ダイコク電 Research Memo(4):遊技機市場はパチンコ「新規則」機による活性化の兆し
[22/01/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業界環境
ダイコク電機<6430>のここ数年の業界環境の状況を整理すると、パチンコホール業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いてきた。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下、「新規則」)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感が広がり、しばらく混沌とした状況が続くとともに、2020年に入ってからはコロナ禍の影響(ホール休業や時短営業等)も重なり、厳しい環境に拍車をかけた。
※今回の「新規則」で、一例として遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。
ただ、足元では2022年1月末を期限とする「新規則」機への段階的な入れ替えが進んでおり、特に2020年1月に施行された「技術上の規格解釈基準」の改正、それに伴う日本遊技機工業組合の内規制定によって新たな遊技性(「遊タイム」※など)を有する遊技機がリリースされたことで、パチンコ遊技機ではヒット機種が複数登場しており、遊技機入れ替え需要による市場活性化が顕在化してきた。それに伴って、2021年9月末における「新規則」機への入れ替えはパチンコ遊技機が80%にまで進んだ一方、パチスロ遊技機は58%にとどまっており、今後の動向に注目が集まっている(同社調べ)。また、「新規則」機への完全移行後は、2023年3月期上期にスマート遊技機の新規導入が予定されており、遊技機市場やパチンコホール業界は新たな時代を迎えようとしている。一方、当面のリスク要因としては、コロナ禍の再拡大のほか、半導体不足による納期遅延などの影響が懸念されている。
※「遊タイム」とは、通常時(低確率時)に規定回数まで大当たりしなかった場合、時短(一定回転数まで持ち玉を減らさずに効率よく回転させる機能)に突入するシステム(救済措置)のこと。今回の内規制定によって、「遊タイム」をはじめとした新しい機能が追加され、遊技機のゲーム性の幅が大きく広がった。
警察庁によれば、パチンコホール数は年々減少傾向にあり、2012年から2020年の間で年平均3.6%減となっている。特に足元においては、「新規則」の影響等により新規出店の減少が顕著である。なお、2020年12月末のパチンコホール数は9,035店舗(前年末比604店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数はシェア36.6%に上る。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特徴※がある。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、これからスマート遊技機による新たな時代を迎え、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。
※大型店舗(501台以上)におけるシェアは59.2%とさらに高くなっている。
また、遊技機の市場設置台数については減少傾向で推移(特に、パチンコ遊技機の減少が顕著)しているものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されている。既述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<YM>
ダイコク電機<6430>のここ数年の業界環境の状況を整理すると、パチンコホール業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いてきた。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下、「新規則」)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感が広がり、しばらく混沌とした状況が続くとともに、2020年に入ってからはコロナ禍の影響(ホール休業や時短営業等)も重なり、厳しい環境に拍車をかけた。
※今回の「新規則」で、一例として遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。
ただ、足元では2022年1月末を期限とする「新規則」機への段階的な入れ替えが進んでおり、特に2020年1月に施行された「技術上の規格解釈基準」の改正、それに伴う日本遊技機工業組合の内規制定によって新たな遊技性(「遊タイム」※など)を有する遊技機がリリースされたことで、パチンコ遊技機ではヒット機種が複数登場しており、遊技機入れ替え需要による市場活性化が顕在化してきた。それに伴って、2021年9月末における「新規則」機への入れ替えはパチンコ遊技機が80%にまで進んだ一方、パチスロ遊技機は58%にとどまっており、今後の動向に注目が集まっている(同社調べ)。また、「新規則」機への完全移行後は、2023年3月期上期にスマート遊技機の新規導入が予定されており、遊技機市場やパチンコホール業界は新たな時代を迎えようとしている。一方、当面のリスク要因としては、コロナ禍の再拡大のほか、半導体不足による納期遅延などの影響が懸念されている。
※「遊タイム」とは、通常時(低確率時)に規定回数まで大当たりしなかった場合、時短(一定回転数まで持ち玉を減らさずに効率よく回転させる機能)に突入するシステム(救済措置)のこと。今回の内規制定によって、「遊タイム」をはじめとした新しい機能が追加され、遊技機のゲーム性の幅が大きく広がった。
警察庁によれば、パチンコホール数は年々減少傾向にあり、2012年から2020年の間で年平均3.6%減となっている。特に足元においては、「新規則」の影響等により新規出店の減少が顕著である。なお、2020年12月末のパチンコホール数は9,035店舗(前年末比604店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数はシェア36.6%に上る。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特徴※がある。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、これからスマート遊技機による新たな時代を迎え、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。
※大型店舗(501台以上)におけるシェアは59.2%とさらに高くなっている。
また、遊技機の市場設置台数については減少傾向で推移(特に、パチンコ遊技機の減少が顕著)しているものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されている。既述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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