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システムサポート Research Memo(7):すべての事業セグメントが成長(1)

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 事業セグメント別見通しと成長戦略
システムサポート<4396>は今後の成長戦略として、ソリューション事業におけるクラウドやERP、データベース関連の既存事業の拡大に取り組んでいくほか、ストック型ビジネスとなるデータセンターサービス等のアウトソーシング事業、プロダクト事業をそれぞれバランスよく伸ばしていくことで2ケタ成長を継続していく戦略となっている。各事業の2022年6月期の見通しと重点施策は以下のとおり。

(1) ソリューション事業
ソリューション事業では引き続き、データベース・クラウド基盤関連、ServiceNow関連、ERP関連の3つの分野で高い技術力を生かして受注を獲得し、2ケタ成長を目指していく方針となっている。

a) ServiceNow関連
ServiceNow関連については需要が旺盛で同社の人的リソース以上に引き合いが多いこともあり、同社が元請けとなって外部パートナーを活用するケースも増えてきているようで、人材育成や外部パートナーの拡充が進めばさらに売上高を伸ばしていく可能性も十分にあると弊社では見ている。

前述したとおり、「ServiceNow」は企業の業務の標準化・自動化に寄与する様々な機能が用意されており、ここ数年で急速に普及拡大しているクラウドプラットフォームサービスで、国内においてもコロナ禍を契機に企業のDX化に対する取り組みが加速するなか、成長が加速している状況にある。日本法人であるServiceNow Japan(合)では2021年のビジネス戦略の1つとして、旺盛な需要に応えるため「パートナーエコシステムの更なる拡大と強化」を掲げている。業種向けプロダクトのニーズが増加していることを受け、業種別ノウハウを持つパートナーとの連携を強化していく方針となっている。また、国内の認定エンジニア数を現在の約600人から約1,200人と2倍に増やすことを目標にしており、それだけ潜在的な需要があると見ていることの表れと言える。最近では自治体向けDX推進支援ソリューションの取り組みも強化しており、企業向けだけでなく公共分野での市場開拓も推進していく戦略のようだ。こうしたことから、「ServiceNow」の需要は中期的に高成長が続くものと弊社では予想している。

一方で、高成長分野であるがゆえに今後は参入企業が増加し、競争が激しくなってくることも予想される。同社は国内でいち早くパートナー契約を締結し、積極的に拡販に取り組んできた実績が評価され、2017年に国内企業で初めて、「Bronze Services Partner」※に認定されたほか、2019年には「Elite Partner」に認定されている。2021年6月時点で「Elite Partner」として認定された日系企業は同社を含めて9社だが、今後これら「Elite Partner」や新規パートナーも含めて人材育成が進むものと予想される。同社においてもいかに認定技術者を増やしていくことができるかが、今後の成長の鍵を握るものと弊社では見ている。また、競合との差別化戦略の1つとして、「ServiceNow」の標準機能を補完するアプリケーション(LINE連携機能など)の開発などを行っている。

※ServiceNowのパートナープログラムでの認定は顧客満足度や販売・導入実績などが基準となる。なお同社は、国内でのServiceNow認定構築資格取得数は2021年6月末で2位となっており、全資格取得数は84件となっている。


b) データベース及びクラウド基盤関連
データベース及びクラウド基盤関連については、引き続きMicrosoft Azure やAWSなどのクラウド基盤の構築、移行支援案件の増加が見込まれるほか、各クラウドのアカウントリセールやオプションサービスを開発・提供していくことで、ストック型ビジネスの収益を積み上げていく戦略だ。また、最近ではGCP(Google Cloud Platform)に対する引き合いも増えてきていることから、Google Cloudサービスを活用した次世代データ分析基盤「ADDPLAT(アドプラット)」を開発、2021年6月より提供を開始している。低コストかつ短期間でビッグデータ分析を行い、経営戦略やマーケティング施策に生かせるサービスとなっていることが特徴だ。Google Cloudの認定資格者は約40名在籍し、多様なニーズに対応可能となっており、Microsoft AzureやAWS関連と同様に、売上増に貢献するものと予想される。

そのほか、AWS関連では、2014年に国内で初めてAWSのAPNパートナー制度「Oracle コンピテンシー」※に認定されており、Oracle Databaseのクラウド移行案件を中心に今後も安定した受注が見込まれる。これら大手クラウドプラットフォームサービスの導入案件については、それぞれの企業から顧客紹介を受けるケースが大半のため、営業コストをかけることなく継続的な受注を確保でき、また、カスタマイズ開発案件と違ってプロジェクト管理も比較的容易なことから収益性の変動リスクも小さく、売上高の増加に伴って利益も安定して伸びていくものと予想される。

※「Oracleコンピテンシー」は、AWSクラウド上で実行されるOracleベースのワークロードの設計、デプロイ、及び管理・運用までをトータルでサポートする技術・実績のあるパートナーをAWSが評価し認定するもの。2021年6月時点で国内認定企業は5社となっている。


c) ERP関連
ERP関連については2027年の保守サポート切れを控えた「SAP ERP」の移行案件が目白押しとなっており、少なくとも2027年までは10%前後の成長が続くものと予想される。現在は現行システムである「SAP ERP」から次世代ソリューションの「SAP S/4 HANA」への移行を進める企業と、当面は「SAP ERP」を継続して使い続ける企業とに分かれており、双方の需要がある。また、「SAP S/4 HANA」に関してはオンプレミス版とSaaS版で提供しており、オンプレミス版はAWSやGoogleのパブリッククラウド、SAPのプライベートクラウドなどで利用が可能なため、クラウドへの移行支援案件も多い。

「SAP ERP」に関しては同社と子会社のT4Cを合わせて技術者が約180名在籍しており、「SAP ERP」の主領域及び全階層(インフラ、ミドルウェア、アプリケーション)の開発に対応できるほか、「SAP ERP」以外のERP製品にも技術・ノウハウを有しており、顧客ニーズに応じて幅広く安定的なサービスを提供できることが強みとなっている。2027年に向けた需要の高まりに対応すべく、今後も技術者の増員及び育成を図ると同時に、北陸地区で既存システムの保守に関するニアショア対応可能な体制を構築しながら、着実な成長を目指していく方針だ。なお、ERP利用支援の競合は多いが、大規模案件の場合はリスクを考慮して直接受注せず、NRI<4307>やアクセンチュア(株)が元請けとなり、共同でプロジェクトを進めていくケースが多い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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