ベネ・ワン Research Memo(5):積極的な協業やM&Aで堅調な計画推移を見せる
[21/11/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
1. 中期経営計画
ベネフィット・ワン<2412>は2024年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画のなかで、「ベネワン・プラットフォーム」などの主力サービスを普及させることで、2024年3月期に売上高606億円、営業利益209億円、営業利益率34.5%の達成を目指す。なお、中期経営計画の前提ではM&Aの業績寄与は想定していない。
またヘルスケア事業ではワクチンの接種の支援事業を開始しており、福利厚生サービスとの一体化も検討している。コロナワクチンの接種は、福利厚生サービスを導入していない中小企業なども含め、企業の規模を問わず強いニーズが見込まれる。ワクチン関連サービスを福利厚生サービスと一体化させれば福利厚生自体の会員数の増加が見込めるほか、ワクチン関連サービス自体も毎期経常的な収益計上が期待できるため、業績への寄与は大きい。また2021年10月に行ったJTBベネフィットの子会社化もあり、これらを踏まえ弊社では中期経営計画の業績目標の達成確度は高いと予想している。
事業環境も引き続き良好で、追い風が吹く。働き方改革関連法の制定や、テレワークの推進を受け、企業の規模を問わず従業員の環境改善に向けた取り組みはより加速する見通しだ。情報管理面では、日本版コーポレートガバナンス・コードの適用を皮切りに、今後「人的資本の情報開示」の義務化も見込まれている。人事関連のビッグデータを持つ「ベネワン・プラットフォーム」は、こうした潮流における重要なデータベースとなる可能性が高く、企業の人事部にとってはDX推進における主要インフラになると予想される。
2. 目指す世界観・成長ポテンシャル
同社はBtoE分野での日本唯一のプラットフォーマーになることを目指す。プラットフォーム上では国内のあらゆるサービスを集約させ、顧客企業が抱える従業員をエンドユーザーとしてサービスを提供する考えである。従業員側はサービスの検索から始まり、申し込み、決済、利用といった一連の流れをプラットフォームにおいてワンストップで行うことができる。サービスの比較検討や個人最適を目指すレコメンドにより、サービス利用の促進を目指している。また、ペイメント事業では、プラットフォームを通じて決済手数料のマネタイズも目指す。
また、同社には成長性の高い大きな市場が存在する。その中で同社はプラットフォーマーであることから各サービスを統一的に訴求することができ、各市場の取り込みは今後も順調に進展すると弊社は考えている。
3. 会員拡大の加速と収益構造の多重化
これらの実現に向け、同社は「プラットフォームの会員拡大の加速」「収益構造の多重化」に注力する。プラットフォームの会員拡大の加速については、従業員の人事・健康データを効率よく管理・活用することでHRDX推進における利便性を高めるほか、HRDXの入り口であるタレントマネジメント機能の無料付帯も訴求する。また、組織を従来のプロダクト別組織から機能別組織に変更したことで、「顧客開拓」「加盟店開拓」「オペレーションの最適化・高品質化」「システム開発・マーケティング・アライアンス」といった各課題解決の効率化を図る。そのほか、外部の労働力活用や業務自動化、既述の大規模なマーケティングも推進することで、中期計画において従業員会員数1,600万人、家族会員も含めたアクティブユーザー2,000万人を目指す。
収益構造の多重化については、今後の成長戦略のもう1つの柱であるペイメント事業において、給与天引き決済サービスを訴求している。「給与天引き決済サービス」とは、サブスクサービスのほか、光熱費、携帯料金、インターネット料金といった従業員にとっての固定費を給与天引きにしていくというものである。同社はサービスサプライヤーから決済手数料を受け取ることで収益を上げる。従来サービスサプライヤーが支払っていた代理店手数料や送客手数料が不要になり、その分を従業員(ベネフィット・ワン会員)に割引価格として還元するため、従業員は理論上最安値でサービスを受けることができる。導入企業のメリットとしては、福利厚生の充実による従業員満足度向上や公平性担保などが挙げられる。従業員のメリットとしては、月額コストを低減できるほか、福利厚生社宅では節税効果がある。サービスサプライヤーのメリットとしては、販促費を抑えた大口契約への導線獲得や決済コスト削減が挙げられる。このようなメリットを最大限に打ち出し、今後3年間で200万人の顧客開拓と年間利用額1,000億円規模の決済スキーム確立を目指す。
4. 2022年3月期第2四半期時点での進捗
(1) ベネアカウントの運用開始
同社は2021年6月よりベネアカウントの運用を開始した。これにより今まで会員が福利厚生やポイント、健康プログラムサービスにおいて個別の専用アカウントでのログインを行わなければならない煩雑な状態にあったものを、「ベネアカウント」でログインを一本化できるようになる。また、今後「ベネワン・プラットフォーム」における活用で、サービス利便性の大幅な向上を図る。これにより健診結果の経年管理やストレスチェックの実施、管理、ワクチン接種管理等の健康管理、各種従業員データの参照や目標管理、評価(MBO)、異動シミュレーション等のタレントマネジメント、そして従業員向けアンケートの実施、ライフスタイル調査の結果管理、回答状況の確認、リマインド等の従業員サーベイを可能にしていく。これらの特徴を有したことでさらに利便性が向上することから、弊社では会員数のさらなる拡大を見込むことができるものと考えている。
(2) SaaSプレイヤーとの協業
同社は、SaaSプレイヤーと協業で企業のHRDXを推進している。2021年6月にはSCSK<9719>と、2021年10月には(株)SmartHRとの協業・データ連携を開始し、人事・総務部の業務効率化支援、セミナーの共催やマーケティング、顧客紹介等の営業連携による会員の獲得加速を目指すなど、外部連携によりプラットフォームの価値向上及び企業のHRDXの一段の推進を図っている。
(3) M&Aによる成長加速
同社は2021年10月29日にJTBベネフィットの株式を122億円で取得し子会社化するなど、M&Aにより成長を加速させている。JTBベネフィットの子会社化では既存事業で積み上げてきた従業員会員635万人及び140万件のサービスにJTBベネフィット従業員会員253万人を加えることに成功した。これにより2022年3月期末の総会員数予想は1,000万人を超える見通しで、会員基盤の獲得速度が大幅に加速することになる。同社では事業の加速度的な成長のため、今後もM&Aを積極的に活用していくことを明言していることから、既存事業の会員拡大やプラットフォーム強化における高いシナジーが見込まれる企業とのM&Aに弊社は注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 塚本征也)
<EY>
1. 中期経営計画
ベネフィット・ワン<2412>は2024年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画のなかで、「ベネワン・プラットフォーム」などの主力サービスを普及させることで、2024年3月期に売上高606億円、営業利益209億円、営業利益率34.5%の達成を目指す。なお、中期経営計画の前提ではM&Aの業績寄与は想定していない。
またヘルスケア事業ではワクチンの接種の支援事業を開始しており、福利厚生サービスとの一体化も検討している。コロナワクチンの接種は、福利厚生サービスを導入していない中小企業なども含め、企業の規模を問わず強いニーズが見込まれる。ワクチン関連サービスを福利厚生サービスと一体化させれば福利厚生自体の会員数の増加が見込めるほか、ワクチン関連サービス自体も毎期経常的な収益計上が期待できるため、業績への寄与は大きい。また2021年10月に行ったJTBベネフィットの子会社化もあり、これらを踏まえ弊社では中期経営計画の業績目標の達成確度は高いと予想している。
事業環境も引き続き良好で、追い風が吹く。働き方改革関連法の制定や、テレワークの推進を受け、企業の規模を問わず従業員の環境改善に向けた取り組みはより加速する見通しだ。情報管理面では、日本版コーポレートガバナンス・コードの適用を皮切りに、今後「人的資本の情報開示」の義務化も見込まれている。人事関連のビッグデータを持つ「ベネワン・プラットフォーム」は、こうした潮流における重要なデータベースとなる可能性が高く、企業の人事部にとってはDX推進における主要インフラになると予想される。
2. 目指す世界観・成長ポテンシャル
同社はBtoE分野での日本唯一のプラットフォーマーになることを目指す。プラットフォーム上では国内のあらゆるサービスを集約させ、顧客企業が抱える従業員をエンドユーザーとしてサービスを提供する考えである。従業員側はサービスの検索から始まり、申し込み、決済、利用といった一連の流れをプラットフォームにおいてワンストップで行うことができる。サービスの比較検討や個人最適を目指すレコメンドにより、サービス利用の促進を目指している。また、ペイメント事業では、プラットフォームを通じて決済手数料のマネタイズも目指す。
また、同社には成長性の高い大きな市場が存在する。その中で同社はプラットフォーマーであることから各サービスを統一的に訴求することができ、各市場の取り込みは今後も順調に進展すると弊社は考えている。
3. 会員拡大の加速と収益構造の多重化
これらの実現に向け、同社は「プラットフォームの会員拡大の加速」「収益構造の多重化」に注力する。プラットフォームの会員拡大の加速については、従業員の人事・健康データを効率よく管理・活用することでHRDX推進における利便性を高めるほか、HRDXの入り口であるタレントマネジメント機能の無料付帯も訴求する。また、組織を従来のプロダクト別組織から機能別組織に変更したことで、「顧客開拓」「加盟店開拓」「オペレーションの最適化・高品質化」「システム開発・マーケティング・アライアンス」といった各課題解決の効率化を図る。そのほか、外部の労働力活用や業務自動化、既述の大規模なマーケティングも推進することで、中期計画において従業員会員数1,600万人、家族会員も含めたアクティブユーザー2,000万人を目指す。
収益構造の多重化については、今後の成長戦略のもう1つの柱であるペイメント事業において、給与天引き決済サービスを訴求している。「給与天引き決済サービス」とは、サブスクサービスのほか、光熱費、携帯料金、インターネット料金といった従業員にとっての固定費を給与天引きにしていくというものである。同社はサービスサプライヤーから決済手数料を受け取ることで収益を上げる。従来サービスサプライヤーが支払っていた代理店手数料や送客手数料が不要になり、その分を従業員(ベネフィット・ワン会員)に割引価格として還元するため、従業員は理論上最安値でサービスを受けることができる。導入企業のメリットとしては、福利厚生の充実による従業員満足度向上や公平性担保などが挙げられる。従業員のメリットとしては、月額コストを低減できるほか、福利厚生社宅では節税効果がある。サービスサプライヤーのメリットとしては、販促費を抑えた大口契約への導線獲得や決済コスト削減が挙げられる。このようなメリットを最大限に打ち出し、今後3年間で200万人の顧客開拓と年間利用額1,000億円規模の決済スキーム確立を目指す。
4. 2022年3月期第2四半期時点での進捗
(1) ベネアカウントの運用開始
同社は2021年6月よりベネアカウントの運用を開始した。これにより今まで会員が福利厚生やポイント、健康プログラムサービスにおいて個別の専用アカウントでのログインを行わなければならない煩雑な状態にあったものを、「ベネアカウント」でログインを一本化できるようになる。また、今後「ベネワン・プラットフォーム」における活用で、サービス利便性の大幅な向上を図る。これにより健診結果の経年管理やストレスチェックの実施、管理、ワクチン接種管理等の健康管理、各種従業員データの参照や目標管理、評価(MBO)、異動シミュレーション等のタレントマネジメント、そして従業員向けアンケートの実施、ライフスタイル調査の結果管理、回答状況の確認、リマインド等の従業員サーベイを可能にしていく。これらの特徴を有したことでさらに利便性が向上することから、弊社では会員数のさらなる拡大を見込むことができるものと考えている。
(2) SaaSプレイヤーとの協業
同社は、SaaSプレイヤーと協業で企業のHRDXを推進している。2021年6月にはSCSK<9719>と、2021年10月には(株)SmartHRとの協業・データ連携を開始し、人事・総務部の業務効率化支援、セミナーの共催やマーケティング、顧客紹介等の営業連携による会員の獲得加速を目指すなど、外部連携によりプラットフォームの価値向上及び企業のHRDXの一段の推進を図っている。
(3) M&Aによる成長加速
同社は2021年10月29日にJTBベネフィットの株式を122億円で取得し子会社化するなど、M&Aにより成長を加速させている。JTBベネフィットの子会社化では既存事業で積み上げてきた従業員会員635万人及び140万件のサービスにJTBベネフィット従業員会員253万人を加えることに成功した。これにより2022年3月期末の総会員数予想は1,000万人を超える見通しで、会員基盤の獲得速度が大幅に加速することになる。同社では事業の加速度的な成長のため、今後もM&Aを積極的に活用していくことを明言していることから、既存事業の会員拡大やプラットフォーム強化における高いシナジーが見込まれる企業とのM&Aに弊社は注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 塚本征也)
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