インテリックス Research Memo(7):2022年5月期は成長に向けた準備期間と位置付ける
[21/08/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2022年5月期の業績見通し
インテリックス<8940>の2022年5月期の連結業績は、売上高が前期比5.3%増の43,234百万円、営業利益が同40.9%減の1,283百万円、経常利益が同47.9%減の1,004百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同38.9%減の689百万円と増収減益となる見通し。売上高はリースバック事業や一棟もの物件等の売却により増収が続くものの、利益面では前期に大きく貢献した六本木物件の売却益がなくなることや、人件費並びに新規事業への先行投資費用を中心に販管費で前期比9.3%増を見込んでいることが減益要因となる。人件費で前期比140百万円増(採用予定数は46名)、新規事業や新商品に関連した先行投資費用で280百万円の増加を見込んでいる。
(1) リノヴェックスマンション販売
リノヴェックスマンションについては、販売件数で前期比1.4%減の1,400件、販売額で同0.1%減の31,280百万円と前期並みの水準を見込んでいる。期末の在庫水準が減少し、足元の仕入環境も市況の上昇により厳しくなっているものの、店舗の増設や人員増強など営業体制を一段と強化していくことで計画の達成を目指す。店舗については、前期の東京日本橋店に続いて、新たにさいたま大宮準備室を開設し、埼玉県内の仕入を強化していく方針となっている。また、新商品として業界初となる省エネ型のリノベーション「ECOCUBE」の販売を開始し、他社物件との差別化を図っていく。
こうした取り組みにより、ここ数年競争激化で低下していた首都圏の市場シェア回復を目指している。営業エリアごとのリノヴェックスマンションの市場シェア(中古マンション成約件数に対するシェア)を見ると、2021年5月期は首都圏で1.6%、地方エリアで3.4%となっているが、2008年頃は首都圏で5%前後のシェアを獲得していた※。今後は東京だけでなく、千葉県や埼玉県でも東京日本橋店、さいたま大宮準備室の開設によってシェア拡大が期待される。一方、地方エリアについても引き続き市場シェアの維持向上を図っていく考えだ。
※(一社)リノベーション協議会が定める優良なリノベーション品質基準を満たす「適合リノベーション住宅(R住宅)」のなかでは、約2割と業界トップシェアとなっている。
また、仕入・販売体制の強化を図るため、新たにダイレクトリテール部をリノヴェックスマンション事業部内に設置した。従来は、不動産事業者から入ってくる売り物件情報を査定して仕入れ、リノベーション後に不動産販売会社を通じて販売するケースが多かったが、仲介事業者を経由した場合、物件価格に対して約3%の仲介手数料がそれぞれ発生するため、売主、買主ともにコスト負担が大きいという課題があった。同社が直接仕入・販売を行うことで、こうした仲介手数料が不要となる。直接販売に関しては、2019年に設立した子会社の(株)FLIEで売主直販プラットフォーム「FLIE(フリエ)」を運営しており、同プラットフォームも活用して販売していくことになる。なお、ダイレクトリテール部は6名でスタートしているが、このうち数名は従来、リノヴェックスマンションの販売の一部を担っていた子会社のインテリックス住宅販売からの転籍となる。インテリックス住宅販売では今後、他社物件や戸建て住宅などを取り扱っていくことになる。
2022年5月期の地域別販売件数は、首都圏で前期比4.8%減の611件、地方エリアで同1.4%増の789件を見込んでいる。首都圏については、売り物件が少なく当面は仕入環境の厳しさが続くと見ている。また、物件販売の売上総利益率に関しては、14%弱と前期比横ばい水準を見込んでいる。前第4四半期は17%台にまで上昇したが、2021年は首都圏で新築マンション供給戸数の回復が予想されていることもあり、需給環境も前期のひっ迫状態からやや緩和するものと見ている。事業期間は前期の107日に対して110日前後を想定している。
(2) その他不動産・物件販売
その他不動産の物件販売については、前期比27.1%増の9,052百万円と増収基調が続く見通し。このうち、リースバック物件の不動産信託受益権売却で前期比137.0%増の45億円(上期、下期で各20億円強)、ビル等の一棟もの物件や戸建等の売却で同12.8%減の45億円を計画している。アセットシェアリング商品の販売については、現時点で予定していない。
リースバック事業に関しては、仕入件数を前期の月9件ペースから2022年5月期は月10〜15件ペースに拡大していく計画となっている。センチュリー21グループや大手電鉄系不動産仲介会社等との連携による仕入強化に加えて、直接仕入を強化するため、地方エリアでテレビCMを放映し、同社のサービスブランド「あんばい」の認知度向上を図っていく。期末の保有物件数に関しては、販売件数の増加を見込んでいることもあり、前期末比で若干の減少を想定している。
(3) 賃貸収入、その他収入
賃貸収入は保有物件の減少に伴い、前期比11.9%減の933百万円となる見通し。一方、その他収入については同23.6%増の1,968百万円を見込む。リノベーション内装事業が法人・個人からの受注増加により、同16.3%増の1,520百万円と増収に転じるほか、ホテル宿泊事業も「LANDABOUT」の稼働率上昇や、「montan HAKATA」の買取り等により増収を計画している。稼働率上昇に向けた取り組みとして、SNSの活用やTV・雑誌等のメディアへの露出、魅力的なプランを企画していくことで、国内の若者世代の需要を喚起していく方針となっている。ホテル宿泊事業については前期に3億円強の損失となったが、2022年5月期は収支均衡水準を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年5月期の業績見通し
インテリックス<8940>の2022年5月期の連結業績は、売上高が前期比5.3%増の43,234百万円、営業利益が同40.9%減の1,283百万円、経常利益が同47.9%減の1,004百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同38.9%減の689百万円と増収減益となる見通し。売上高はリースバック事業や一棟もの物件等の売却により増収が続くものの、利益面では前期に大きく貢献した六本木物件の売却益がなくなることや、人件費並びに新規事業への先行投資費用を中心に販管費で前期比9.3%増を見込んでいることが減益要因となる。人件費で前期比140百万円増(採用予定数は46名)、新規事業や新商品に関連した先行投資費用で280百万円の増加を見込んでいる。
(1) リノヴェックスマンション販売
リノヴェックスマンションについては、販売件数で前期比1.4%減の1,400件、販売額で同0.1%減の31,280百万円と前期並みの水準を見込んでいる。期末の在庫水準が減少し、足元の仕入環境も市況の上昇により厳しくなっているものの、店舗の増設や人員増強など営業体制を一段と強化していくことで計画の達成を目指す。店舗については、前期の東京日本橋店に続いて、新たにさいたま大宮準備室を開設し、埼玉県内の仕入を強化していく方針となっている。また、新商品として業界初となる省エネ型のリノベーション「ECOCUBE」の販売を開始し、他社物件との差別化を図っていく。
こうした取り組みにより、ここ数年競争激化で低下していた首都圏の市場シェア回復を目指している。営業エリアごとのリノヴェックスマンションの市場シェア(中古マンション成約件数に対するシェア)を見ると、2021年5月期は首都圏で1.6%、地方エリアで3.4%となっているが、2008年頃は首都圏で5%前後のシェアを獲得していた※。今後は東京だけでなく、千葉県や埼玉県でも東京日本橋店、さいたま大宮準備室の開設によってシェア拡大が期待される。一方、地方エリアについても引き続き市場シェアの維持向上を図っていく考えだ。
※(一社)リノベーション協議会が定める優良なリノベーション品質基準を満たす「適合リノベーション住宅(R住宅)」のなかでは、約2割と業界トップシェアとなっている。
また、仕入・販売体制の強化を図るため、新たにダイレクトリテール部をリノヴェックスマンション事業部内に設置した。従来は、不動産事業者から入ってくる売り物件情報を査定して仕入れ、リノベーション後に不動産販売会社を通じて販売するケースが多かったが、仲介事業者を経由した場合、物件価格に対して約3%の仲介手数料がそれぞれ発生するため、売主、買主ともにコスト負担が大きいという課題があった。同社が直接仕入・販売を行うことで、こうした仲介手数料が不要となる。直接販売に関しては、2019年に設立した子会社の(株)FLIEで売主直販プラットフォーム「FLIE(フリエ)」を運営しており、同プラットフォームも活用して販売していくことになる。なお、ダイレクトリテール部は6名でスタートしているが、このうち数名は従来、リノヴェックスマンションの販売の一部を担っていた子会社のインテリックス住宅販売からの転籍となる。インテリックス住宅販売では今後、他社物件や戸建て住宅などを取り扱っていくことになる。
2022年5月期の地域別販売件数は、首都圏で前期比4.8%減の611件、地方エリアで同1.4%増の789件を見込んでいる。首都圏については、売り物件が少なく当面は仕入環境の厳しさが続くと見ている。また、物件販売の売上総利益率に関しては、14%弱と前期比横ばい水準を見込んでいる。前第4四半期は17%台にまで上昇したが、2021年は首都圏で新築マンション供給戸数の回復が予想されていることもあり、需給環境も前期のひっ迫状態からやや緩和するものと見ている。事業期間は前期の107日に対して110日前後を想定している。
(2) その他不動産・物件販売
その他不動産の物件販売については、前期比27.1%増の9,052百万円と増収基調が続く見通し。このうち、リースバック物件の不動産信託受益権売却で前期比137.0%増の45億円(上期、下期で各20億円強)、ビル等の一棟もの物件や戸建等の売却で同12.8%減の45億円を計画している。アセットシェアリング商品の販売については、現時点で予定していない。
リースバック事業に関しては、仕入件数を前期の月9件ペースから2022年5月期は月10〜15件ペースに拡大していく計画となっている。センチュリー21グループや大手電鉄系不動産仲介会社等との連携による仕入強化に加えて、直接仕入を強化するため、地方エリアでテレビCMを放映し、同社のサービスブランド「あんばい」の認知度向上を図っていく。期末の保有物件数に関しては、販売件数の増加を見込んでいることもあり、前期末比で若干の減少を想定している。
(3) 賃貸収入、その他収入
賃貸収入は保有物件の減少に伴い、前期比11.9%減の933百万円となる見通し。一方、その他収入については同23.6%増の1,968百万円を見込む。リノベーション内装事業が法人・個人からの受注増加により、同16.3%増の1,520百万円と増収に転じるほか、ホテル宿泊事業も「LANDABOUT」の稼働率上昇や、「montan HAKATA」の買取り等により増収を計画している。稼働率上昇に向けた取り組みとして、SNSの活用やTV・雑誌等のメディアへの露出、魅力的なプランを企画していくことで、国内の若者世代の需要を喚起していく方針となっている。ホテル宿泊事業については前期に3億円強の損失となったが、2022年5月期は収支均衡水準を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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