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CAICA Research Memo(11):Zaifグループとのシナジー創出等により成長加速を目指す

注目トピックス 日本株
■中期経営計画

1. 基本方針
CAICA<2315>は、2021年10月期より3ヶ年の中期経営計画「IT金融の更なる深化に向けて」をスタートしたが、2021年3月にZaif HDを連結化したことに伴い、新たに改訂版を公表した。Zaif HD連結化による上乗せやシナジー創出のスピードアップを反映して、数値目標を大きく引き上げたものの、今後の方向性に大きな変更はない。すなわち、新しい金融資産である暗号資産、普及拡大が間近に迫ったブロックチェーン、コロナ禍によりさらに加速するデジタル化を背景として、金融と社会が大きく変貌するパラダイムシフトに合致した企業を目指している。特に、戦略の軸は、復活に向けて本格的に動き出したZaifグループとの連携強化にある。暗号資産に関連した新商品の開発や約40万口座の顧客基盤を活用したマーケティングなど、シナジー創出のポテンンシャルは大きい。

2. 数値目標
中期経営計画2年目となる2022年10月期以降、eワラントの新商品及びZaifグループの業績フル寄与により、「金融サービス事業」を大きく拡大させる想定であり、2022年10月期の売上高は100億円を突破する計画となっている。利益面でも、増収効果や付加価値の高いサービス・商品の提供により、利益率の大幅な改善を見込んでおり、最終年度(2023年10月期)の目標については、売上高11,758百万円、営業利益1,810百万円(営業利益率15.4%)を目指している。また、事業拡大のためのM&Aも継続実施していく方針であり、最終年度の売上高目標には、M&Aによる上乗せ分10億円も含まれている。

3. グループ戦略
(1) ITサービス事業
自社製品(CAICAブランド)の販売を強化し、ソリューション型商品の比率を上げていく戦略である。1年目となる2021年10月期については、暗号資産交換所パッケージシステム「crypto base C」を始め、ブロックチェーンコミュニケーションサービス「Gu-Gu」、セキュリティソリューション、NFTプラットフォームの販売強化などに取り組むとともに、2年目以降は、SI事業者向け業務効率化プラットフォームのほか、ブロックチェーンを活用した新サービスを順次リリースしていく計画である。

(2) 金融サービス事業
活況な暗号資産市場を背景として、Zaifグループとeワラントグループの連携強化により同社ならではの暗号資産関連商品の販売強化に取り組む。1年目となる2021年10月期については、暗号資産関連の新商品「レバレッジトラッカー」の販売を開始したほか、暗号資産CFD取引サービスも開始した。2年目以降も、暗号資産関連の新商品を相次いでリリースしていく計画である。

(3) M&A
2021年10月期はZaif HDの子会社を実施。2022年10月期以降も事業拡大のためのM&Aを継続する計画である。

4. 2030年に向けた将来ビジョン
「デジタル金融の世界を切り拓く」をスローガンとして、「あらゆる事がデジタル化される未来。中央集権型から分散型(DeFi)へ、業界構造そのものが大きく変革していく金融。CAICAはその変革者になります。」を目指す姿に掲げ、2030年度に売上高500億円を目標としている。もっとも、金融とITをシームレスに統合したこれまでにないタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーム構想)に取り組む方向性に変化はない。すなわち、金融に暗号資産という新概念が登場し、パラダイムシフトの黎明期にあるなかで、新しいプレイヤーが垣根を越えて参入できるチャンスが広がっていることから、金融とITに高度に精通した同社ならではの新しい価値創造を実現していく考えである。中長期的には海外展開や社会インフラ関連ソリューションへの進出も視野に入れているようだ。

5. 弊社アナリストによる注目点
弊社アナリストも、外部要因(デジタル化の進展や活況な暗号資産市場等)及び内部要因(大型の資金調達の実現やZaifグループとのシナジー創出等)が整ってきたことから、本格的な成長に向けて転換期にあると捉えている。特に、暗号資産やブロックチェーン技術のポテンシャルに対して注目が集まるなかで、他社に先駆けてブロックチェーン技術を活用したFinTech分野に注力し、高い信頼性やセキュリティ機能などが求められる暗号資産交換所システムで実績を積み上げてきた同社には、暗号資産ビジネスを展開するうえで大きなアドバンテージがあると見ている。また、金融とITをシームレスに統合した新しいタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーム構想)に取り組む方向性についても、現時点では未知数の部分があるものの、第一種金融商品取引業であるeワラント証券や暗号資産交換業者を自社グループ内に抱えるシステム開発会社という、他に例を見ないユニークな事業基盤を生かせるうえ、暗号資産ビジネスを展開するための差別化要因としても期待が持てる。当面は、Zaifグループとの連携を軌道に乗せ、暗号資産ビジネスの拡大に向けた基盤をいかに強化していくのかがポイントとなるだろう。また、長期的視点からは、金融プラットフォーム構想やステーブルコインの動きなど、ポテンシャルの大きな分野への展開にも注目したい。短期から中長期まで、デジタル化の潮流に合致した戦略を設定しており、今後の成長期待は大きい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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