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サイバネット Research Memo(4):CAEソリューションではCAE分野で世界トップのAnsysの製品が主力

注目トピックス 日本株
■サイバネットシステム<4312>の会社概要

3. CAEソリューションサービス事業
主力事業となるCAEソリューションサービス事業では、機械系や光学系、電機・電子系、制御系など分野ごとに様々なシミュレーション・ソフトウェア製品がある。CAEとは、ものづくりにおける研究・開発工程において、従来は試作品を作って実施していたテストや実験などを、コンピュータ上に作成した仮想モデルでシミュレーションし、分析する技術のことを言う。CAEソフトウェアを使うことで、試作や実験の回数を劇的に減らすとともに、実際には作れない物理条件下のシミュレーションも行うことが可能となる。開発効率の向上だけでなく、試作実験によって排出される廃材なども激減させる環境に配慮したものづくりの実現に貢献するソフトウェアと言える。適応範囲は自動車や電子機器・デバイスなどから機械・精密機器、医療分野に至るまで幅広い。

主力製品はAnsysのマルチフィジックス解析ツールで、構造・伝熱・電磁場・圧電・音響・熱流体・落下衝撃などあらゆる解析が可能な汎用解析ツールとなる。また、光学系についてはSynopsysの製品を主に取り扱っていたが、2021年10月1日をもって販売代理店契約を終了しており、新たにAnsysの光学系製品に関する代理店契約を締結している。その他にも業界トップクラスの開発ベンダーの製品や自社グループ会社の開発製品を取り扱い、顧客ニーズに合わせて最適なソリューション提案を行っている。


ITソリューションではBroadcomの情報セキュリティ対策製品(Symantechブランド)が主力
4. ITソリューションサービス事業
ITソリューションサービス事業では、クラウド・セキュリティやエンドポイント・セキュリティなど各種情報セキュリティ対策ソフトウェア製品の販売が売上高の大半を占めている。主要取引先ベンダーはBroadcom Inc.(旧 Symantec Corporation)となる。そのほかのソリューションとしては、ビッグデータソリューションや可視化ソリューション、AR/VRソリューション、デジタルツイン構築支援等の先進的なソリューションサービスを提供している。デジタルツインとは、ものづくりの開発現場において実際に稼働している物理設備を仮想空間上(コンピュータ上)にモデルとして作成し、物理設備の情報をIoTセンサなどによってリアルタイムで収集、仮想空間に送ることで、仮想空間上に物理設備と同じ環境を再現し、物理設備の現在の状態を評価するほか、様々なシミュレーションテストを行う開発手法を指す。現実世界の検証データと仮想空間上のシミュレーションデータを合わせることで、ものづくりプロセスの高度化・最適化を実現するソリューションとなる。


CAE分野において長く蓄積したノウハウと技術力を基盤としたソリューション力が強み
5. 強みと事業リスク
同社の強みは以下の4点にまとめることができる。

(1) 経験に支えられた高度なノウハウ
CAEシミュレーション技術によって、ものづくりの研究開発や設計開発を30年以上にわたって支援してきた豊富な実績、積み重ねてきたノウハウや高度な技術力が財産となっており、他社には真似のできないソリューションを提供できることが強みとなっている。

(2) 幅広い専門分野とグローバルなパートナー網
CAEソフトウェアの最大手であるAnsysを筆頭に、国内外の有力ベンダー30社以上と提携し、50種類以上の製品の販売・サポートを行っているため、顧客の抱える様々な課題に対して、複数のソフトウェアやノウハウを組み合わせて最適なソリューションを提供できることが強みとなっている。また、顧客からのフィードバックを開発元ベンダーに伝えることで当該ベンダーは製品の改良に生かすことができ、顧客・提携先の双方と強い関係を構築できている点も強みと言える。

(3) 安定性が高い収益構造と業界環境
同社の売上高の過半は、既存顧客から得られるライセンス更新料で占められているため、収益の安定性が高いことが挙げられる。さらに、CAE業界は競合が比較的少ないため、価格競争が起きにくい業界環境にあることも特徴となっている。企業にとって研究開発は競争力の源泉であることから、多少景気が悪化したとしても大きく需要が冷え込むことはない。こうした状況が同社の安定性の高い収益につながっていると考えられる。

なお、CAEソフトウェアの販売代理店ビジネスにおける競合企業としては、Ansysの販売代理店である(株)IDAJや伊藤忠テクノソリューションズ<4739>、フランスのダッソーの販売代理店であるアルゴグラフィックス<7595>、ドイツのシーメンスなどの製品を取り扱っている電通国際情報サービス(ISID)<4812>などが挙げられる。

(4) 幅広い顧客基盤
現在、同社は国内外に14の連結子会社を展開し、グローバル企業や大学、研究機関を多く顧客に持っていることが強みとして挙げられる。顧客企業は国内だけで2,000社以上、研究機関で500機関(大学、研究所等)となっており、国内の大手製造業の大半は顧客となっている。

(5) リスク要因
リスク要因としては、代理店ビジネスが売上高の70%以上を占めている点にある。開発ベンダーとの販売代理店契約は、原則として非独占かつ短期間で更新されることになっている。開発元の変化、つまり、M&Aや経営者の交代によって販売戦略が変更となり、代理店契約が終了した場合は、業績にマイナス影響を与えることになる。同社の主要取引先であるAnsysについては、日本法人を自社で開設するなかで同社を優良販売パートナーとして位置付け、良好な関係を構築している。このため、現時点で契約が解除されるリスクは極めて低いと見ている。

一方で、Ansysに次ぐ取引先であったSynopsysについては、2021年10月1日付で代理店契約を終了したことを発表している。理由は、Synopsysが全世界で販売スタイルを代理店販売から直販方式に切り替えたことによる。このため、同社は自社開発製品及びエンジニアリングサービス等のソリューションサービスの強化を進めていくことで事業リスクの低減に取り組んでいく方針となっている。また、代理店ビジネスについては、継続して有望な開発ベンダーを探索し、製品ラインナップの拡充を図っていくほか、今後も開発元ベンダーや顧客との強固な関係を構築する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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