NECキャピ Research Memo(7):withコロナにおける社会課題の解決は、新たな社会価値を創出する機会
[21/07/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2022年3月期業績予想
NECキャピタルソリューション<8793>の2022年3月期業績予想については、賃貸・割賦事業の持続的な成長と新規事業の収益化を図ることなどにより、売上高230,000百万円(前期比4.0%増)、営業利益10,000百万円(同67.6%増)、経常利益10,000百万円(同64.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,500百万円(同33.5%増)を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症は、ビジネスや日常生活の在り方に大きな影響を与え、且つ、今後もその影響は継続していくものと想定されているなか、同社の事業活動においては、新たな社会価値を創出する機会とすることも可能と考えている。非接触、非対面、三密回避など、withコロナ、afterコロナにおける社会課題の解決には、NECグループの金融サービス会社として同社がこれまでに蓄積してきたノウハウが、大きな力を発揮できるものと考えている。
賃貸・割賦事業においてGIGAスクール構想による特需の規模こそ減少するものの、安定的に利益寄与が見込まれるほか、テレワーク需要も引き続き伸びが見込まれると弊社では考えている。また、非接触技術で強みを持つNECとの連携により、ニューノーマルでの社会ニーズを取り込むことも可能だろう。さらに21年9月1日にデジタル庁が創設されることから、政府と民間が共同してデジタルトランスフォーメーション(DX)が本格的に動き出すと見られ、官公庁向けに強みを持つ同社の利益成長を押し上げることになると弊社では考えている。
2. 中期計画
同社はグループビジョンとして、「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を掲げている。このグループビジョンは、目の前の変化に対応するだけではなく、中長期的に目指す揺るぎない方向性を定め、全社員が心を一つにして経営を進めていくことが重要であると考え、2013年10月に策定されたものである。10年後の「ありたい姿」を明確に描き、その達成に向け3段階に分けたロードマップを作成した。中期計画を3回積み重ねることで、事業活動そのものが社会価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済価値を創出し、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV経営を目指すものである。同社は、このCSV経営実現に向けた10年間のロードマップを策定し事業を推進しており、グループビジョンは10年間で3つの中期計画を積み重ねることで実現する。
「中期計画2014」では「コア領域の基盤再構築」と「仕掛けを構築」、「中期計画2017」では「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」、そして「中期計画2020」では、2つの中期計画で積み重ねてきた取り組みをさらに進化させ、「コア領域の拡充」と「新事業の収益化」を戦略として掲げている。2020年3月期で第2段階である「中期計画2017」が終了し、「中期計画2020」はグループビジョンを実現していくという壮大な流れの中の最終段階と言える。
「中期計画2020」では、With/Afterコロナ時代における新たな社会課題の解決をビジネスチャンスとして確実に捉え、金融とICTで社会の変革を先導する。収益性を重視しながら各種取り組みの推進により、2023年3月期には、営業利益11,000百万円、経常利益12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,500百万円と過去最高益を目指す。
3. 中期計画2020進捗状況
「コア領域の拡充」においては、ベンダーとの新たなサービスの確立として、サービス化で先行する米国のNECFS社を買収、北米における新たな事業機会を獲得した。北米拠点を確保することで今後の事業成長に向けた取り組みが期待される。NECグループの連携強化によるGIGAスクール、消防案件の取り組みが大幅に伸長。GIGAスクール案件はピークアウト後も一定の利益寄与、消防分野においては新規取引の横展開が見込まれる。その他、外資系ICTベンダーと新規取り組み開始したほか、医療向けやICT機器におけるサービスモデル確立に向けた取り組みが進展している。成長分野における専門事業の加速としては、テレワーク需要を着実に取り込んだことから、 PCレンタルサービスなどが前年のWin10更新特需を上回る伸びとなった。顧客基盤の拡充と営業企画・推進機能の活用としては、顧客ニーズ・市場動向などの情報収集・把握、およびクロスセル活動活性化による収益性向上の実現、顧客基盤の深耕・拡充活動が進展し、賃貸・割賦事業の民需成約高は一昨年対比で2割増加となった。
「新事業の収益化」においては、地域活性化に向けた取り組みが各地で進展したものの、コロナ影響もあり収益貢献は限定的。ヘルスケアは、ウエアハウジング事業が着実に進展し当期5物件で新規獲得するなど、収益に貢献している。エネルギーでは新たにPPAサービス開始に向け、NECプラットフォームズ社と契約を締結している。事業戦略を支える経営基盤の強化としては、全従業員へのテレワーク環境の整備、働き方の見直しを実施。withコロナにおける業務環境のさらなる整備を進める。また、DBJ(日本政策投資銀行)環境格付融資で17年連続最高ランクを獲得している。これはDBJが独自に開発したスクリーニングシステムにより企業の非財務情報を評価して優れた企業を選定し融資するものである。またSMBC ESG/SDGs(ポジティブ・インパクト型)評価融資AAAを獲得。これは国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)により策定されたポジティブ・インパクト金融原則に適合した融資商品である。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2022年3月期業績予想
NECキャピタルソリューション<8793>の2022年3月期業績予想については、賃貸・割賦事業の持続的な成長と新規事業の収益化を図ることなどにより、売上高230,000百万円(前期比4.0%増)、営業利益10,000百万円(同67.6%増)、経常利益10,000百万円(同64.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,500百万円(同33.5%増)を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症は、ビジネスや日常生活の在り方に大きな影響を与え、且つ、今後もその影響は継続していくものと想定されているなか、同社の事業活動においては、新たな社会価値を創出する機会とすることも可能と考えている。非接触、非対面、三密回避など、withコロナ、afterコロナにおける社会課題の解決には、NECグループの金融サービス会社として同社がこれまでに蓄積してきたノウハウが、大きな力を発揮できるものと考えている。
賃貸・割賦事業においてGIGAスクール構想による特需の規模こそ減少するものの、安定的に利益寄与が見込まれるほか、テレワーク需要も引き続き伸びが見込まれると弊社では考えている。また、非接触技術で強みを持つNECとの連携により、ニューノーマルでの社会ニーズを取り込むことも可能だろう。さらに21年9月1日にデジタル庁が創設されることから、政府と民間が共同してデジタルトランスフォーメーション(DX)が本格的に動き出すと見られ、官公庁向けに強みを持つ同社の利益成長を押し上げることになると弊社では考えている。
2. 中期計画
同社はグループビジョンとして、「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を掲げている。このグループビジョンは、目の前の変化に対応するだけではなく、中長期的に目指す揺るぎない方向性を定め、全社員が心を一つにして経営を進めていくことが重要であると考え、2013年10月に策定されたものである。10年後の「ありたい姿」を明確に描き、その達成に向け3段階に分けたロードマップを作成した。中期計画を3回積み重ねることで、事業活動そのものが社会価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済価値を創出し、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV経営を目指すものである。同社は、このCSV経営実現に向けた10年間のロードマップを策定し事業を推進しており、グループビジョンは10年間で3つの中期計画を積み重ねることで実現する。
「中期計画2014」では「コア領域の基盤再構築」と「仕掛けを構築」、「中期計画2017」では「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」、そして「中期計画2020」では、2つの中期計画で積み重ねてきた取り組みをさらに進化させ、「コア領域の拡充」と「新事業の収益化」を戦略として掲げている。2020年3月期で第2段階である「中期計画2017」が終了し、「中期計画2020」はグループビジョンを実現していくという壮大な流れの中の最終段階と言える。
「中期計画2020」では、With/Afterコロナ時代における新たな社会課題の解決をビジネスチャンスとして確実に捉え、金融とICTで社会の変革を先導する。収益性を重視しながら各種取り組みの推進により、2023年3月期には、営業利益11,000百万円、経常利益12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,500百万円と過去最高益を目指す。
3. 中期計画2020進捗状況
「コア領域の拡充」においては、ベンダーとの新たなサービスの確立として、サービス化で先行する米国のNECFS社を買収、北米における新たな事業機会を獲得した。北米拠点を確保することで今後の事業成長に向けた取り組みが期待される。NECグループの連携強化によるGIGAスクール、消防案件の取り組みが大幅に伸長。GIGAスクール案件はピークアウト後も一定の利益寄与、消防分野においては新規取引の横展開が見込まれる。その他、外資系ICTベンダーと新規取り組み開始したほか、医療向けやICT機器におけるサービスモデル確立に向けた取り組みが進展している。成長分野における専門事業の加速としては、テレワーク需要を着実に取り込んだことから、 PCレンタルサービスなどが前年のWin10更新特需を上回る伸びとなった。顧客基盤の拡充と営業企画・推進機能の活用としては、顧客ニーズ・市場動向などの情報収集・把握、およびクロスセル活動活性化による収益性向上の実現、顧客基盤の深耕・拡充活動が進展し、賃貸・割賦事業の民需成約高は一昨年対比で2割増加となった。
「新事業の収益化」においては、地域活性化に向けた取り組みが各地で進展したものの、コロナ影響もあり収益貢献は限定的。ヘルスケアは、ウエアハウジング事業が着実に進展し当期5物件で新規獲得するなど、収益に貢献している。エネルギーでは新たにPPAサービス開始に向け、NECプラットフォームズ社と契約を締結している。事業戦略を支える経営基盤の強化としては、全従業員へのテレワーク環境の整備、働き方の見直しを実施。withコロナにおける業務環境のさらなる整備を進める。また、DBJ(日本政策投資銀行)環境格付融資で17年連続最高ランクを獲得している。これはDBJが独自に開発したスクリーニングシステムにより企業の非財務情報を評価して優れた企業を選定し融資するものである。またSMBC ESG/SDGs(ポジティブ・インパクト型)評価融資AAAを獲得。これは国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)により策定されたポジティブ・インパクト金融原則に適合した融資商品である。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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