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サイバネット Research Memo(2):CAEのリーディングカンパニーとして30年以上日本のものづくりを支援

注目トピックス 日本株
■会社概要

1. 沿革
サイバネットシステム<4312>は1985年4月に、スーパーコンピュータのパイオニアである米国Control Data Corp.(以下、CDC)の日本法人である日本シーディーシー(株)からサイバネットサービス事業を分離・独立して設立された。サイバネット(CYBERNET)とは、サイバネティックス(Cybernetics)の“CYBER”とTelephone Networkの“NET”を合わせた造語で、CDCが1970年代から1990年にかけて世界で提供していたコンピュータの時間貸し遠隔利用サービスのことを指す。当時はコンピュータが高額だったため、企業や研究機関は同サービスを使って科学技術計算やシミュレーションなどを行っていた。

1990年以降は、コンピュータの性能が飛躍的に向上し、価格も安価になったことで、これらユーザーが自身でコンピュータを保有し、専用ソフトウェアを導入して設計開発や研究開発などを行うようになる。こうした利用形態の変化によりサイバネットサービスの需要が減少するなか、同社は海外の有力ソフトウェアベンダーと販売代理店契約を結んで、これらのソフトウェアの販売・導入支援サービスを提供するビジネスモデルに転換し、事業を拡大していくことになる。

1989年に神戸製鋼所<5406>の子会社となり、1999年には富士ソフトABC(株)(現 富士ソフト<9749>)が同社株式を100%取得し子会社化しており、現在も富士ソフトの子会社である。2001年10月にはJASDAQ市場に株式を公開し(現在は東証1部)、2005年以降はCAE分野での事業領域拡大を目的に、M&A戦略も積極的に推進してきた。国内では2005年に(株)ケイ・ジー・ティー(高度な可視化技術とネットワーク関連のソフトウェアを保有)、(株)プラメディア(プラスチックCAE事業を専業とする)を相次いで子会社化したほか、2006年には(株)京浜アートワーク及び(株)EDAコネクトの営業権を譲り受け、事業領域を拡大していった。また、直近では2020年1月にMBSE※に関する受託解析・コンサルティング等のエンジニアリングサービスを主に行うサイバネットMBSE(株)を設立している。

※MBSE(Model Based Systems Engineering)とは、開発対象とするシステムを様々な観点で表現したモデルを用いて、システムの要求分析・設計・検証を効率的に行うアプローチ手法を指す。システムの高機能・多機能化とともに、要件定義から設計・検証までの工程もより複雑さを増しており、これらをモデル化することで効率的に開発を行うことが可能となる。


一方、日系企業のアジア進出や中国を中心としたアジア企業の成長に伴い、アジア圏でのCAEソリューションに対する需要が拡大するなか、アジア各国に販売子会社の展開も進めてきた。2004年に中国において日本と同レベルの技術サービスが提供できる環境を用意するため、西希安工程模擬軟件(上海)有限公司を設立し、CAEに関するコンサルティング、受託解析、教育等の技術サービスの提供を開始した。また、2008年には台湾で光学系、制御系、数式処理系等のCAEソリューションサービスを展開する思渤科技股フン有限公司を設立し、2017年に韓国で光学系CAEソリューションサービスを提供するCYFEM Inc.を、2018年にマレーシアで機械系・光学系CAEソリューションサービスを提供するCYBERNET SYSTEMS MALAYSIA SDN. BHD.を相次いで設立、アジア地域での事業展開を強化している。なお、韓国のCYFEMについてはSynopsysの代理店契約が終了したことから、2021年内に清算することを決定している。

また、同社は2009年6月に、当時売上高の3割以上を占める主力取引先であった米国The MathWorks, Inc.との販売代理店契約が終了(MathWorksの日本法人設立による)し、収益が大きく落ち込むなど代理店事業が内包するリスクに直面したことで、自社プロダクトの強化も進めていった。具体的には、2009年に米国のSigmetrix, L. L. C.(公差※1解析ソフトウェアの開発・販売・コンサルティング)、カナダのWATERLOO MAPLE INC.(以下、Maplesoft:数式解析ソフトウェア等の開発・販売・コンサルティング・オンラインサービス)、2010年にベルギーのNoesis Solutions NV(以下、Noesis:PIDOツール※2の開発・販売・技術サポート)を相次いで子会社化している。

※1 公差:設計時に設定した寸法が持つことのできるばらつきの許容範囲。
※2 PIDO(ピド:Process Integration & Design Optimization):CAD/CAEを活用した製品開発プロセスを自動化・統合化・最適化することで、品質向上、開発期間の短縮、開発コストの削減に貢献する全体最適化ソリューションツール。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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