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DDHD Research Memo(5):高収益ブランドの出店拡大が同社成長をけん引

注目トピックス 日本株
■決算動向

1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、店舗数の拡大がDDホールディングス<3073>の成長をけん引してきた。特にM&Aによる規模拡大が出店ペースに拍車をかけてきたと言える。2015年2月期から高収益ブランドを軸とした出店拡大を本格化すると、2018年2月期には大型M&A(ゼットン及び商業藝術の連結化)を実現し、スケールメリットの追求や業態の多様化等に取り組んだ。また、2020年2月期には、エスエルディー及び湘南レーベルを連結化し、さらなる事業拡大と事業領域の拡充を図った。ただ、2021年2月期以降は、コロナ禍の影響を受けてこれまでの拡大路線から一転し、大きく後退する状況となっている。

利益面では、高収益ブランドの出店拡大等により2017年2月期の営業利益率は5.4%に改善。その後はウェディング事業への参入などに伴う先行費用の増加により4%〜5%で推移したものの、2020年2月期は売上高の拡大とグループ商流集約による原価率低減等が奏功し、過去最高益を更新。2021年2月期はコロナ禍の影響により営業損失を計上した。

財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率はおおむね20%台で推移してきた。ただ、2021年2月期はコロナ禍の影響を受けて大幅な損失を計上したことから、期末時点で債務超過に陥る結果となった。もっとも、収益構造の強化(最終損益の黒字化)及び資本政策の実施(新株予約権の行使促進)を通じて、2021年上期末時点で債務超過を解消している。

2. 2022年2月期上期の業績概要
2022年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比29.0%減の7,923百万円、営業損失が4,608百万円(前年同期は6,831百万円の損失)、経常利益が310百万円(同6,825百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が65百万円(同5,584百万円の損失)と、長期化するコロナ禍の影響により減収となったものの、収益体質の強化及び助成金収入(時短要請協力金等)が寄与し経常及び最終損益では黒字化を達成した。

売上高は、2021年2月期第3四半期よりゼットンが連結除外(約23億円の減収要因)されたことに加え、コロナ禍の長期化に伴う、相次ぐ緊急事態宣言による影響を受け、主力の「飲食事業」及び「アミューズメント事業」がともに減収となった。コロナ禍前の2020年2月期上期と比較しても、売上高は27.1%の水準にとどまっている。特に、在宅勤務や行動制限などに伴う人流抑制の影響に加え、時短営業や酒類提供の制限が大きな足かせとなり、ランチタイム業態やデリバリー業態の拡充などに取り組んだものの、第1四半期、第2四半期ともに前年同期を下回る厳しい状況が続いた。もっとも、緊急事態宣言が解除された10月に入ってからは、「アミューズメント事業」から先に回復の兆しが見えてきたようだ。一方、「不動産サービス事業」については、ホテル事業が総じてコロナ禍の影響を受けているものの、貸コンテナ事業が安定推移しているうえ、新型コロナウイルス感染症の軽症者の受け入れ施設としてホテル一棟を提供したことが、地域医療への貢献となるとともに、業績の下支え要因となった。

損益面でも、減収による収益の下押しにより営業損失となった(但し、損失幅は縮小)。ただ、売上原価率については、時短営業や酒類提供の制限による影響を受けながらも、不採算店舗の退店やランチ、デリバリー比率の上昇等があったものの1.5ポイント改善した。また、販管費についても、前期から取り組んでいるコスト最適化を通じて大幅な削減を図ったほか、政府からの助成金収入(4,831百万円)を営業外収益に計上したことにより、経常及び最終損益段階では黒字化を達成することができた。また、「不動産サービス事業」は、唯一セグメント利益を確保した。

財務面では、固定資産の圧縮や現金及び預金の減少等があったものの、未収入金の増加(助成金収入の未入金分)により、総資産は前期末比5.9%増の33,160百万円に拡大した。一方、前期末時点で債務超過に陥った純資産については、新株予約権の行使促進(712百万円の資金調達)※や最終損益の黒字化により497百万円(前期末は301百万円のマイナス)のプラスとなり、債務超過を解消することができた。

※2020年10月に発行した第6回新株予約権(28,000個)については、2021年8月末までに24,628個が行使された。一方、第7回新株予約権(10,000個)については未行使となっている。


3. 2022年2月期上期の総括
以上から、2022年2月期上期を総括すると、当初の想定よりもコロナ禍が長引くなかで、業績の回復には遅れが生じているものの、売上高の低迷を収益構造の強化と助成金収入により打ち返し、最終損益の黒字化を達成したこと、さらには、新株予約権の行使促進により債務超過の解消を図ったところはプラス材料と言える。特に、不可抗力の外部要因により事業縮小を余儀なくされるなかでも、ランチタイム業態やデリバリー業態の拡充を図ったことや、思い切った取捨選択の決断等を通じて、コアとなる店舗や人材を維持できたところは、今後の事業存続はもちろん、業績の早期回復に向けても評価すべきポイントと捉えることができよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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