ。譲渡は2021年8月下旬までに実行される予定で、第2四半期に特別利益として計上されることになる。なお、同社は2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用する。本章における前期比については、参考として新旧基準数値を単純計算して記載した。
売上高については単体業績が前期比1.9%増と微増にとどまるものの、前第4四半期に子会社化したトライベックの売上が通年で寄与することや、前期にコロナ禍の影響で落ち込んだグループ会社の売上回復を見込んだことで、連結では2ケタ弱の増収計画になっている。一方で、利益面では、ERP製品のサブスクモデルへの段階的な移行を推進していくことで、一時的にマイナス影響を受けることや、積極的な人材投資(新卒採用者数は単体で過去最高の85名を採用)による人件費の増加が減益要因となる。連結相殺が入るため、連単差が単純に子会社の業績とはならないものの、営業利益の連単差を見ると、2021年3月期363百万円のマイナスから、2022年3月期は収支均衡ラインとなり、子会社の損益に関しては売上の回復とともに改善すると見られる。全体的には、利益面で保守的な印象が強く、コロナ禍の影響が深刻化しなければ、会社計画を上回る可能性もあると弊社では見ている。
2022年3月期の品目別売上高の見通しについては、システム導入契約売上高が前期比5.8%増の20,450百万円、サービス収入が同1.3%増の12,328百万円、その他(主に子会社の売上)が同80.4%増の4,621百万円となる見通し。
システム導入契約売上高に関しては、2021年3月にリリースした中堅・中小企業向け新ERPシステム「MJSLINK DX」(クラウド型)を中心に企業向けが前期比17.3%増の11,493百万円と大幅増を見込んでいる。営業施策として、中堅・中小企業向けERPシステムの販売に特化したソリューション支社を新たに4支社(北海道、東北、神奈川、南九州)を立ち上げ、合計11のソリューション支社で積極的な拡販活動を推進していく。一方、会計事務所向けについては同17.4%減の5,339百万円と減収を見込んでいる。会計事務所向けについてもサブスクモデルへの移行を推進していくため、その影響を見込んでいるようだ。また、その他(ERP子会社、販売パートナー向け等)については、ERP子会社の売上回復により同18.0%増の3,617百万円と2ケタ増収を見込む。
サービス収入の内訳を見ると、ソフト使用料は前期比14.8%増の2,639百万円と2ケタ成長が続く。サブスクモデルへの段階的移行が増収要因となる一方で、2022年3月期から会計基準変更(収益認識基準の適用)の影響を一部受けることもあって、伸び率は鈍化する見通しとなっている。ただ、影響額は数億円程度で、サブスクモデルへの移行による影響とほぼ変わらないであろうことを考えると、保守的な印象であり上振れする可能性が高いと弊社では見ている。一方、ソフト運用支援サービスについても、前期比2.6%増の5,403百万円と伸び率が鈍化する見通しとなっている。これは、既存ユーザーが「MJSLINK DX」にリプレースする際に、サブスクモデルで契約した場合、従来ソフト運用支援サービスに計上されていた保守・サービスの売上がソフト使用料に計上される格好となるためだ。会計事務所向け総合保守サービスのTVSについても同様に、同0.4%増の2,483百万円と微増にとどまると見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>