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Jトラスト Research Memo(1):今期業績予想は5月の上方修正値を据え置いたが、さらなる上方修正の可能性も

注目トピックス 日本株
■要約

1. 会社概要
Jトラスト<8508>は、東証2部に上場しており、傘下に国内外の金融事業を有するホールディングカンパニーである。藤澤信義(ふじさわのぶよし)社長のもと、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に資産規模を拡大してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による世界的な経済環境悪化に直面し、抜本的な事業ポートフォリオの再編に着手した。2020年8月以降、不動産事業ではキーノート(株)(現 (株)グローベルス)、日本金融事業ではJトラストカード(株)、韓国及びモンゴル金融事業ではJT親愛貯蓄銀行及びJTキャピタルを売却したほか、JT貯蓄銀行の売却を計画するなど、大きな変革期にあると言える。売却代金は主に企業価値を高めるためのM&Aに活用する予定であり、同社の次の一手に注目したい。

2. 2021年12月期第2四半期の業績概要
2021年12月期第2四半期の営業収益は22,340百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は7,160百万円(前年同期は1,040百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は3,894百万円(同780.2%増)と、訴訟回収金の計上もあり営業損益が黒字転換したほか、四半期利益は大幅増益を記録した。セグメント別では、日本金融事業は保証業務・債権回収業務ともに引き続き順調に推移しており、グループ業績をけん引した。韓国及びモンゴル金融事業では、JT貯蓄銀行及びJTキャピタルを継続事業として扱い、貸出残高の増加などを受けて、増収増益であった。また、東南アジア金融事業は、カンボジアのJトラストロイヤル銀行(以下、JTRB)が貸出残高を順調に積み増したことに加え、インドネシア金融事業でも営業損失幅が縮小した。また、係争中のGroup Lease Holdings(以下、GL)などからの債権回収によって投資事業は大幅増益となり、同社全体の増益に貢献した。

3. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の業績予想については、投資事業において訴訟回収金2,420万米ドルを追加計上すること、株式売却予定のJTキャピタルについて非継続事業とする一方で、JT貯蓄銀行については譲渡が確定するまでは継続事業に戻すことなどを前提に見直した。その結果、第1四半期決算発表時の2021年5月13日に、営業収益42,101百万円(期初予想比9,431百万円増)、営業利益5,503百万円(同5,397百万円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,000百万円(同1,473百万円増)に上方修正した。

第2四半期決算発表時の2021年8月12日には、上述の5月に公表した通期予想を据え置いた。会社側によれば、コロナ禍の影響が不透明なことと事業再編を行っていることを考慮して予想を据え置いたとのことだ。しかし、安定した利益を確保している日本金融事業や韓国及びモンゴル金融事業の営業収益幅が上振れているほか、東南アジア金融事業の損失幅が縮小しており、通期計画を上回って推移している。また投資事業では、GL向け債権については全額引き当て済みであり、5月14日以降に1,238万米ドルを回収しているが、このうち1,113万米ドルは第3四半期に計上予定となっている。以上の点を考慮すると、2021年12月期の業績はさらなる上方修正の可能性が高いと弊社では見ている。なお、配当については、期初予想通り年間1.0円への復配を予定している。

4. 成長戦略
これまで同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保する一方で、中期的には成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、持続的な成長を目指す方針であった。ただ、現在は「ウィズコロナ」状況下での経済に最適化した事業ポートフォリオの再編に着手している。当面は日本金融事業で安定した利益を計上しながら、東南アジア金融事業の早期黒字化を図る方針であるが、一方で韓国の貯蓄銀行に代わる新たな収益源を確立することが急務であろうと弊社では見ている。代表取締役社長である藤澤信義氏の強力なリーダーシップのもと、成長を促すための新たな一手に注目が集まる。

■Key Points
・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ
・2021年12月期第2四半期は、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業の利益幅が上振れているほか、東南アジア金融事業の損失が計画より縮小したことなどから営業利益は大幅に改善し、通期計画を上回って推移
・2021年12月期は2021年5月の上方修正値を据え置いたものの、日本金融事業及び韓国及びモンゴル金融事業の営業収益幅が上振れていることなどから、さらなる上方修正の可能性も
・東南アジア金融事業の早期黒字化と、韓国の貯蓄銀行に代わる新たな収益源の確立が課題。株式売却等で得た資金を活用して、企業価値を高めるためのM&Aを予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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