アンジェス Research Memo(2):大阪大学発のバイオベンチャーで、遺伝子医薬に特化した開発を進める
[21/09/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社沿革
アンジェス<4563>は1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、HGF遺伝子(肝細胞増殖因子)の投与による血管新生作用の研究成果を事業化することを目的に設立された。
HGF遺伝子治療用製品では、田辺三菱製薬と2012年に米国市場、2015年に国内市場で末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結している。2019年3月に国内で慢性動脈閉塞症患者向けに条件及び期限付製造販売承認を取得し、同年9月から田辺三菱製薬を通じて販売を開始したほか、米国にて2020年2月より後期第2相臨床試験を開始している。
その他のパイプラインでは、2018年2月より米国で椎間板腰痛症を対象とした核酸医薬品のNF-κBデコイオリゴの後期第1相臨床試験を開始したほか、同年4月よりオーストラリアで高血圧症を対象としたDNAワクチンの第1相/前期第2相臨床試験を開始し、いずれも良好な結果が得られたことを発表している。また、直近では2020年3月に新型コロナウイルス感染症の予防ワクチンについて、大阪大学との共同開発を発表し、現在臨床試験を継続している。
アライアンス戦略については、2018年に共同開発契約を締結していたカナダのVasomuneが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬候補品となる「AV-001」の開発を進めているほか、2019年3月より出資した先進のゲノム編集技術を開発する米国のEmendoについて、2020年12月に100%子会社化したことを発表した。また、米国のBrickell Biotech, Inc.(以下、Brickell)と、2020年9月に新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの米国での臨床開発に関する共同開発契約を締結した。そのほか、マイクロバイオームの研究開発を行うイスラエルのMyBiotics Pharma Ltd.(以下、MyBiotics)に出資している。なお、2019年に出資したイスラエルのBarcode Diagnostics Ltd.(以下、Barcode)と進めてきた最適な抗がん剤を迅速に診断する技術の実用化に向けた共同開発は終了したことを発表した。2020年2月より公益財団法人がん研究会と共同研究契約を締結して、研究を進めてきたが想定する研究結果を得ることができなかったことによる。今後、がん領域に関しては、同社が培ってきた開発経験をベースに、新たな可能性を模索していくこととなる。
2. 事業の特徴とビジネスモデル
同社の事業の特徴は、遺伝子の働きを活用した医薬品である遺伝子治療用製品、核酸医薬、そしてDNAワクチンを遺伝子医薬として定義し、その研究開発に特化していることにある。開発が社会的な使命であるとともに確実な需要が存在する「難治性疾患」や「有効な治療法がない疾患」を対象としている。また、自社開発品以外にもこうした事業方針と合致する開発候補品を海外のベンチャーや大学などの研究機関から導入して、開発パイプラインの強化とリスク分散を図っている。
同社のビジネスモデルの主軸は、研究開発に特化し(原薬の製造は外部の専門機関に委託)、開発品についての共同開発や独占製造販売権許諾契約を大手製薬企業と締結することで、契約一時金や開発の進捗状況に応じたマイルストーン収入を獲得し、また、上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入を獲得するモデルとなる。
臨床試験の規模や期間は対象疾患等によって異なるが、第1相から第3相試験までおよそ3〜7年程度かかると言われている。臨床試験の結果が良ければ規制当局に製造販売の承認申請を行い、おおむね1〜2年の審査期間を経て問題がなければ承認・上市といった流れとなる。現在は開発ステージのため損失が続いているが、開発品が上市され、一定規模の売上に成長すれば利益化も視野に入ってくる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>
1. 会社沿革
アンジェス<4563>は1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、HGF遺伝子(肝細胞増殖因子)の投与による血管新生作用の研究成果を事業化することを目的に設立された。
HGF遺伝子治療用製品では、田辺三菱製薬と2012年に米国市場、2015年に国内市場で末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結している。2019年3月に国内で慢性動脈閉塞症患者向けに条件及び期限付製造販売承認を取得し、同年9月から田辺三菱製薬を通じて販売を開始したほか、米国にて2020年2月より後期第2相臨床試験を開始している。
その他のパイプラインでは、2018年2月より米国で椎間板腰痛症を対象とした核酸医薬品のNF-κBデコイオリゴの後期第1相臨床試験を開始したほか、同年4月よりオーストラリアで高血圧症を対象としたDNAワクチンの第1相/前期第2相臨床試験を開始し、いずれも良好な結果が得られたことを発表している。また、直近では2020年3月に新型コロナウイルス感染症の予防ワクチンについて、大阪大学との共同開発を発表し、現在臨床試験を継続している。
アライアンス戦略については、2018年に共同開発契約を締結していたカナダのVasomuneが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬候補品となる「AV-001」の開発を進めているほか、2019年3月より出資した先進のゲノム編集技術を開発する米国のEmendoについて、2020年12月に100%子会社化したことを発表した。また、米国のBrickell Biotech, Inc.(以下、Brickell)と、2020年9月に新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの米国での臨床開発に関する共同開発契約を締結した。そのほか、マイクロバイオームの研究開発を行うイスラエルのMyBiotics Pharma Ltd.(以下、MyBiotics)に出資している。なお、2019年に出資したイスラエルのBarcode Diagnostics Ltd.(以下、Barcode)と進めてきた最適な抗がん剤を迅速に診断する技術の実用化に向けた共同開発は終了したことを発表した。2020年2月より公益財団法人がん研究会と共同研究契約を締結して、研究を進めてきたが想定する研究結果を得ることができなかったことによる。今後、がん領域に関しては、同社が培ってきた開発経験をベースに、新たな可能性を模索していくこととなる。
2. 事業の特徴とビジネスモデル
同社の事業の特徴は、遺伝子の働きを活用した医薬品である遺伝子治療用製品、核酸医薬、そしてDNAワクチンを遺伝子医薬として定義し、その研究開発に特化していることにある。開発が社会的な使命であるとともに確実な需要が存在する「難治性疾患」や「有効な治療法がない疾患」を対象としている。また、自社開発品以外にもこうした事業方針と合致する開発候補品を海外のベンチャーや大学などの研究機関から導入して、開発パイプラインの強化とリスク分散を図っている。
同社のビジネスモデルの主軸は、研究開発に特化し(原薬の製造は外部の専門機関に委託)、開発品についての共同開発や独占製造販売権許諾契約を大手製薬企業と締結することで、契約一時金や開発の進捗状況に応じたマイルストーン収入を獲得し、また、上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入を獲得するモデルとなる。
臨床試験の規模や期間は対象疾患等によって異なるが、第1相から第3相試験までおよそ3〜7年程度かかると言われている。臨床試験の結果が良ければ規制当局に製造販売の承認申請を行い、おおむね1〜2年の審査期間を経て問題がなければ承認・上市といった流れとなる。現在は開発ステージのため損失が続いているが、開発品が上市され、一定規模の売上に成長すれば利益化も視野に入ってくる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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