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テクマト Research Memo(2):情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業を展開(1)

注目トピックス 日本株
■会社概要

1. 会社概要
テクマトリックス<3762>は、ニチメン(株)(現 双日<2768>)の営業部門の戦略子会社として設立されたニチメンデータシステム(株)が前身である。このため、技術・ビジネスの両面で優れた製品・サービスを発掘する“目利き力”及び“マーケティング力”、レベルの高い“ビジネスオペレーション力”といった商社で培われたノウハウを受け継ぎ、事業展開を進めていることが最大の強みであり特長となっている。

同社の子会社は、医療情報クラウドサービスの提供及び個人のPHR※や医療情報を共有できるスマートフォンアプリの開発を進める(株)NOBORIや、その子会社で遠隔画像診断のインフラサービスを提供する(同)医知悟(いちご)及び医療被ばく線量の管理システムを提供する(株)A-Line、また、ネットワークやサーバの運用・監視及びネットワークエンジニアの派遣、IT製品の輸入・販売・サポートを行うクロス・ヘッド(株)、その子会社で立地を生かしたBCPサービスの提供やSMB企業向けサービスの展開などを行う沖縄クロス・ヘッド(株)、システム開発やIT技術者の教育サービス等を展開する(株)カサレアル、金融機関向けパッケージ製品Aprecciaシリーズの設計・開発を行う山崎情報設計(株)の合計7社となる。

※PHR(Personal Health Record):個人の健康に関する様々な情報を指す。NOBORIは、自己管理のもとに情報集約化を実現するツールやシステムを提供している。


2. 沿革
同社の創業は1984年8月で、ニチメン(現 双日)の営業部門の戦略子会社として発足した。1990年10月に受託開発事業に本格参入し、某大手都銀より為替ディーリングシステムを受注し、金融分野で事業開拓の第一歩を踏み出す。1996年12月には業務パッケージ事業にも参入し、自社開発品となるCRMパッケージ「FastHelp」の販売を開始したほか、1998年10月には自社開発品のDICOM※対応医用画像サーバ「Secured DICOM Server(現SDS Image Server)」の販売を開始するなど、アプリケーション・サービス事業にも領域を拡大していった。

※DICOM:Digital Imaging and COmmunications in Medicineの略で、CTやMRI、CRなどで撮影した医用画像のフォーマットと、それらを扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義した世界標準規格。


また、2005年2月にJASDAQ市場に株式を上場し(現在は東証第1部)、上場で調達した資金を使ってM&Aを推進、事業基盤の拡充に取り組んできた。具体的には、2007年8月に医療分野の子会社として医知悟を設立したほか、2008年1月にクロス・ヘッドを連結子会社化、2009年8月にカサレアルを完全子会社化、2014年3月にはクロス・ヘッドが沖縄クロス・ヘッドを完全子会社化している。また、CRM分野での海外展開を目的に、2018年4月にタイのバンコクに駐在員事務所を開設している。なお、医療分野では2018年1月にNOBORIを設立し、同年4月に医療システム事業を会社分割によって同社へ承継した。その際に、NOBORIは三井物産<8031>に対して第三者割当増資を実施(出資比率33.3%)しており、医療システム事業は同社と三井物産の合弁事業となっている。三井物産と開発や営業面で連携を図りながら、同事業を拡大していく戦略である。

3. 事業内容
同社の事業は、ネットワーク及びセキュリティシステムの構築、保守、運用・監視サービスを展開する情報基盤事業と、医療分野やCRM分野等の業界及び業務特化型ソリューションサービスを展開するアプリケーション・サービス事業の2つのセグメントで構成される。直近3年間の事業セグメント別構成比では、情報基盤事業が売上高で66〜68%、営業利益で73〜75%と過半を占めている。また、営業利益率では情報基盤事業が10%台から13%台に、アプリケーション・サービス事業が7%台から9%台にそれぞれ上昇している。情報基盤事業に対してアプリケーション・サービス事業がやや低くなっているが、これはアプリケーション・サービス事業で展開するクラウドサービス等の投資負担が重いためで、償却前営業利益率で見れば情報基盤事業を上回る水準※となっている。アプリケーション・サービス事業では新サービスの開発に向けた投資も積極的に行っているため、投資状況によって今後も営業利益率が変動する可能性はあるものの、趨勢的には売上拡大とともに収益性も上昇していくものと予想される。各事業の内容は以下のとおり。

※2021年3月期の償却前営業利益率は、情報基盤事業が14.5%、アプリケーション・サービス事業が17.8%となっている。


(1) 情報基盤事業
情報基盤事業では、ネットワーク及びセキュリティ分野において独自の目利き力を生かし、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つ製品を見極め、単なる製品販売にとどまらずシステム構築から保守サポート、運用・監視サービスに至るまでワンストップ・ソリューションでサービスを提供している。

主に、仮想化ソリューション※1、次世代ネットワーク、セキュリティ、ストレージ等の分野を対象としており、主要取扱製品にはF5 Networksの負荷分散装置※2、McAfee, LCCの不正侵入防御システム、Palo Alto Networksの次世代ファイアウォール※3、Dell EMCのクラスターストレージなどがあり、それぞれ販売一次代理店となっている。いずれも世界で高いシェアを持つ製品となっており、単体売上高に占める製品売上構成比では各1〜2割程度だが、2021年3月期においてはPalo Alto Networks社製品が大きく伸長しており、同社のなかで最大規模の売上高となっている。

※1 コンピュータシステムを構成する資源(サーバ、ストレージ、ソフトウェア等)に関する技術。複数から構成されるものを論理的に1つのもののように見せかけて利用できるほか、逆に1つのものを論理的に複数に見せかけて利用できる技術。
※2 Webサイトへのアクセス集中による反応の低下やシステムダウンを防止するため、多数のアクセス(負荷)が集中した場合に適切に複数のサーバに振り分ける(分散する)装置。
※3 使用されるポート番号やプロトコルなどに関係なく通過するアプリケーションを識別し、それを使うユーザの特定及び制御を行い、さらに幅広い脅威に対するスキャニングを実施することでITネットワーク環境において必要とされる可視化と制御を行うセキュリティシステム。


販売先別売上構成比は、民間企業向けが約8割、官公庁・地方公共団体向けが約2割となっている。民間企業のなかには通信事業者やデータセンター事業者等のITサービス企業も含まれている。情報セキュリティ関連市場の拡大が続くなかで受注競争も激しくなっているが、同社は高い技術力に加えて、24時間365日の保守サポート体制、有人による運用・監視サービスなど、ワンストップで高品質なサービスを提供できる総合力を強みとして、民需・官需問わず幅広い顧客層において実績を積み上げている。ここ1〜2年は、西日本エリアでの顧客開拓も直販並びにパートナー(二次代理店)を通じて順調に進んでおり、2020年10月には九州営業所を新たに開設している。

連結子会社のクロス・ヘッド及び沖縄クロス・ヘッドは、ネットワークやサーバの運用・監視のほか、ネットワークエンジニアの派遣、セキュリティ製品・ストレージ製品の販売等を行っている。このうちクロス・ヘッドについては収益力の強化を図るため、2018年頃からは単純なエンジニア派遣業務主体のビジネスから付加価値の高いクラウドサービスの導入支援業務及びネットワーク・セキュリティの運用・監視サービスへのシフトを進めてきた。現在は、AWS(Amazon Web Service)の認定資格取得者数が約200人と全従業員の過半を占めるまでになっており、2019年5月にはAWSからAPN(AWS Partner Network)アドバンストコンサルティングパートナー※の認定を取得している。

※APNアドバンストコンサルティングパートナーは、AWSに関する営業・技術体制があり、AWSでのシステムインテグレーションやアプリケーション開発等の実績が非常に豊富なパートナーが認定を受けられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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