ネットイヤ Research Memo(1):2022年3月期下期以降は、既存の受託事業拡大と新規領域への積極投資を推進
[21/12/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ネットイヤーグループ<3622>は、インターネット技術を活用したデジタルマーケティング支援事業を展開しており、主にWebマーケティング領域において豊富な実績を持つ。2019年2月にNTTデータ<9613>と資本業務提携契約を締結し、グループ会社となっている。また、ソーシャルメディアによるデジタルマーケティング支援を行う子会社の(株)トライバルメディアハウスの全株式を2021年4月に売却したため、2022年3月期より単体決算のみの開示となる。
1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
2022年3月期第2四半期累計(2021年4月〜9月)の単体業績は、売上高で前年同期比0.3%減(前年同期の単体比較、以下同じ)の1,417百万円、営業利益で27百万円(前年同期は138百万円の損失)とおおむね計画どおりに進捗し、第2四半期累計としては6年ぶりに黒字化を達成した。同社の場合、第4四半期に売上の検収時期が集中する影響で期の前半は損失が続く季節偏重があったが、2022年3月期については期首受注残が積み上がっていたことや、前期からの大型継続案件も寄与したことで人員稼働率が高水準で推移したほか、外注費を削減できたことも収益改善につながった。なお、2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等に会計方針を変更しており、売上高及び売上原価で197百万円の減少要因となっているが、従前の会計基準変更前で計算すると売上高は前年同期比13.6%増であった。
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の単体業績は、売上高で前期比5.6%増の3,600百万円、営業利益で同0.3%減の140百万円とする期初計画を据え置いた。売上高については、OMO※1マーケティング施策に対する企業の関心が高まるなかで、オウンドメディアの開発案件やNTTデータとの共同開発案件の増加を見込んでいる。また、新規分野として、マルチチャネルコマースプラットフォームとして急速に普及が進んでいる「Shopify(ショッピファイ)」の導入・活用支援サービスを2021年4月より開始しており、アプリ開発を含めて積極的な投資を推進していくほか、オウンドメディアの活性化につながる運用・改善型サービス「パフォーマンスオプティマイゼーションサービス※2」の売上成長も期待される。利益面では、下期に前年同期比で減益に転じる計算となるが、過年度より取り組んできた収益体質の改善に一定の成果が得られたことから2022年3月期を事業再成長の年と位置付けており、2022年3月期下期以降は既存の受託事業拡大と新規領域への投資を積極的に推進していく方針となっている。具体的には、人材投資や新事業分野への投資を見込んでいる。ただ、人材の採用環境は依然として厳しいようで、予定どおりに採用が進まない可能性もある。
※1 OMO(Online Merges with Offline)とは、UX(User Experience:顧客体験)の最大化を目的に、オンラインとオフラインの垣根を超えて購買意欲を創り出そうとするマーケティングの考え方。O2Oがオフラインに誘導するためのツールとしてオンラインを活用する企業側目線の考え方であるのに対して、OMOは顧客側の目線に立った考え方となる。
※2 顧客企業のオウンドメディアの活性化とマーケティング費用対効果の最大化を目的に、顧客課題や市場状況、競合動向などのデータ分析を行い、「SEO」「WEB広告」「サイト改善」の3つの領域で改善施策と予算配分の提案を行うほか、運用・分析、改善提案までをワンストップソリューションとして支援するサービス。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、2023年3月期までを「新たな事業機会創出」に取り組む期間と位置付けている。重点戦略として、EC/店舗連携などフィジカルとデジタルを一体化したCX開発や、SaaSビジネスの育成、NTTデータとの共同プロジェクト推進などに取り組み、Webマーケティング領域のなかでも今後重要性が高まるであろうオウンドメディアマーケティング領域に集中して事業拡大を目指していく。また、2023年3月期以降は「社会への価値提供」をテーマに掲げ、SDGsを切り口に社会デザイン領域ビジネスへと展開していく考えだ。当面の課題は、これらの事業拡大に向けて必要となる人材の確保・育成となる。
■Key Points
・2022年3月期第2四半期累計業績は、人員稼働率の向上と外注費削減などにより6年ぶりに黒字化を達成
・2022年3月期の営業利益は成長投資の実行により前期比横ばい水準を見込むが、上振れの可能性も
・NTTデータとの協業並びに新規分野の育成によって再成長フェーズへ踏み出す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
ネットイヤーグループ<3622>は、インターネット技術を活用したデジタルマーケティング支援事業を展開しており、主にWebマーケティング領域において豊富な実績を持つ。2019年2月にNTTデータ<9613>と資本業務提携契約を締結し、グループ会社となっている。また、ソーシャルメディアによるデジタルマーケティング支援を行う子会社の(株)トライバルメディアハウスの全株式を2021年4月に売却したため、2022年3月期より単体決算のみの開示となる。
1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
2022年3月期第2四半期累計(2021年4月〜9月)の単体業績は、売上高で前年同期比0.3%減(前年同期の単体比較、以下同じ)の1,417百万円、営業利益で27百万円(前年同期は138百万円の損失)とおおむね計画どおりに進捗し、第2四半期累計としては6年ぶりに黒字化を達成した。同社の場合、第4四半期に売上の検収時期が集中する影響で期の前半は損失が続く季節偏重があったが、2022年3月期については期首受注残が積み上がっていたことや、前期からの大型継続案件も寄与したことで人員稼働率が高水準で推移したほか、外注費を削減できたことも収益改善につながった。なお、2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等に会計方針を変更しており、売上高及び売上原価で197百万円の減少要因となっているが、従前の会計基準変更前で計算すると売上高は前年同期比13.6%増であった。
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の単体業績は、売上高で前期比5.6%増の3,600百万円、営業利益で同0.3%減の140百万円とする期初計画を据え置いた。売上高については、OMO※1マーケティング施策に対する企業の関心が高まるなかで、オウンドメディアの開発案件やNTTデータとの共同開発案件の増加を見込んでいる。また、新規分野として、マルチチャネルコマースプラットフォームとして急速に普及が進んでいる「Shopify(ショッピファイ)」の導入・活用支援サービスを2021年4月より開始しており、アプリ開発を含めて積極的な投資を推進していくほか、オウンドメディアの活性化につながる運用・改善型サービス「パフォーマンスオプティマイゼーションサービス※2」の売上成長も期待される。利益面では、下期に前年同期比で減益に転じる計算となるが、過年度より取り組んできた収益体質の改善に一定の成果が得られたことから2022年3月期を事業再成長の年と位置付けており、2022年3月期下期以降は既存の受託事業拡大と新規領域への投資を積極的に推進していく方針となっている。具体的には、人材投資や新事業分野への投資を見込んでいる。ただ、人材の採用環境は依然として厳しいようで、予定どおりに採用が進まない可能性もある。
※1 OMO(Online Merges with Offline)とは、UX(User Experience:顧客体験)の最大化を目的に、オンラインとオフラインの垣根を超えて購買意欲を創り出そうとするマーケティングの考え方。O2Oがオフラインに誘導するためのツールとしてオンラインを活用する企業側目線の考え方であるのに対して、OMOは顧客側の目線に立った考え方となる。
※2 顧客企業のオウンドメディアの活性化とマーケティング費用対効果の最大化を目的に、顧客課題や市場状況、競合動向などのデータ分析を行い、「SEO」「WEB広告」「サイト改善」の3つの領域で改善施策と予算配分の提案を行うほか、運用・分析、改善提案までをワンストップソリューションとして支援するサービス。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、2023年3月期までを「新たな事業機会創出」に取り組む期間と位置付けている。重点戦略として、EC/店舗連携などフィジカルとデジタルを一体化したCX開発や、SaaSビジネスの育成、NTTデータとの共同プロジェクト推進などに取り組み、Webマーケティング領域のなかでも今後重要性が高まるであろうオウンドメディアマーケティング領域に集中して事業拡大を目指していく。また、2023年3月期以降は「社会への価値提供」をテーマに掲げ、SDGsを切り口に社会デザイン領域ビジネスへと展開していく考えだ。当面の課題は、これらの事業拡大に向けて必要となる人材の確保・育成となる。
■Key Points
・2022年3月期第2四半期累計業績は、人員稼働率の向上と外注費削減などにより6年ぶりに黒字化を達成
・2022年3月期の営業利益は成長投資の実行により前期比横ばい水準を見込むが、上振れの可能性も
・NTTデータとの協業並びに新規分野の育成によって再成長フェーズへ踏み出す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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