ダイコク電 Research Memo(1):2022年3月期上期は増収及び大幅な増益を実現
[22/01/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 事業概要
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示ユニット及び制御ユニットの開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア36.6%を占める。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,337店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場の中で、大型店舗におけるシェアを伸ばすとともに、継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換など、中長期を見据えた事業改革を推進している。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策、「新規則」機への入れ替えなど)を通じて、パチンコホール業界が大きな転換点を迎えるなかで、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響も重なり、先行き不透明感から業績はしばらく厳しい状況が続いてきた。一方、2022年1月末に「旧規則」機の設置期限を控えるが、遊技機市場はパチンコ「新規則」機による活性化の兆しもあり、それに伴って足元業績は回復傾向にある。
2. 2022年3月期上期決算の概要
2022年3月期上期決算の業績は、売上高が前年同期比8.5%増の12,047百万円、営業利益が863百万円(前年同期は185百万円の損失)と増収及び大幅な増益を実現した※。期初予想に対しても、売上高はほぼ計画通りに推移した一方、利益面では大きく上振れる進捗となっている。パチンコホールにおいては新規出店等の大型設備投資を控える傾向があるものの、パチンコ「新規則」機の好調な稼動と共に、「情報システム事業」の主力製品である「REVOLA」や「VEGASIA」の販売が順調に推移したことが増収に大きく寄与した。利益面でも、増収による収益の押し上げと共に、ストック型ビジネスであるMIRAIGATEサービス(以下、MGサービス)の回復やコスト削減により大幅な営業増益を実現した。特に、期初予想を大きく上回ったのは、利益率の高い主力製品の伸びに加え、全社的なコスト削減への取り組み(働き方の見直しを含めた業務改善や効率化、内製化の推進等)が奏功したためである。
※2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、22/3期上期の各数値については当該会計基準等を適用した後の数値となっている。また、21/3期上期の各数値については、当該表示方法を反映した組替え後の数値及び前年同期比を記載している。
3. 2022年3月期の業績予想
2022年3月期の業績予想については期初予想を据え置き、売上高を前期比11.4%増の26,000百万円、営業利益を同40.0%増の850百万円と増収増益を見込んでいる。下期についても、遊技機全体の稼動はパチンコ機を中心に堅調に推移する想定である。特に2022年1月末に「旧規則」機の設置期限を控え、「新規則」機への段階的な入れ替えが遊技機市場の活性化に寄与する見通しとなっている。なお、上期の各段階利益が計画を大幅に上回ったにもかかわらず予想を据え置いたのは、半導体不足による影響(部品調達リスク)を慎重に見ていることが理由である。
4. 新たな中期経営計画の公表
同社は、2023年3月期からの新中期経営計画(3ヶ年)を公表した。先行き不透明な状況が続いたことから、しばらく中期経営計画の公表を見送ってきたが、ここにきて公表に踏み切ったのは、2022年2月からの「新規則」機への完全移行、さらにはスマート遊技機※による新たな時代を迎えるにあたり、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活性化に向けた道筋が見えてきたことが背景にある。すなわち、スマート遊技機の普及に伴う需要を取り込むとともに、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を促進するほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。最終年度である2025年3月期の数値目標として、売上高34,000百万円(3年間の平均成長率9.4%)、営業利益2,200百万円(営業利益率6.5%)を目指している。なお、営業利益率が段階的に改善していくのは、MGサービスによるストック型ビジネスが成長の軸となり、収益構造の変化(収益の底上げ)に大きく貢献するためである。
※「管理遊技機」(スマートパチンコ)及び「メダルレス遊技機」(スマートパチスロ)のこと。これまでのように玉やメダルに触れることなく遊ぶことができる。パチンコホールにおける玉やメダルに係わる設備が不要になること、遊技性能が既存の遊技機よりもアップされるところなどに特徴があり、遊技機メーカー団体(日工組・日電協)が推進していることから、今後の進展が注目されている。
■Key Points
・2022年3月期上期は増収及び大幅な増益を実現。厳しい環境が続くなか、主力製品の伸びやMGサービスの回復、収益体質の改善が計画を上回る増益に寄与
・2022年3月期は期初予想を据え置き、増収増益を見込む。ただし、半導体不足の影響を保守的に織り込んだ水準
・2023年3月期からの新中期経営計画を公表。スマート遊技機による新たな時代を迎えるにあたり、クラウドサーバーを活用したビジネス展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームの構築を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 事業概要
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示ユニット及び制御ユニットの開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア36.6%を占める。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,337店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場の中で、大型店舗におけるシェアを伸ばすとともに、継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換など、中長期を見据えた事業改革を推進している。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策、「新規則」機への入れ替えなど)を通じて、パチンコホール業界が大きな転換点を迎えるなかで、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響も重なり、先行き不透明感から業績はしばらく厳しい状況が続いてきた。一方、2022年1月末に「旧規則」機の設置期限を控えるが、遊技機市場はパチンコ「新規則」機による活性化の兆しもあり、それに伴って足元業績は回復傾向にある。
2. 2022年3月期上期決算の概要
2022年3月期上期決算の業績は、売上高が前年同期比8.5%増の12,047百万円、営業利益が863百万円(前年同期は185百万円の損失)と増収及び大幅な増益を実現した※。期初予想に対しても、売上高はほぼ計画通りに推移した一方、利益面では大きく上振れる進捗となっている。パチンコホールにおいては新規出店等の大型設備投資を控える傾向があるものの、パチンコ「新規則」機の好調な稼動と共に、「情報システム事業」の主力製品である「REVOLA」や「VEGASIA」の販売が順調に推移したことが増収に大きく寄与した。利益面でも、増収による収益の押し上げと共に、ストック型ビジネスであるMIRAIGATEサービス(以下、MGサービス)の回復やコスト削減により大幅な営業増益を実現した。特に、期初予想を大きく上回ったのは、利益率の高い主力製品の伸びに加え、全社的なコスト削減への取り組み(働き方の見直しを含めた業務改善や効率化、内製化の推進等)が奏功したためである。
※2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、22/3期上期の各数値については当該会計基準等を適用した後の数値となっている。また、21/3期上期の各数値については、当該表示方法を反映した組替え後の数値及び前年同期比を記載している。
3. 2022年3月期の業績予想
2022年3月期の業績予想については期初予想を据え置き、売上高を前期比11.4%増の26,000百万円、営業利益を同40.0%増の850百万円と増収増益を見込んでいる。下期についても、遊技機全体の稼動はパチンコ機を中心に堅調に推移する想定である。特に2022年1月末に「旧規則」機の設置期限を控え、「新規則」機への段階的な入れ替えが遊技機市場の活性化に寄与する見通しとなっている。なお、上期の各段階利益が計画を大幅に上回ったにもかかわらず予想を据え置いたのは、半導体不足による影響(部品調達リスク)を慎重に見ていることが理由である。
4. 新たな中期経営計画の公表
同社は、2023年3月期からの新中期経営計画(3ヶ年)を公表した。先行き不透明な状況が続いたことから、しばらく中期経営計画の公表を見送ってきたが、ここにきて公表に踏み切ったのは、2022年2月からの「新規則」機への完全移行、さらにはスマート遊技機※による新たな時代を迎えるにあたり、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活性化に向けた道筋が見えてきたことが背景にある。すなわち、スマート遊技機の普及に伴う需要を取り込むとともに、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を促進するほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。最終年度である2025年3月期の数値目標として、売上高34,000百万円(3年間の平均成長率9.4%)、営業利益2,200百万円(営業利益率6.5%)を目指している。なお、営業利益率が段階的に改善していくのは、MGサービスによるストック型ビジネスが成長の軸となり、収益構造の変化(収益の底上げ)に大きく貢献するためである。
※「管理遊技機」(スマートパチンコ)及び「メダルレス遊技機」(スマートパチスロ)のこと。これまでのように玉やメダルに触れることなく遊ぶことができる。パチンコホールにおける玉やメダルに係わる設備が不要になること、遊技性能が既存の遊技機よりもアップされるところなどに特徴があり、遊技機メーカー団体(日工組・日電協)が推進していることから、今後の進展が注目されている。
■Key Points
・2022年3月期上期は増収及び大幅な増益を実現。厳しい環境が続くなか、主力製品の伸びやMGサービスの回復、収益体質の改善が計画を上回る増益に寄与
・2022年3月期は期初予想を据え置き、増収増益を見込む。ただし、半導体不足の影響を保守的に織り込んだ水準
・2023年3月期からの新中期経営計画を公表。スマート遊技機による新たな時代を迎えるにあたり、クラウドサーバーを活用したビジネス展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームの構築を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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