ファンペップ Research Memo(6):「FPP004」は長期的に抗アレルギー作用を示すことが期待される
[21/09/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■主要開発パイプラインの動向
3. FPP004(花粉症)
「FPP004」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとでファンペップ<4881>が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られており、そのほかにも喘息や慢性蕁麻疹などの疾患に関与している。
花粉症の患者数は国内で約4〜5千万人と多い一方で、既に多くの抗ヒスタミン薬が開発、販売されている。効果が不十分な重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア®」※が処方されており、2週または4週間に1回の投与によって治療している。しかし、「FPP004」では抗体医薬品よりも投与間隔を長くすることが可能で、花粉シーズンの前に2回注射することで、シーズン中は投与しなくても効果が持続することが期待されている。価格面でも抗体医薬品より安価に提供できるため、開発に成功すれば抗体医薬品を代替できる可能性がある。
※2019年12月にノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア®」が抗体医薬品として初めて花粉症への適応拡大の承認を取得した。
「FPP005」は乾癬のほか、消化器系疾患への展開を見据えて開発を進める方針
4. FPP005(乾癬)
「FPP005」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとで同社が創製した開発化合物で、IL-23を標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IL-23は自己免疫疾患において主要な役割を担うTh17細胞を分化・安定化するサイトカインで、乾癬においてもIL-23により活性化されたTh17細胞が、IL-17AやTNF-αを含む炎症性サイトカインを産生することにより慢性的な炎症を引き起こす。乾癬の治療では、既存治療が効かないまたは重症例の患者にTNF-α、IL-17及びIL-23を阻害する抗体医薬品が使用されているが、IL-23は炎症性サイトカインの産生過程において、IL-17A及びTNF-αの上流に位置するため、維持投与期に投与間隔を3ヶ月まで広げても有効性が持続することが特徴となっている。
「FPP005」はIL-23を標的タンパク質としていること、感染症ワクチンと同じ作用機序で自己の体内で抗体を誘導できることから、少ない投与回数で高い持続性を有することが期待されている。開発状況については、2021年1月より前臨床試験を開始しており、約2年後の2023年から臨床試験入りするものと見られる。
なお、抗IL-23抗体医薬品は乾癬のほか、乾癬性関節炎やクローン病、潰瘍性大腸炎なども適応疾患となっており、「ステラーラ®」「スキリージ®」「トレムフィア®」などが商品化されている。市場規模は3品目合計で2019年の7,948百万米ドルから2023年には16,598百万米ドルと年率20%の高成長になるとの調査会社の予測※もある。潜在市場規模が大きいだけに、今後、開発が進展すれば大型パートナー契約につながる可能性もあり、その動向が注目される。
※出所:Informa「Datamonitor Healthcare」(May 2020)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>
3. FPP004(花粉症)
「FPP004」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとでファンペップ<4881>が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られており、そのほかにも喘息や慢性蕁麻疹などの疾患に関与している。
花粉症の患者数は国内で約4〜5千万人と多い一方で、既に多くの抗ヒスタミン薬が開発、販売されている。効果が不十分な重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア®」※が処方されており、2週または4週間に1回の投与によって治療している。しかし、「FPP004」では抗体医薬品よりも投与間隔を長くすることが可能で、花粉シーズンの前に2回注射することで、シーズン中は投与しなくても効果が持続することが期待されている。価格面でも抗体医薬品より安価に提供できるため、開発に成功すれば抗体医薬品を代替できる可能性がある。
※2019年12月にノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア®」が抗体医薬品として初めて花粉症への適応拡大の承認を取得した。
「FPP005」は乾癬のほか、消化器系疾患への展開を見据えて開発を進める方針
4. FPP005(乾癬)
「FPP005」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとで同社が創製した開発化合物で、IL-23を標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IL-23は自己免疫疾患において主要な役割を担うTh17細胞を分化・安定化するサイトカインで、乾癬においてもIL-23により活性化されたTh17細胞が、IL-17AやTNF-αを含む炎症性サイトカインを産生することにより慢性的な炎症を引き起こす。乾癬の治療では、既存治療が効かないまたは重症例の患者にTNF-α、IL-17及びIL-23を阻害する抗体医薬品が使用されているが、IL-23は炎症性サイトカインの産生過程において、IL-17A及びTNF-αの上流に位置するため、維持投与期に投与間隔を3ヶ月まで広げても有効性が持続することが特徴となっている。
「FPP005」はIL-23を標的タンパク質としていること、感染症ワクチンと同じ作用機序で自己の体内で抗体を誘導できることから、少ない投与回数で高い持続性を有することが期待されている。開発状況については、2021年1月より前臨床試験を開始しており、約2年後の2023年から臨床試験入りするものと見られる。
なお、抗IL-23抗体医薬品は乾癬のほか、乾癬性関節炎やクローン病、潰瘍性大腸炎なども適応疾患となっており、「ステラーラ®」「スキリージ®」「トレムフィア®」などが商品化されている。市場規模は3品目合計で2019年の7,948百万米ドルから2023年には16,598百万米ドルと年率20%の高成長になるとの調査会社の予測※もある。潜在市場規模が大きいだけに、今後、開発が進展すれば大型パートナー契約につながる可能性もあり、その動向が注目される。
※出所:Informa「Datamonitor Healthcare」(May 2020)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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