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日本電技 Research Memo(5):2024年3月期に営業利益45億円を目指す

注目トピックス 日本株
■中期経営計画

1. 中期経営計画
社会の構造変化やデジタル化を背景とする技術革新の加速といった経営環境の変化に対応して、日本電技<1723>は長期経営指針「ND For The Next 2030」を策定した。これまで培ってきた技術と資産である「計装」の総合力によって成長力を発揮するとともに、サステナビリティを巡る課題を解決することでさらなる持続的成長を図り、2031年3月期には売上高450億円、営業利益60億円を目指す。それまでの10年を、成長基盤を構築する「ステージ1」、成長を実現し事業品質の向上を進める「ステージ2」、さらなる飛躍と挑戦をする「ステージ3」に分けて、それぞれ中期経営計画を策定することで着実な成長につなげる。2022年3月期では「ステージ1」に取り組み、2024年3月期に受注高350億円、売上高340億円、営業利益45億円、ROE10%以上を目指す方針である。


成長戦略は既存基盤の強化、拡大戦略の実行、ND企業文化の成長
2. ステージ1の成長戦略
(1) 既存基盤の強化
特に空調計装関連事業においては、将来、人口減少などから厳しい受注環境になることが予想されるため、全社最適を目的に経営資源を投下し、建物運用ソリューション事業者としての確固たるポジションを築く方針である。具体的には、新設工事において、従来の「地域ブロック最適」から「全社最適」へと経営の重心をシフト、新設工事案件が集中している首都圏に経営資源を集中投下する。また、メンテナンスストック性を重視した新設工事を受注することで既設工事へとつなげることを徹底、確実に収益を確保していく考えである。既設工事では、顧客の建物運用課題を的確に捉えたソリューションの提供、高付加価値やサービスをプラスオンした新計装システムの提供、脱炭素社会を踏まえた省エネ提案の強化などの総合力により、全国主要エリアで顧客満足度の向上を進め、建物運用ソリューション事業者としてローカル企業との差別化を図る。

(2) 拡大戦略の実行
高い成長性が予想される産業システム関連事業には経営資源を集中、組織再編や事業領域拡大によって中核事業への成長を目指す。具体的には、足元で既に進めているものもあるが、事業部制の導入、中途採用による専門人材の確保、事業部サイトの制作など販促ツールの拡充、食品メーカーや食品製造機械などに対する営業効果の高い展示会への出展といった事業基盤づくりへの投資もしつつ事業展開を積極化する。ステージ1はまだ種まき期間だが、生産管理システムなどジュピターアドバンスシステムズ(株)の経営資源や知見を取り込むことで、事業として高付加価値化や新販路開発などのシナジーを最大化して競争力を強化する方針である。これにより、産業システム関連事業の収益化と事業領域の拡大を促進し、空調計装関連事業との両輪で成長をけん引する考えである。

(3) ND企業文化の成長
中長期的な企業価値の向上を目指して、「人的資本の充実」「働き方改革の推進」「ガバナンスの徹底」を推進する。「人的資本の充実」では、中堅や若手社員の早期戦力化、経営人材など人材の育成、採用強化による量的・質的な人員確保を進める。「働き方改革の推進」では、ワークライフバランスや人材・働き方の多様化、健康経営の推進など従業員とのエンゲージメントを推進する。「ガバナンスの徹底」では、取締役会の実効性確保、独立社外取締役の活用、経営の透明性確保、株主との建設的対話に向けた情報開示の充実などを進める。また、2030年のあるべき姿の実現へ向けて、サステナビリティ経営への取り組みも開始する。財務目標と対をなす非財務目標として、脱炭素社会実現への貢献、計装エンジニアリングの可能性への挑戦といった環境目標、従業員とのエンゲージメントやダイバーシティの推進などの社会目標、中長期的な企業価値の向上や地域・社会貢献といったガバナンス目標をESGの視点も踏まえ、同社グループのマテリアリティとして掲げる。サステナビリティ経営を通じて事業機会を創出し、社員の意識変化、取り組み定着化を図り企業文化の成長とあわせ企業に求められる責任を果たしていく考えである。


中期的には踊り場から成長回帰へ
3. 短中期的な見方
ステージ1の中盤に位置する来2023年3月期については、空調計装関連事業において、都心駅前再開発案件で新設工事が盛り上がりを見せ、ステージ1最終年度へ向けて完成工事が増えていく見込みである。既設工事では、エンジニアリング機能を生かした大型改修の受注が続くことが予想される。ただし、既設事業において協力会社の人手不足が課題となっており、数社ある全国規模の協力会社に対し、資金投入などによって工事体制づくりをサポートする考えである。産業システム関連事業では、コロナ禍で遅れていた事業部制の動きが本格化し、新規案件でも収益性の高い工場のデジタル化ニーズを背景に、増加している受注が完成工事につながってくる見込みである。また、ジュピターアドバンスシステムズとのシナジーは、負担がかからないようタイミングを見ながら強化していく方針ではあるが、そろそろ視野に入ってくる頃だと思われる。新たなM&Aについては、足元の実績づくりを重視してジュピターアドバンスシステムズとのシナジー創出を優先する。2024年3月期には、都心駅前再開発による新設工事の拡大及び既設工事の好調継続により空調計装関連事業が踊り場を抜け、産業システム関連事業は工場のデジタル化ニーズ拡大を背景に利益成長に貢献し始めると予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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