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クオールHD Research Memo(6):CMR派遣や医療系人材紹介派遣の需要回復は下期以降となる見通し

注目トピックス 日本株
■業績の動向

3. 医療関連事業の動向
医療関連事業のうち、主力のCSO事業は前下期からCMR派遣の需要が減少した影響が続いており、減収減益となったものの、足元の需要は回復傾向にある。クオールホールディングス<3034>では引き続きオンコロジー等の専門領域におけるMRの育成プログラム拡大と人材の採用、育成の強化に取り組んでおり、下期以降の収益回復を見込んでいる。CRO事業については食品分野を中心に需要が堅調に推移した。

医療系人材紹介派遣事業についても、コロナ禍が長期化するなか調剤薬局が薬剤師の派遣を絞り込む動きが前下期から続いており減収減益となった。ただ、ドラッグストアへの派遣及び産業医・産業保健師の派遣需要は回復傾向を見せている。また、アポプラスキャリアではサービスラインナップの拡充に取り組んでおり、健康経営優良法人の認定取得をサポートするサービスや、ヘルスケアセミナーなど健康管理業務支援などにも注力し始めている。

医薬品製造販売事業では、一部顧客向けの一時的な出荷停止により減収減益となったものの、自社開発したGE医薬品のグループ内薬局での導入が進んでおり、先発品からの切り替え率で見ると前第4四半期の約6割から約8割まで浸透した製品も出るなど、同社のグループシナジー戦略が順調に進んでいるものと評価できる。


2022年3月期業績は利益ベースで期初計画を上方修正、営業利益は過去最高となる100億円を見込む
4. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の業績は売上高で前期比8.1%増の175,000百万円、営業利益で同35.8%増の10,000百万円、経常利益で同35.1%増の10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同48.6%増の5,000百万円と期初計画から各利益を上方修正し、営業利益は2018年3月期の過去最高(9,091百万円)を更新する見通しとなっている。下期はM&A効果等もあって保険薬局事業がさらに伸長するほか、医療関連事業についても主力事業の需要回復を見込んでいる。

第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で46.8%、営業利益で41.8%となっているが、保険薬局事業は下期偏重型であることや、医療関連事業の収益が上期の低迷から下期は回復が見込まれていることなどから考えると、達成可能な水準と弊社では見ている。

(1) 保険薬局事業
2022年3月期の保険薬局事業は増収増益となる見通し。新規出店についてはM&Aを含めて50〜70店舗前後を想定し、30億円以上の増収効果を見込んでいたが、2021年11月15日時点では28店舗にとどまっており(11月にM&Aで7店舗取得)、M&Aによる店舗取得ペースがやや遅れている状況にある。また、下期の処方箋応需枚数については前年同期比8%前後の増加を見込んでいる。10月はコロナ禍の影響で前年同月比1.3%減と8ヶ月ぶりのマイナスに転じたが、11月は回復に転じているもようだ。ただ、今後再び感染者数が拡大する状況となれば処方箋応需枚数が伸び悩み、売上高が下振れするリスクもある。こうしたなかで、同社は引き続きかかりつけ薬局としての機能強化と在宅調剤の取り組みを推進することで調剤技術料の引き上げを図り、収益を拡大していく方針だ。なお、2022年の新卒薬剤師の採用数については、前年並みの200名程度を予定している。(2021年9月末の薬剤師数は正社員で2,341名)。

(2) 医療関連事業
2022年3月期の医療関連事業は増収増益となる見通し。CSO事業は下期のCMR派遣の需要回復により通期で増収増益を見込んでいる。製薬企業におけるMRのアウトソーシング化の流れが続いていることに変わりはなく、スペシャリティ薬等の専門領域に強いMRやITリテラシーの高いMRの採用・育成を積極化し、こうした需要を取り込んでいく方針となっている。CMR人員については前期末の約570名から約600名まで増員する計画だ。

一方、医療系人材紹介派遣事業は薬剤師派遣の需要回復がやや遅れており、下期に挽回したとしても通期では前期並みの収益水準にとどまる見通しだ。処方箋応需枚数の動向が薬剤師派遣の需要回復の鍵を握ることになる。このため同社では保健師派遣やその他サービスの拡充を図ることで、収益を伸ばしていく戦略となっている。医薬品製造販売事業については、グループ薬局での取扱拡大と品質管理の徹底による安定供給を進めていくことで、増収増益を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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