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ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):2021年10月期第2四半期累計業績は期初予想を大幅に上回る好決算

注目トピックス 日本株
■ジェイ・エス・ビー<3480>の業績動向

1. 2021年10月期第2四半期の業績概要
2021年10月期第2四半期累計期間におけるわが国経済は、依然としてコロナ禍の世界的大流行に伴う経済活動の制限により、厳しい状況が継続した。また先行きについても、引き続き感染防止策を講じながら経済活動の再開に向けた取り組みがなされる一方で、一部の地域においてはコロナ禍の再拡大が確認され緊急事態宣言の発令が相次ぐなど収束の時期を見通すことができず、さらなる経済の下振れや金融資本市場への影響が懸念されている。

このような経営環境のもと、同社グループでは、賃貸入居需要の集中する最繁忙期(2月〜4月) を迎えた。2021年10月期第2四半期ではコロナ禍の影響が懸念される運営環境を背景に、感染防止策を徹底したうえでの募集活動の実施やオンラインを通じた非対面での営業活動の推進など、従来の営業スタイルとは異なる顧客へのアプローチを実践した。こうした取り組みの効果もあり、従来の増収ペースを崩すことなく物件管理戸数では当初計画を上回り、同社グループの収益基盤の底上げにつながったことに加え、当初計画策定時に最も懸念していた2021年4月時点での入居率についても前年同期以上の高水準を確保することができた。

以上から2021年10月期第2四半期累計では、売上高は28,551百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益4,658百万円(同15.4%増)、経常利益4,611百万円(同16.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益3,071百万円(同15.7%増)の大幅な増収増益決算となった。各利益は、2020年10月期決算発表時の期初予想に比べて20%前後も超過する好決算であった。計画を上回る物件管理戸数の順調な増加や高水準の入居率維持により賃貸関連売上高が伸長したうえ、人員体制は強化したものの、2019年10月期に刷新したシステム運用が定着し、非対面営業の推進により一般管理費増が抑制されたことから、大幅な増収増益となった。厳しい経営環境のなかで業界内では強い会社と弱い会社の二極化が鮮明になった。

なお同社グループでは、主力事業の不動産賃貸管理事業においては賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期に新規契約件数が増加することから売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向がある。

2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
物件管理戸数は75,946戸(前年同期比3,462戸増)と順調に増加した。入居率についてはコロナ禍における学生や大学等教育機関の動向を考慮のうえ、全国各エリアにおける低下を見込んでいたが、非対面を中心とした営業戦略へシフトすることで、計画上の下落幅を補う形となり、前年同期の99.8%から0.1ポイント増の99.9%と、100%に近い過去最高の水準に達した。厳しい経営環境で倒産に追い込まれた学生寮運営会社があったなかで、同社グループの稼働状況は際立っている。新規物件開発では、山口大学のキャンパス構内に、山口大学生協との共同運営となる「Uni E’terna 山口吉田学?会館」の運営を開始した。また、新潟県内で運営される学生マンションとしては最大級の規模で、自社所有物件では新潟県初進出となる「学生会館Uni E’meal新潟大学前」の運営を開始した。 費用面では人員数の増加による人件費の増加はあったものの、刷新本稼働から3期目を迎える基幹システム運用の定着と、非対面を中心とした営業戦略による一定の効率化が図れたことで一般管理費等固定費の縮減が進み、利益率の向上につながった。コロナ禍の影響については、2021年10月期第2四半期においても経営成績への直接的な影響はなかった。以上の結果、売上高26,907百万円(前年同期比10.8%増)、セグメント利益5,169百万円(同13.4%増)となった。

このように不動産賃貸管理事業では、当初計画を上回る物件管理戸数の増加と前年同期以上の入居率確保に伴い、売上高・セグメント利益は右肩上がりで順調に拡大し、基幹システム刷新の効果もあって人件費等の費用の増加を吸収して高い利益率を維持している。

(2) 高齢者住宅事業
各高齢者施設の稼働状況はおおむね計画どおりの進捗となっており、2019年10月にオープンした「グランメゾン迎賓館大津大将軍」の稼働状況は、ほぼ満室と引き続き良好な状況で推移している。また、地域課題を解決するプラットフォームを目指す事業コンセプトのもと、急速に進む高齢化社会で増加する空き家問題の解決の推進として、不動産事業を全国で展開するハウスドゥ<3457>グループの(株)ピーエムドゥと業務提携を行い、高齢者の住まいを対象に、自宅の売却・利活用の支援への取り組みを開始した。 同事業においてもコロナ禍による経営成績への大きな影響はなかった。以上の結果、売上高1,399百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益213百万円(同34.9%増)となった。

高齢者住宅事業では、施設数の増加に伴い売上高は順調に拡大し、セグメント利益は2017年10月期から黒字に転じている。同事業では新規取得の施設の黒字化までに時間がかかることもあり、従来は不動産賃貸管理事業に比べて低い利益率にとどまっていたが、2020年10月期からは大きく改善している。2021年10月期第2四半期は、入居率の上昇に伴い家賃関連売上や介護サービス関連売上が増加した一方、人員シフトや掃除ロボット・見守り機器の導入などによる運営効率化を継続的に実施して経費の圧縮に努めた成果が現れたようだ。

(3) その他の事業
その他の事業としては、学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種支援サービスの提供、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めるとともに、学生マンションの共用部をシェアリングスペースとして活用するなど、独自性のある価値提供へ向けた取り組みを行っている。その他の事業については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると言えるだろう。2021年10月期第2四半期はコロナ禍の影響から、採用関連事業では合同企業説明会や就活セミナーについて、Web開催を中心に進めてきた。また日本語学校事業でも、留学生への入国制限等により受け入れ時期の遅延が継続している。以上から、その他の事業は、売上高244百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント損失86百万円(前年同期は22百万円の損失)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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