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はてな Research Memo(5):テクノロジーソリューションサービスが順調に成長

注目トピックス 日本株
■はてな<3930>の業績動向

2. サービス別売上動向
(1) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比0.7%増の524百万円と、2期ぶりに増収に転じた。主力サービスである「はてなブログ」を中心に、2021年7月期末の月間ユニークブラウザ数は1.26億UB(前期末は1.47億UB)となったものの、登録ユーザー数が前期末比110万人増の1,150万人と順調に増加した。月間ユニークブラウザ数の減少要因は、検索エンジンのロジック変更による流入件数の減少に加えて、コンテンツの良質化施策としてスパムコンテンツアカウントの削減施策を実施したことなどが挙げられる。このうち、検索エンジンのロジック変更については不定期に行われているもので、SEO対策を行うことで回復できると弊社では見ている。また、スパムコンテンツ対策については一時的な減少要因で、中長期的にはコンテンツの良質化により検索エンジンで上位表示される効果が期待できる。

売上高の大半を占めるアフィリエイト広告収入については、コロナ禍による広告出稿の冷え込みとそれに伴う広告単価下落の影響で、2020年4月以降低迷していたが、2021年7月期第2四半期以降は広告出稿の回復並びに単価の上昇によって、前年同月比2ケタ増と復調している。一方で売上高が微増にとどまったのは、個人向け有料課金サービスの減少が要因と見られる。なお、2020年9月よりサービスを開始した法人向けサービス「はてなブログBusiness」については、計画どおり契約件数が増加しているものの、全体の売上に与える影響は軽微となっている。

(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比18.2%減の662百万円となった。企業のオウンドメディアとなる「はてなブログMedia」の運用件数は、前期末比7件増(新規開設24件、解約17件)の111件と目標の120件には届かなかった。採用・広報目的を中心に引き合い件数は多いものの、コロナ禍以前と比較して受注決定や開設完了までに時間がかかる傾向にあることが、新規獲得件数の伸び悩みにつながった。一方、解約件数は計画より若干多かったものの解約率は15%であり、コロナ禍であることを考慮すれば想定の範囲内としている。


運用件数増加に対し減収となったのは、オウンドメディアを拡散するための広告出稿やコンテンツ制作支援サービスの減少、低価格帯の「採用オウンドメディアプラン」(月額7万円)の契約数増加によって、メディア当たりの平均売上単価が低下したことが要因だ。これは、コロナ禍が長引くなか、景気悪化懸念からオウンドメディアの運用予算を絞り込む顧客が増加したものと思われる。メディア当たり平均売上高指数で見ると、コロナ禍以前の2020年2月を100とした場合、同年7月に73まで落ち込んだものの、2021年7月期上期に89、下期に93と緩やかながら回復トレンドにあるが、コロナ禍以前の水準まで戻ってはいない。また、2021年7月期下期の目標としていた106にも届かなかった。とは言え、四半期ベースの売上高推移を見ると、第4四半期は前年同期比15.1%増の167百万円となり、1年ぶりの増収に転じている。

(3) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前期比18.3%増の1,434百万円と、2ケタ増収基調が続いた。サーバー監視サービス「Mackerel」の顧客数並びにマンガビューワ「GigaViewer」の搭載メディア数が順調に拡大したことが増収要因となった。

「Mackerel」の顧客数については、前期末比18.6%増と計画を若干上回って着地した。AWS(アマゾンウェブサービス)のパートナー制度「AWS パートナーコンピテンシープログラム」において「AWS DevOps コンピテンシー」認定を国内企業で初めて取得したほか、「AWS Partner Network(APN)Award2019」において「APN Technology Partner of the Year 2019 - Japan」を受賞するなど、AWSユーザーのなかでサーバー監視ツールとしての認知度が向上し、顧客数の増加に寄与した。AWSのなかでは多くの類似サービスが提供されているが、アワードを受賞した効果は大きく、加えて、AWS主催のオンライン展示会に出展することでリード顧客を多く獲得できたことが奏功した。

また、2020年9月に新機能として「Google Cloudインテグレーション」の提供を開始している。同機能によって、簡単にGoogle Cloud連携対象サービスの監視ができるようになり、Google Cloudを利用する企業にも導入が進んでいる。また、2021年2月にはエヌ・ティ・ティ・スマートコネクト(株)が提供する「スマートコネクト クラウド監視保守サービス」、同年4月には(株)コマース21が提供するECプラットフォームサービス「ECo2(エコツー)」の監視サービスに「Mackerel」が標準機能として採用されるなど、販路の拡充が進んだことも顧客数の増加に寄与した。

「GigaViewer」については、新たに「コミックトレイル」((株)芳文社)、「コミックブシロードWEB」((株)ブシロードメディア)、「FEEL web」((株)祥伝社)の3メディアに搭載され、2021年7月末で合計12社、14メディアに採用が進んだ。また、ユーザー向けの各種機能に加え、サービス提供者の運用コスト削減に貢献する管理機能の継続的な機能開発の提供により、売上は堅調に推移した。

このほか、「GigaViewer」では広告運用も含めた各種ソリューションを提供することで、開発・運用料のみならず、レベニューシェア(広告・課金収益等)による収益基盤の拡大にも取り組んでいる。具体的には、2020年11月に「少年ジャンプ+」(集英社)に提供する「GigaViewer」のストア機能を拡張し、電子版「週刊少年ジャンプ」の定期購読対応を可能としたほか、同年12月には「コミプレ」((株)ヒーローズ)、2021年7月に「くらげパンチ」(新潮社)に対して「GigaViewer」を搭載したマネタイズ支援機能「ストア機能」の提供を開始した。

また、2021年4月には集英社とマンガ投稿サービス「マンガノ」を共同開発し、提供を開始している。マンガ家にとって使いやすさを追求した作品投稿機能に加えて、作品の販売機能も備えており、継続的な機能開発を共同で進めていくことで、マンガ作品の公開や販売を支援していく。投稿サービスについては、2014年に集英社と「ジャンプルーキー!」、2015年に「あしたのヤングジャンプ」を、また、2016年にKADOKAWAと小説投稿サービス「カクヨム」、2020年に「魔法のiらんど」(リニューアル版)をそれぞれ共同開発しており、継続して開発・運用支援を行っている。なお、そのほかの受託開発案件についても、複数案件を受注し増収に貢献している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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