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テクマト Research Memo(7):セキュリティシステムのクラウドシフトを背景に、情報基盤事業が大きく成長(2)

注目トピックス 日本株
■業績動向

b) CRM分野
CRM分野の売上収益は前年同期比1ケタ減となった。前述したように前期まで継続していた既存顧客のリプレイス案件が一巡したことや、新規商談について成約に至るまでの時間がコロナ禍で長期化しており受注が伸び悩んだことが要因だ。ただ商談件数は堅調に推移しており、下期には受注ベースでキャッチアップし、通期受注は計画どおりとなる見込みだ。

なお、テクマトリックス<3762>は受注拡大施策として周辺サービスを手掛けるベンダーとの連携を国内外で積極的に進めている。国内では(株)RevCommが開発した音声解析AI電話「MiiTel(ミーテル)」と同社のコンタクトセンターCRMシステム「FastHelp5」の連携を2021年5月より開始したほか、同年9月には(株)ソフツーが開発・提供しているクラウド型コールセンターシステム「BlueBean(ブルービーン)」と「FastHelp5」のシステム連携を行い、短期間で構築可能なクラウド型コンタクトセンターソリューションの提供を開始している。

海外では2021年7月にタイのソーシャルデータ分析クラウドサービス最大手であるWISESIGHTを傘下に持つTZO Company LTd.に出資し、WISESIGHTと業務提携を行った。WISESIGHTはタイのローカル企業だけでなく、日系企業、グローバル企業など約300社を顧客に抱えており、今後、既存顧客や新規顧客に対して「FastHelp」の販売を進めていく。顧客企業に対しては、ソーシャルメディアの投稿から企業への問い合わせまでを統合的に管理し、対応できることになる。既に受注実績もあり、今後タイだけでなく東南アジア地域での拡販も協業して進めていく予定で、海外事業拡大に向けた契機としたい考えだ。

c) ソフトウェア品質保証分野
ソフトウェア品質保証分野の売上収益は前年同期比2ケタ増となり、受注はコロナ禍前の水準を超えるまでに回復した。前年同期はコロナ禍で製造業を中心として投資減速の影響を受けたものの、自動車業界を中心に組み込みソフトウェアの品質向上を目的としたテストツールの受注が増加した。また、金融機関等のエンタープライズ系についてもAPI連携等を目的としたテストツールの受注が回復している。サブスクリプション型ライセンスの受注が増加していることで、受注残高も積み上がっている状況にある。

d) ビジネスソリューション分野
ビジネスソリューション分野の売上収益は前年同期比2ケタ増となった。既存顧客である学術系公共機関向けのシステム開発案件が堅調だったほか、金融機関向けリスク管理分野においてLIBOR※廃止に対応するための開発需要も取り込めたことが増収要因となった。ただ、ベンチャーキャピタル向けファンド運営・管理システムの開発案件で数千万円規模の不採算案件が発生したことにより、利益面では苦戦した。なお、同案件の収束の目途はほぼ立っており、追加で損失が発生するリスクは低いようだ。

※LIBOR(London Interbank Offered Rate):ロンドン金融市場における銀行間取引金利のこと。本指標の恒久的な公表停止が確定しており、同指標を参照してシステム取引を行っていた金融機関や企業は代替金利指標への移行などの対応を進める必要がある。


子会社の状況については、山崎情報設計がほぼ計画に沿って推移しており、カサレアルはIT分野のオンライン研修サービスやクラウド関連技術に関するコンサルティングサービスが順調に推移し、計画を上回る進捗となった。

e) 教育分野
教育事業では「ツムギノ」の垂直立ち上げを目指すべく、専門組織を立ち上げ営業・マーケティング活動を大幅に強化するなど積極的な投資を進めている。2021年4月には(学)堀井学園 横浜創英中学・高等学校、(学)新渡戸文化学園 新渡戸文化中学・高等学校が導入したことを発表している。2法人とも主体的な学びを重視するなど教育に関して先進的な考え方を持っており、クチコミにより導入の検討を開始して採用に至ったようだ。

現在は教育関連の展示会などに積極的に出展し、認知度向上に取り組んでいるほか、2021年10月には教育機関向けにGoogleソリューションの販売実績を豊富に持つシネックスジャパン(株)※と再販パートナー契約を締結した。今後、シネックスジャパンではGoogle が提供する教育ソリューション(Google Workspace for Education)と「ツムギノ」を組み合わせた連携ソリューションを軸に、教育機関向けの拡販を進めていくことになる。

※政府のGIGAスクール構想において学校へのパソコン導入のうち約25%の導入(Chromebook)に関わった実績を持つ。


「ツムギノ」に関する問い合わせは多いようで、今後も私立校及び国立大学付属校などで採用が進んでいくと見られる。一方、公立の小中学校に関しては各自治体の教育委員会が導入の決定権を持っているため、ICT活用に先進的な複数の自治体に提案活動を進めている状況にある。そのほか、教育機関向けに豊富な実績を持つ大手SIerとも販売パートナーの契約交渉を進めている段階で、これらが決まれば導入ペースも加速していくものと期待される。同社では収益化の時期について2025年3月期以降を想定しており、当面は先行投資段階となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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