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ネクスグループ Research Memo(5):コロナ禍の影響で減収も親会社株主に帰属する四半期純利益が黒字転換(1)

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年11月期第2四半期累計の業績概要
ネクスグループ<6634>の2021年11月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が2,298百万円(前年同期比32.4%減)、営業損失が324百万円(前年同期は376百万円の損失)、経常損失が255百万円(同414百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が363百万円(同917百万円の損失)となった。

トピックスとしては、戦略的注力領域であるIoT関連事業を強化するために、2021年3月にネクスの株式の49%をCAICA<2315>より取得し、完全子会社化した。また、ネクスでは、LTE/3G USBデータ通信端末「UX302NC-R」が(株)NTTドコモの相互接続性試験をクリアしたことにより、NTTドコモの取扱製品として同社製品サイトに掲載されるとともに全国のドコモショップ・オンラインショップにて販売され、新型コロナウイルスの感染症対策としてテレワーク導入企業に幅広く展開された。しかしながら、コロナ禍による先行き不透明感から、IoT/M2M分野で設備投資が抑制されたことにより、減収となった。インターネット旅行事業及びブランドリテールプラットフォーム事業においても、緊急事態宣再言発出によりゴールデンウィーク需要が大きく減少し、減収となった。ただし、(株)Zaif Holdingsなどの株式売却に伴う特別利益によって、親会社株主に帰属する当期純損益は黒字転換した。

2. セグメント別動向
(1) IoT関連事業
IoT関連事業の売上高は236百万円(前年同期比63.6%減)、営業損失は85百万円(前年同期は114百万円の利益)となった。主力製品の「UX302NC-R」において、2020年11月期に受注したものの一部が顧客側で流通在庫となっており、2021年11月期上期の受注が伸び悩んだ。

一方で、2020年11月期下期から2021年11月期上期にかけて新サービス開始に関するリリースが続いた。具体的には下記3点が挙げられる。

a) USB型 LTE/3Gデータ通信端末「UX302NC-R」に、在宅勤務などのテレワークに対応した2段階認証※によるセキュリティ機能を搭載した付加サービス「セキュアアクセスパッケージ」をリリースした。

※本人確認に2回の認証を必要とする、セキュリティ強化を目的とする仕組み。


b) 文部科学省が教育改革案として推奨している学校のICT化「GIGAスクール構想」における「1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画」に標準仕様として提示されているGoogle Chrome OSを搭載したコンピュータ「Chromebook」に対応する機能の追加を行った。

c) 法的規制強化と車両管理業務の効率化、ドライバーの減少・高齢化など市場を取り巻く社会環境の影響で、需要が増加傾向にあるクラウド型車両管理・動態管理システムにおいて、一定の市場を確保している「OBDIIデータ通信端末」が、国内の主なLTE周波数である5方式のGNSS※に対応し、より多くの衛星測位システムを使うことで、ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部でも測位の安定性が向上した「GX700NC」をリリースした。

※Global Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)の略で、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムの総称。


このほかにも、ネクスでは、2019年度米国防権限法(NDAA2019)の成立により大幅に締め付けが強化された華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)などの中国電子機器メーカー5社の機器やサービス、またそれを利用している企業の製品やサービスを米国政府機関が調達することを禁止する措置をとったことにより、該当5社からの部品採用を行っていない同社製品への切り替え需要が引き続き増加している。また、働き方改革の推進、新型コロナウイルスの感染対策としてテレワークを導入する企業が増加するなか、在宅勤務で使用するPC・タブレットからの企業ネットワークへの接続などで幅広く利用されることによる需要も継続した。なお、テレワークについては、コロナ禍収束後も多くの企業で通常の労働形態とすることが予想されることから、今後も販売増加に寄与すると弊社では見ている。加えて、電力設備、複合機、医療機器の遠隔監視や遠隔メンテナンス、食品・薬品などの温度管理、監視カメラによる遠隔監視など、IoT/M2M分野においても既存製品が幅広く活用された。

農業ICT事業(NCXX FARM)では、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進した。「6次産業化事業」では、2018年より販売を開始したスーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の専用のサイトを設け、青果に加えて加工品の「GOLDEN BERRYアイス」の販売を開始した。なお、2021年2月からは岩手県花巻市に加え、北上市内のファミリーマートでも地域限定商品として取り扱いを開始しており、販路拡大による収益拡大の見通しが高まっていると弊社では見ている。

フランチャイズ事業では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加えて、顧客の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品を提供する農業総合コンサルティングサービスを展開している。2021年3月には、(一社)全国農業経営専門会計人協会(農専会)と業務提携契約を締結した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)




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