ファンペップ Research Memo(2):大阪大学発のバイオベンチャーで、抗体医薬品の代替医薬品の開発に取り組む
[21/09/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 技術概要
ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科にて確立された機能性ペプチド※1のデザイン、創製、最適化の技術を実用化する目的で2013年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーである。同社の機能性ペプチドはヒト由来の抗菌ペプチド「AG30」※2を起源としており、安定性や製造コストの最適化に取り組むなかで現在の主要パイプラインの一つである「SR-0379」が開発された。また、アジュバント※3機能の最適化を進めるなかで、抗体誘導ペプチドのキャリアとなる「AJP001」※4が開発されている。なお、抗体誘導ペプチドは同社の登録商標となっている。
※1 ペプチドとはアミノ酸が2〜50個程度つながった化合物の総称で、アミノ酸がさらに多くつながった化合物をタンパク質と呼ぶ。ペプチドのなかにはインスリン、グルカゴンなど、ホルモンとして体内の器官の働きを調整する情報伝達を担う物質もあり、特定の機能があるペプチドを人工的に合成したものと機能性ペプチドと呼び、医薬品としても開発されている。
※2 「AG30」はアミノ酸を30個つなげたペプチドで、血管新生作用や抗菌活性の機能を持つ。
※3 アジュバントとはワクチン製剤に含まれ、免疫反応を増強する物質を指す。
※4 「AJP001」は抗体誘導ペプチドを作るためのキャリア(自己タンパク質に対して抗体を産生させる役割を持つ)となり、標的タンパク質(自己タンパク質)のエピトープと組み合わせることで、多様な抗体誘導ペプチドを作ることが可能となる。
同社では「AJP001」を用いた抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術を「STEP UP(Search Technology of EPitope for Unique Peptide vaccine)」と呼んでいる。具体的には、「AJP001」と標的タンパク質のエピトープを組み合わることで抗体誘導ペプチドを創製する。この抗体誘導ペプチドを体内に取り込むことで、標的タンパク質の働きを阻害する抗体が生み出され、疾患の症状を沈静化させるメカニズムとなる。それまで、ペプチドだけで抗体を作り出すということは免疫学の常識では考えられなかったことで、画期的な技術と言える。
抗体医薬品との違いは、抗体医薬品が「体外」で製造した抗体で高い薬効が見込めるものの、製造コストや薬価が高額な点が課題となっているのに対して、抗体誘導ペプチドは「体内」で抗体を産生し、治療効果が持続すること、また、化学合成による大量生産が可能なため、製造コストを低く抑えることができるといった点が挙げられる。即効性はないものの安価に治療でき、投与回数も少なくて済むと言ったメリットもある。特に、製造コストについては抗体医薬品の1割程度の水準に抑えることが可能になると見られ、患者負担や医療財政負担の面からもメリットは大きい。
また、抗体誘導ペプチドの競合技術との比較では、既存の生物由来のキャリア(高分子)が抱えている課題点を解消できることも、「AJP001」の優位点として挙げられる。生物由来の既存キャリアについては、反復投与時に効果が減弱する可能性があること(標的タンパク質よりもキャリアに対して抗体が産生されるリスクがある)、製造上の品質確保の難易度が高いこと(生物由来で高分子のため品質管理が難しく、また、キャリアとエピトープの制御も難しい)、副作用リスクがあること(アレルギーやアナフィラキシー等が生じる可能性)などが挙げられる。
なお、知財戦略も進めており、「AJP001」に関する物質特許や用途特許が日米欧で成立または出願中となっているほか、各開発品の物質特許を取得または出願中となっている。直近では2021年6月に中国で「AJP001」の用途特許が成立したことを発表している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 技術概要
ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科にて確立された機能性ペプチド※1のデザイン、創製、最適化の技術を実用化する目的で2013年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーである。同社の機能性ペプチドはヒト由来の抗菌ペプチド「AG30」※2を起源としており、安定性や製造コストの最適化に取り組むなかで現在の主要パイプラインの一つである「SR-0379」が開発された。また、アジュバント※3機能の最適化を進めるなかで、抗体誘導ペプチドのキャリアとなる「AJP001」※4が開発されている。なお、抗体誘導ペプチドは同社の登録商標となっている。
※1 ペプチドとはアミノ酸が2〜50個程度つながった化合物の総称で、アミノ酸がさらに多くつながった化合物をタンパク質と呼ぶ。ペプチドのなかにはインスリン、グルカゴンなど、ホルモンとして体内の器官の働きを調整する情報伝達を担う物質もあり、特定の機能があるペプチドを人工的に合成したものと機能性ペプチドと呼び、医薬品としても開発されている。
※2 「AG30」はアミノ酸を30個つなげたペプチドで、血管新生作用や抗菌活性の機能を持つ。
※3 アジュバントとはワクチン製剤に含まれ、免疫反応を増強する物質を指す。
※4 「AJP001」は抗体誘導ペプチドを作るためのキャリア(自己タンパク質に対して抗体を産生させる役割を持つ)となり、標的タンパク質(自己タンパク質)のエピトープと組み合わせることで、多様な抗体誘導ペプチドを作ることが可能となる。
同社では「AJP001」を用いた抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術を「STEP UP(Search Technology of EPitope for Unique Peptide vaccine)」と呼んでいる。具体的には、「AJP001」と標的タンパク質のエピトープを組み合わることで抗体誘導ペプチドを創製する。この抗体誘導ペプチドを体内に取り込むことで、標的タンパク質の働きを阻害する抗体が生み出され、疾患の症状を沈静化させるメカニズムとなる。それまで、ペプチドだけで抗体を作り出すということは免疫学の常識では考えられなかったことで、画期的な技術と言える。
抗体医薬品との違いは、抗体医薬品が「体外」で製造した抗体で高い薬効が見込めるものの、製造コストや薬価が高額な点が課題となっているのに対して、抗体誘導ペプチドは「体内」で抗体を産生し、治療効果が持続すること、また、化学合成による大量生産が可能なため、製造コストを低く抑えることができるといった点が挙げられる。即効性はないものの安価に治療でき、投与回数も少なくて済むと言ったメリットもある。特に、製造コストについては抗体医薬品の1割程度の水準に抑えることが可能になると見られ、患者負担や医療財政負担の面からもメリットは大きい。
また、抗体誘導ペプチドの競合技術との比較では、既存の生物由来のキャリア(高分子)が抱えている課題点を解消できることも、「AJP001」の優位点として挙げられる。生物由来の既存キャリアについては、反復投与時に効果が減弱する可能性があること(標的タンパク質よりもキャリアに対して抗体が産生されるリスクがある)、製造上の品質確保の難易度が高いこと(生物由来で高分子のため品質管理が難しく、また、キャリアとエピトープの制御も難しい)、副作用リスクがあること(アレルギーやアナフィラキシー等が生じる可能性)などが挙げられる。
なお、知財戦略も進めており、「AJP001」に関する物質特許や用途特許が日米欧で成立または出願中となっているほか、各開発品の物質特許を取得または出願中となっている。直近では2021年6月に中国で「AJP001」の用途特許が成立したことを発表している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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