ネットイヤ Research Memo(5):NTTデータとの協業並びに新規分野の育成によって、再成長フェーズへ(1)
[21/12/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
3. 成長戦略
ネットイヤーグループ<3622>は2020年度から2025年度までの中期の成長ロードマップを策定し、3段階に分けて各種施策に取り組むことで事業成長を目指していく方針となっている。
(1) 事業基盤再構築
第1段階として、「事業基盤再構築」をテーマに掲げ、2021年3月期まで事業基盤の強化・変革、既存ビジネスの精緻化に取り組んできた。
a) 事業基盤の強化・変革
事業基盤の強化・変革として、従業員のマインド向上やエンゲージメントの向上に加えて、収益力の強化を図るためプロジェクト品質の向上やコスト改善に取り組んだ。従業員のマインド及びエンゲージメントの向上については、人事変革の遂行(人材育成基盤の構築、特定専門職の運用、社員の適性を見た再配置)や、多様な働き方ができる環境の整備(「カケモチ社員制度」の導入、LGBTに対応した福利制度改定、介護・育児等を想定した柔軟な勤務管理、遠隔地勤務制度等)、教育研修の強化などに取り組んだことで離職率が大幅に低下し、従業員エンゲージメントの指標も向上している。一方、収益力の強化については、既述のとおり売上総利益率の改善につながっており、今後も一段の向上を目指していく方針だ。
b) 既存ビジネスの精緻化
既存ビジネスの精緻化に関しては、NTTデータとの連携による大型案件に取り組んでいるほか、UX/CXのメソッド化、横展開できる新サービスの提供開始、プロジェクトマネジメント力の向上に取り組み、それぞれ一定の成果を挙げている。
NTTデータとの大型案件では、オウンドメディアのUXデザイン設計・実装からシステム基盤の構築、導入後のマーケティング運用までを両社の強みと融合して受注獲得につなげている。また、無人店舗・オンライン接客など次世代型店舗の実証実験※なども共同で進めてきた。2021年3月期から売上貢献している通信キャリア向けのプロジェクトでは、デザイン設計とシステム基盤の開発をNTTデータが担当し、複数サイトにまたがるCMSの構築及びAPI連携を両社で担当、サイトの運用・改善は引き続き同社で担当しており、2022年3月期第3四半期以降も継続した売上貢献が見込まれている。今後も、同社単独では受注できなかった大型案件も、流通業界向けで豊富な実績と顧客基盤を持つNTTデータと連携することにより受注できるものと予想され、NTTデータ向けの売上構成比も将来的に3割程度まで上昇する可能性があると弊社では見ている。大型プロジェクトを安定的に受注していくためには、プロジェクトマネジメント力の強化も重要となるため、こうした人材の採用を進めていくと同時に、多様な雇用形態の導入によって外部の優秀な人材を登用し、今後の事業拡大に対応していく方針だ。
※東急ハンズとNTTデータが2020年6月に共同で実施したアバターを介した非対面接客による「デジタルストア」の実証実験に参加(CXシナリオ設計、コンテンツ企画、VMDデザインを実施)。
また、横展開できる新サービスとしては、2020年5月に開始した「パフォーマンスオプティマイゼーションサービス」に注力している。デジタルマーケティング施策となる「WEB広告」「SEO対策」「サイト改善」の3領域をワンストップで支援することで、マーケティング費用の最適化を実現するサービスとなる。従来、これら3つの領域はそれぞれ異なる広告代理店やWeb制作会社などがクライアント企業に対してサービスを提供していたが、それぞれの施策が分断されてしまい必ずしも全体をとおして最適化されたデジタルマーケティング施策になっていないことが課題となっていた。また、クライアント企業は各領域の事業パートナーと個別に時間をかけて、予算配分や改善施策などを協議して決めるなど非効率となっており、こうした課題を解決し、デジタルマーケティングの費用対効果の最大化を実現するサービスとして注目されている。導入効果として、資料請求件数が支援前の2.5倍に拡大したという事例※も出てきており、今後も継続して収益が見込める事業として成長が期待される。現在、専門チームとして15名体制としているが、引き合いが好調なことから増員を進める予定にしている。
※資料請求件数の拡大を目標とし、オウンドメディアへの訪問者数を増やすための流入施策として「WEB広告(短期流入増)」や「SEO対策(中長期流入増)」を行いながら、訪問者が資料請求を行いやすくなるような「サイト改善(UI/UXの改善)」を実施した。
(2) 2022年3月期からの成長戦略
2022年3月期からは「新たな事業機会創出」をテーマに、DX/CXをシステムからプロフェッショナルサービスまで統合してSaaS化する事業や、EC/店舗連携などフィジカルとデジタルを一本化したCX開発、資本集約型ビジネスモデルの育成等に取り組んでいく。
新たなサービスメニューとして、2021年4月より「Shopify」の導入・活用支援サービスの提供を開始した。「Shopify」は、世界175ヵ国、170万以上のオンラインショップで採用されているマルチチャネルコマースプラットフォームで、国内でも店舗数で前年比2倍(2020年)、流通額で同3倍(同)に拡大するなど急速に普及が進んでいるサービスである。同社のUXデザイン力やデータ分析力、各種マーケティング施策を「Shopify」の導入と併せて提供することで、オンラインショップの育成並びに収益の最大化を実現していく。サービス内容は、「Shopify」のアカウント開設からECサイトのデザイン制作・実装、サイト公開までをシームレスにサポートするほか、ECサイトの売上向上支援として「パフォーマンスオプティマイゼーションサービス」の提供などサイト運営に関するサポートなどを提供する。また、「Shopify」利用企業向けに各種アプリの開発を行っており、今後はアプリの提供によりSaaS型ビジネスの育成を目指していく。「Shopify」上で提供されるアプリは全世界で7千種類以上あるが、このうち日本版のアプリは約120種類とまだ少なく、参入余地があると見ている。なお、国内外の優良な「Shopify」アプリを紹介する「Slash App」サイトも2021年9月に開設している。
また、他社連携の取り組みとして、AI開発企業である(株)ABEJAのAIエンジンを組み込んだ開発などもNTTデータと協業して進めている。AI技術を活用することで、より効果的なマーケティング施策が打てるようになり、UXの最大化を実現可能とする。また、同社はSalesforceのMAツール「Pardot」の導入支援も行っており、NTTデータとの協業も進めながらSalesforce関連の売上も伸ばしていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
3. 成長戦略
ネットイヤーグループ<3622>は2020年度から2025年度までの中期の成長ロードマップを策定し、3段階に分けて各種施策に取り組むことで事業成長を目指していく方針となっている。
(1) 事業基盤再構築
第1段階として、「事業基盤再構築」をテーマに掲げ、2021年3月期まで事業基盤の強化・変革、既存ビジネスの精緻化に取り組んできた。
a) 事業基盤の強化・変革
事業基盤の強化・変革として、従業員のマインド向上やエンゲージメントの向上に加えて、収益力の強化を図るためプロジェクト品質の向上やコスト改善に取り組んだ。従業員のマインド及びエンゲージメントの向上については、人事変革の遂行(人材育成基盤の構築、特定専門職の運用、社員の適性を見た再配置)や、多様な働き方ができる環境の整備(「カケモチ社員制度」の導入、LGBTに対応した福利制度改定、介護・育児等を想定した柔軟な勤務管理、遠隔地勤務制度等)、教育研修の強化などに取り組んだことで離職率が大幅に低下し、従業員エンゲージメントの指標も向上している。一方、収益力の強化については、既述のとおり売上総利益率の改善につながっており、今後も一段の向上を目指していく方針だ。
b) 既存ビジネスの精緻化
既存ビジネスの精緻化に関しては、NTTデータとの連携による大型案件に取り組んでいるほか、UX/CXのメソッド化、横展開できる新サービスの提供開始、プロジェクトマネジメント力の向上に取り組み、それぞれ一定の成果を挙げている。
NTTデータとの大型案件では、オウンドメディアのUXデザイン設計・実装からシステム基盤の構築、導入後のマーケティング運用までを両社の強みと融合して受注獲得につなげている。また、無人店舗・オンライン接客など次世代型店舗の実証実験※なども共同で進めてきた。2021年3月期から売上貢献している通信キャリア向けのプロジェクトでは、デザイン設計とシステム基盤の開発をNTTデータが担当し、複数サイトにまたがるCMSの構築及びAPI連携を両社で担当、サイトの運用・改善は引き続き同社で担当しており、2022年3月期第3四半期以降も継続した売上貢献が見込まれている。今後も、同社単独では受注できなかった大型案件も、流通業界向けで豊富な実績と顧客基盤を持つNTTデータと連携することにより受注できるものと予想され、NTTデータ向けの売上構成比も将来的に3割程度まで上昇する可能性があると弊社では見ている。大型プロジェクトを安定的に受注していくためには、プロジェクトマネジメント力の強化も重要となるため、こうした人材の採用を進めていくと同時に、多様な雇用形態の導入によって外部の優秀な人材を登用し、今後の事業拡大に対応していく方針だ。
※東急ハンズとNTTデータが2020年6月に共同で実施したアバターを介した非対面接客による「デジタルストア」の実証実験に参加(CXシナリオ設計、コンテンツ企画、VMDデザインを実施)。
また、横展開できる新サービスとしては、2020年5月に開始した「パフォーマンスオプティマイゼーションサービス」に注力している。デジタルマーケティング施策となる「WEB広告」「SEO対策」「サイト改善」の3領域をワンストップで支援することで、マーケティング費用の最適化を実現するサービスとなる。従来、これら3つの領域はそれぞれ異なる広告代理店やWeb制作会社などがクライアント企業に対してサービスを提供していたが、それぞれの施策が分断されてしまい必ずしも全体をとおして最適化されたデジタルマーケティング施策になっていないことが課題となっていた。また、クライアント企業は各領域の事業パートナーと個別に時間をかけて、予算配分や改善施策などを協議して決めるなど非効率となっており、こうした課題を解決し、デジタルマーケティングの費用対効果の最大化を実現するサービスとして注目されている。導入効果として、資料請求件数が支援前の2.5倍に拡大したという事例※も出てきており、今後も継続して収益が見込める事業として成長が期待される。現在、専門チームとして15名体制としているが、引き合いが好調なことから増員を進める予定にしている。
※資料請求件数の拡大を目標とし、オウンドメディアへの訪問者数を増やすための流入施策として「WEB広告(短期流入増)」や「SEO対策(中長期流入増)」を行いながら、訪問者が資料請求を行いやすくなるような「サイト改善(UI/UXの改善)」を実施した。
(2) 2022年3月期からの成長戦略
2022年3月期からは「新たな事業機会創出」をテーマに、DX/CXをシステムからプロフェッショナルサービスまで統合してSaaS化する事業や、EC/店舗連携などフィジカルとデジタルを一本化したCX開発、資本集約型ビジネスモデルの育成等に取り組んでいく。
新たなサービスメニューとして、2021年4月より「Shopify」の導入・活用支援サービスの提供を開始した。「Shopify」は、世界175ヵ国、170万以上のオンラインショップで採用されているマルチチャネルコマースプラットフォームで、国内でも店舗数で前年比2倍(2020年)、流通額で同3倍(同)に拡大するなど急速に普及が進んでいるサービスである。同社のUXデザイン力やデータ分析力、各種マーケティング施策を「Shopify」の導入と併せて提供することで、オンラインショップの育成並びに収益の最大化を実現していく。サービス内容は、「Shopify」のアカウント開設からECサイトのデザイン制作・実装、サイト公開までをシームレスにサポートするほか、ECサイトの売上向上支援として「パフォーマンスオプティマイゼーションサービス」の提供などサイト運営に関するサポートなどを提供する。また、「Shopify」利用企業向けに各種アプリの開発を行っており、今後はアプリの提供によりSaaS型ビジネスの育成を目指していく。「Shopify」上で提供されるアプリは全世界で7千種類以上あるが、このうち日本版のアプリは約120種類とまだ少なく、参入余地があると見ている。なお、国内外の優良な「Shopify」アプリを紹介する「Slash App」サイトも2021年9月に開設している。
また、他社連携の取り組みとして、AI開発企業である(株)ABEJAのAIエンジンを組み込んだ開発などもNTTデータと協業して進めている。AI技術を活用することで、より効果的なマーケティング施策が打てるようになり、UXの最大化を実現可能とする。また、同社はSalesforceのMAツール「Pardot」の導入支援も行っており、NTTデータとの協業も進めながらSalesforce関連の売上も伸ばしていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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