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エスプール Research Memo(3):障がい者雇用支援サービスは計画を若干下回るも、需要は旺盛で高成長が続く

注目トピックス 日本株
■エスプール<2471>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前年同期比30.8%増の3,458百万円、営業利益は同18.9%増の880百万円と増収増益基調が続いた。売上高は障がい者雇用支援サービスを中心にすべてのサービスで増収となった。利益面では、ロジスティクスアウトソーシングサービスが一部不採算案件の発生等により減益となったものの、その他サービスの利益増でカバーした。営業利益率は前年同期比2.5ポイント低下の25.5%となったが、主には障がい者雇用支援サービスの販売構成比の変化と、ロジスティクスアウトソーシングサービスの収益性低下によるものとなっている。

a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上高は前年同期比32.7%増の1,994百万円と大きく伸長し、営業利益も同85百万円増加の763百万円となった。緊急事態宣言の再発出に伴う諸手続きの遅れにより、行政連携案件(長久手ファーム)の開設時期が下期にずれ込んだため、販売区画数が474区画と当初計画(489区画)を若干下回ったものの、前年同期比では16.2%増となり半期ベースで過去最高を更新した。また、当第2四半期末の運営管理区画数は前年同期比28.8%増の4,267区画となり、障がい者雇用数で同28.8%増の2,133人、契約企業数で同74社増の355社と順調に拡大した。なお、第2四半期末の受注残は180区画と前年同期の192区画から若干減少しているが、引き合いは依然旺盛な状況が続いている。また、長久手ファームの開設遅延の影響は販売区画数で54区画となったが、これらは下期の売上に計上される予定となっている。

売上高の内訳を見ると、運営区画数の拡大により運営管理収入が前年同期比39.8%増の1,001百万円と大きく伸長したほか、設備販売が同25.0%増の764百万円、人材紹介料が同30.6%増の226百万円といずれも2ケタ増となった。その他収入の伸びが販売区画数の伸びに対して高くなっているが、これは紹介料の平均単価上昇が主因となっている。また、新規農園の開設は3施設で、2021年4月に「さいたま越谷ファーム」、同年5月に屋内農園となる「Plusあいち名古屋」「Plusおおさか摂津」を開設し、合計で26農園となった。新規農園の販売はいずれも順調に進んでいる。

売上高営業利益率の低下要因として、売上構成比の変化(運営管理収入の売上構成比上昇)が挙げられるが、そのほか賃料負担の重い屋内型農園を2施設、5月に開設したことも一因と考えられる。農園は開設の半年前から賃料負担が発生するため、開設時期によっては費用が先行することになる。屋内型農園として2020年8月に開設した「Plus東京板橋」のケースで見ると、賃料が近隣の屋外型農園と比較して約5倍の水準であり、オープンの半年前から賃料負担が発生していた。賃料負担については月額管理収入や栽培設備の価格を高く設定することで吸収するが(フル稼働の場合、利益率は同水準)、農園の稼働率がまだ低い時期においては利益率の低下要因となる。

b) ロジスティクスアウトソーシングサービス
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は前年同期比6.6%増の599百万円と増収となったものの、営業利益は同24百万円減少の47百万円にとどまった。減益要因は、EC通販発送代行業務において、一部低収益案件が発生し、生産性が低下したことが要因となっている。

売上高の内訳を見ると、EC通販発送代行業務は前年同期比6.5%増の540百万円、物流センター運営代行業務は同9.3%増の59百万円となった。EC通販発送代行サービスについては、EC市場拡大を背景とした取扱量の拡大が増収要因となった。また、物流センター運営代行業務については、前年同期に大きく落ち込んだ百貨店向け物流の回復が増収要因となったが、緊急事態宣言が続いたことから回復力は緩慢で2年前の売上水準(96百万円)と比較すると低水準にとどまっている。

c) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前年同期比22.9%増の342百万円、営業利益は同15百万円増加の54百万円と2ケタ増収増益となった。コロナ禍により、売上の約3割を占める飲食業界向けは低調だったものの、デリバリーサービス事業者やスーパーマーケット、ドラッグストア等の小売業界からの需要増加でカバーした格好となっている。顧客数も前期末から16社増加し115社となっている。応募受付数は前年同期比36.7%増の357千件となっており、受付回数当たりの売上単価が低下しているが、これは顧客構成の変化によるものとなっている。

d) 環境経営支援サービス
環境経営支援サービスについては、売上高で81百万円、営業損失で3百万円となった。売上高はクレジット単価の大幅上昇に伴い仕入が苦戦したことにより、期初計画を大きく下回った。また、利益面でも若干の損失を計上したが、コンサルティング業務において、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の質問書に対する回答支援案件を50社から受注し、これらの大半が当第3四半期に納品予定となっていることから、通期では期初計画を上回る見通しとなっている。期初計画では、営業利益に関して収支均衡水準で想定していたが、コンサルティング業務の成長により30百万円程度の利益が見込める状況となっている。

CDPとは、企業や自治体の環境行動(温室効果ガスの排出削減や気候変動への取り組み等)を調査・評価し、そのデータをステークホルダーに情報公開している英国のNGO(非政府組織)のことで、世界の多くの機関投資家がESG関連銘柄の投資を行う際にCDPの情報を活用している。CDPでは、気候変動、フォレスト、水セキュリティの3テーマにおける質問書を調査対象企業に対して年に1回送付し、その回答をスコアリングして情報開示している。日本では2020年に上場企業500社に質問書を送付し、うち65%が回答を行っている。スコアリングに関してはCDPのトレーニングを受けたパートナー企業が実施しており、気候変動のテーマではブルードットグリーンを含めて8社がスコアリングパートナーとなっている。ブルードットグリーンではスコアリング業務のほか、企業が質問の回答を適切に行うためのコンサルティングも行っており、2021年はこのコンサルティング案件の受注が大きく増加した。

e) その他
その他の事業に関しては、セールスサポートサービスが売上高で300百万円弱、営業利益で50百万円、プロフェッショナル人材バンクサービスが売上高で130百万円、営業利益で25百万円となった。前年同期はコロナ禍でいずれも収益が悪化したが、当第2四半期累計では揃って増収増益に転じている。

(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前年同期比14.9%増の8,205百万円、営業利益は同18.4%増の931百万円と好調を持続した。売上高の内訳を見ると、主力のコールセンター業務が前年同期比19.6%増の6,724百万円と高成長が続いたほか、その他業務(介護系派遣等)も同36.0%増の525百万円と増加したが、販売支援業務については緊急事態宣言の影響を受け同15.5%減の956百万円と減少傾向が続いた。

コールセンター業務については、グループ派遣による高品質なサービスが引き続き評価され、主要顧客先での取引シェアが拡大していることが好調の要因となっている。従来、トップシェアは1社だけであったが、当第2四半期累計では3社に増加した。グループ派遣の核となる現場常駐社員(フィールドコンサルタント)に関しては、前年同期比34名増の322名と順調に増員が進んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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