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すららネット Research Memo(6):EdTech導入補助金の交付決定に伴い、2021年12月期予想を上方修正

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2021年12月期業績見通し
すららネット<3998>の2021年12月期の業績予想については、2021年8月23日に上方修正を発表し、売上高1,955百万円(前期比18.6%増)、営業利益441百万円(同18.4%減)、経常利益472百万円(同13.9%減)、当期純利益323百万円(同14.9%減)とした。上方修正の理由として、売上高については、2021年8月20日付のEdTech導入補助金の交付決定に伴い、EdTech導入補助金のうちソフトウェア・サービス利用費及びソフトウェア・サービス導入関連サポート費を2021年12月期に計上することによる。また、利益面については、一部コンテンツ開発リリース延期に伴い売上原価が減少したこと、及びコロナ禍の影響により2020年12月期に減少した出張費用等費が2019年12月期水準に回復する見込みで計画していたものの、引き続き予断を許さない状況が継続しており、販売費及び一般管理費が減少したことによる。

2021年12月期も同社を取り巻く環境はフォローであることから増収を見込んでいる。2021年度もEdTech導入補助金を継続することが経済産業省から発表されており、2021年7月末時点で500校、16万IDが申請済み、今後は再び公立学校からの契約が増加すると推測される。一方で、コンテンツ拡充のための開発費増、利用者数増加に伴うサーバー費用の増加、営業人員の増員などを計画しており、営業利益は前期比で減益を予想している。

2. 市場別売上高見通し
(1) コロナ禍の影響
コロナ禍の影響については非常に見通しが難しい状況だ。期初予想では通常の経済活動に徐々に戻ることを前提としていたものの、2021年12月期業績予想修正時点では、引き続き予断を許さない状況が継続している。

(2) 学習塾マーケット
教育現場でのICT化がさらに進むと予想され、放課後等デイサービス施設での導入も伸長する見込みであることから、学習塾マーケットの売上高は777百万円(前期比8.0%)を見込んでいる。

(3) 学校マーケット
2021年3月末に公立小中学校でのPC導入が一定程度整うことから、公立学校でのすらら導入はさらに進むと予想される。これに加え、EdTech導入補助金について期初予想では2021年4月以降は想定していなかったものの、2021年度もEdTech導入補助金が継続されることが正式に発表され、8月20日付でEdTech導入補助金の交付が決定したことから、学校マーケットの売上高は期初予想の766百万円(前期比24.5%増)から上振れが見込まれる。なお、GIGAスクール構想については、2021年7月まで代理店経由での売上の一部が無料になるため、売上の伸びは限定的と見ている。

(4) BtoC・その他マーケット
BtoCマーケットにおいては、不登校・発達障がいの生徒にも対応した教材という同社独自のポジショニングが幅広く認知されつつあり、堅調に推移すると予想される。一方で海外市場については、潜在的な成長性は高いものの、足元の状況はコロナ禍により不透明であることから大きな売上は見込んでいない。そのため、BtoC・その他マーケットの売上高は375百万円(前期比19.2%増)を見込んでいる。

3. 売上原価と主な費用の見通し
(1) 売上原価
コンテンツの拡充、すららシステムの開発強化などの先行投資を行うことから、ソフトウェア資産の減価償却費が増加する見込み。さらに、利用者数増加に伴うサーバーコスト増、新機能リリースにより運用・保守費用も増加する見込みであることから、期初予想では売上原価は572百万円(前期比60.2%増)を見込んでいた。しかしながら、一部コンテンツ開発リリース延期に伴い売上原価が減少することを、2021年8月23日に発表している。

(2) 販売費及び一般管理費
すらら導入拡大対応のために営業人員の増員、コンテンツ拡充・システム強化のための企画開発人員の増員などを計画しており、2021年12月期末正社員数は66人(前期末比17人増)を計画している。なお、期初予想ではAfterコロナ(コロナ禍収束後)は通常営業に戻ることを前提とし、出張費用等が2019年12月期水準に回復する見込みで計画していたものの、引き続き予断を許さない状況が継続していることから、出張費用等販売費及び一般管理費は期初計画から減少することを2021年8月23日に発表している。

4. 重要施策
(1) 学習塾
AI×アダプティブ×オンラインで複数分野での事業拡大を狙う。

(2) 学校
GIGAスクール構想進捗により、公立学校・地方自治体での導入に注力する。

(3) BtoC
社会の課題を解決することで事業の成長エンジンに変える。BtoC市場の特性としては、発達障がい・学習障がい児や不登校、海外子女も増加傾向であることに加え、コロナ禍により在宅学習需要が拡大している。このため、発達障がい・学習障がい児や不登校の子ども達でも一から体系的に理解できる唯一のサービスという独自のポジショニングを強化する方針である。

(4) 海外
コロナ禍で厳しい経営環境ではあるものの、オンライン教材の強みを生かして教育機会の提供を目指す。具体的には、インドネシア・スリランカを中心に教育機会を提供したり、フィリピンで事業を継続する。また、エジプトでのJICA中小企業・SDGsビジネス支援事業調査事業を継続する。

(5) コンテンツ開発
他社との連携により最新技術を取り入れ、コンテンツの可能性を追求する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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