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ファンペップ Research Memo(3):皮膚潰瘍治療薬で塩野義製薬とライセンス契約を締結

注目トピックス 日本株
■会社概要

2. 会社沿革
ファンペップ<4881>は2013年に設立され、本格的に事業活動を始めたのは大阪大学との間で抗体誘導ペプチドの共同研究を開始した2015年に入ってからとなる。2015年10月には塩野義製薬との間で、機能性ペプチド「SR-0379」に関する全世界を対象としたライセンス契約を締結している。また、2016年9月には大日本住友製薬と標的タンパク質IL-17Aに対する抗体誘導ペプチドの共同研究を開始したほか(2018年3月に開発コード「FPP003」としてオプション契約を締結)、2018年7月には塩野義製薬が「SR-0379」の皮膚潰瘍を適応症とする国内での第2相臨床試験を開始し、良好な結果を受けて、2021年6月より同社で第3相臨床試験を開始している。「FPP003」についても乾癬を適応症とする第1/2a相臨床試験を、2019年4月からオーストラリアで進めている。直近では、2021年8月にメドレックスとマイクロニードル技術の開発にかかる共同研究契約を締結し、開発パイプラインでマイクロニードル技術が利用可能かどうか(抗体価が上昇するかどうか)検証し、研究を進めていくことになっている。

また、創薬以外の分野として、化粧品や除菌スプレー等の成分の一部としてペプチド原薬を販売している。具体例としては、2018年3月にファンケル<4921>が発売開始した「マイルドクレンジングシャンプー」で、特徴の一つとなっている「根活トリプル成分」の一つとして採用されたほか、2020年4月に(株)SMV JAPANが発売した「携帯アルコール除菌スプレー」等に採用されている。ただ、化粧品や抗菌スプレー等での使用量は少なく、業績面への影響は軽微となっている。

2020年12月には東京証券取引所マザーズ市場に株式上場を果たしている。2020年12月末時点の従業員数は11名(派遣含む)で、うち研究開発部門の人員は6名を占めている。2021年12月期末には研究人員を10名程度に増員する予定となっている。


製薬企業とライセンス契約を締結し、契約一時金やマイルストーン、上市後のロイヤリティ収入を獲得していくビジネスモデル
3. ビジネスモデルとリスク要因
(1) ビジネスモデル
同社は、大学発の創薬ベンチャーとして、機能性ペプチドの研究成果の中から実用性の高いプロダクトについて、製薬企業やアカデミア等と共同研究を行い、シーズをインキュベーションし、製薬企業等に実用化への橋渡しを行う役割を果たしている。ビジネスモデルとしては、開発ステージの第2相臨床試験までを自社で行うことを基本にしており、開発費用のかかる第3相臨床試験以降は、製薬企業等とのライセンス契約を締結することで進め、契約一時金や開発の進捗に応じて得られるマイルストーン収入、上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入を獲得するモデルとなる。ただ、抗体誘導ペプチドについては、標的タンパク質や作用機序が抗体医薬品で明らかとなっているため、第1相臨床試験の段階で中和抗体の産生状況などのデータが取れれば、ある程度成功確率が読めるため、一般のケースと比較するとライセンス契約の締結タイミングが早くなる可能性もある。

臨床試験の規模や期間は対象疾患等によって異なるが、第1相から第3相試験までおよそ3〜7年程度かかると言われている。臨床試験の結果が良好であれば規制当局に製造販売の承認申請を行い、おおむね1〜2年の審査期間を経て問題がなければ承認・上市といった流れとなる。現在は開発ステージのため損失が続いているが、開発品が上市され、一定規模の売上に成長すれば利益化も視野に入ってくる。

(2) リスク要因
同社の事業リスクとしては、大きく2点あげられる。1つ目のリスクとしては医薬品研究開発の不確実性であり、特定の開発品への依存度が高く、研究開発の延期や中止となった場合に経営状態にマイナスの影響を与えるリスクがある。こうしたリスクへの対応策として、同社はプラットフォーム技術「STEP UP」を用いた創薬活動により、新規開発品を創製して開発ポートフォリオを充実させていく方針となっている。

2つ目のリスクとしては、特定の提携契約への依存度が高い点にあり、契約終了時に収益計画に影響を与えるリスクがある。この対応策として、同社は共同研究プロジェクトをライセンス契約に発展させることや、新規提携契約を増やしていくことで、特定の提携契約への依存度を低減していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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