神戸物産 Research Memo(1):食料品の相次ぐ値上げで業務スーパーの優位性がさらに高まる
[22/01/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで自社グループで行う食の製販一体企業として国内トップ企業である。食品スーパーの「業務スーパー」をFC展開するほか、外食・中食事業やエコ再生エネルギー事業も行っている。店舗の徹底的な「ローコストオペレーション」と自社グループ商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力を強みとし、顧客ニーズに合う商品をベストプライスで提供し続けることにより成長を続けている。
1. 2021年10月期の業績概要
2021年10月期の連結業績は、売上高で前期比6.2%増の362,064百万円、営業利益で同14.5%増の27,311百万円と過去最高業績を連続更新した。前下期より連結対象から外れたクックイノベンチャー事業を除いた既存事業ベースでは、売上高で同11.4%増、営業利益で同16.4%増となっている。主力の業務スーパー事業が売上高で前期比11.0%増、営業利益で同17.3%増と好調を持続したことが要因だ。期末店舗数が前期末比71店舗増の950店舗に拡大したほか、メディアやSNSへの露出効果もあって、直轄エリア※の既存店(以下、既存店)向け商品出荷額が前期比2.4%増と堅調に推移したことによる。また、第2四半期以降は原料価格や物流コストの上昇、為替の円安進展などコストアップ要因があったものの、期中に一部商品で値上げを実施したことやPB商品の構成比率が前期の31.65%から33.12%に上昇したこと等により営業利益率も上昇した。
※直轄エリアは、関西2府4県(淡路島除く)、関東1都3県、九州(鹿児島県、沖縄県除く)、北海道で、それ以外は地方エリアとしている。
2. 2022年10月期の業績見通し
2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の380,000百万円、営業利益で同5.4%増の28,800百万円を計画している。原料や海上運賃の高騰、為替の影響などコスト増加が継続するリスクを考慮した計画となっており、状況に応じた販売戦略の見直しやコスト削減により計画の達成を目指す。業務スーパーの店舗数は関東・九州エリアを中心に前期末比60店舗増を目指し、既存店出荷額についても前期実績を上回ることを目標としている。2021年以降、原料価格の上昇により食料品の値上げが相次ぐなかで、ローコストオペレーションを強みにした価格面での相対的な優位性は一段と高まるはずで、会社計画の達成は可能と弊社では見ている。
3. 中期経営計画
同社は2022年10月期を最終年度とした中期経営計画の連結業績目標(売上高3,580億円、営業利益260億円)を1年前倒しで達成したため、新たな3ヶ年の中期経営計画を策定した。連結業績目標としては2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円を掲げた。年平均成長率では売上高で4.2%、営業利益で5.4%と堅実な計画となっている。引き続き業務スーパー事業における店舗数拡大とPB商品の拡充による持続的な成長を見込んでいるほか、外食・中食事業についても拡大していく方針となっている。また、業務スーパー事業では新たな取り組みとして販売チャネルの拡大とITを活用した次世代型店舗の導入に取り組んでいくことにしている。業務スーパーが近隣になく来店できない潜在顧客に対して、ECサイトを通じて商品を販売していく。次世代型店舗については2021年8月より「業務スーパー天下茶屋駅前店」を直営で出店し、データ収集とシステム改善を実施している。商品の自動発注システムや、セルフレジとの連携によりレジ待ち時間を削減できるタブレット端末付きショッピングカートについては、2022年10月期中にもFC店舗へ導入を進めていきたい考えだ。店舗のDX化を推進することで生産性と顧客満足度の向上が見込まれ、業務スーパー事業のさらなる成長につながる取り組みとして注目される。
■Key Points
・業務スーパー事業の拡大により、2021年10月期は過去最高業績を連続更新
・原料価格の上昇が続くなか業務スーパーの相対的な優位性が高まり、2022年10月期も増収増益が続く見通し
・出店拡大に加えて店舗運営のDX化とECサイトの立ち上げによりさらなる収益成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで自社グループで行う食の製販一体企業として国内トップ企業である。食品スーパーの「業務スーパー」をFC展開するほか、外食・中食事業やエコ再生エネルギー事業も行っている。店舗の徹底的な「ローコストオペレーション」と自社グループ商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力を強みとし、顧客ニーズに合う商品をベストプライスで提供し続けることにより成長を続けている。
1. 2021年10月期の業績概要
2021年10月期の連結業績は、売上高で前期比6.2%増の362,064百万円、営業利益で同14.5%増の27,311百万円と過去最高業績を連続更新した。前下期より連結対象から外れたクックイノベンチャー事業を除いた既存事業ベースでは、売上高で同11.4%増、営業利益で同16.4%増となっている。主力の業務スーパー事業が売上高で前期比11.0%増、営業利益で同17.3%増と好調を持続したことが要因だ。期末店舗数が前期末比71店舗増の950店舗に拡大したほか、メディアやSNSへの露出効果もあって、直轄エリア※の既存店(以下、既存店)向け商品出荷額が前期比2.4%増と堅調に推移したことによる。また、第2四半期以降は原料価格や物流コストの上昇、為替の円安進展などコストアップ要因があったものの、期中に一部商品で値上げを実施したことやPB商品の構成比率が前期の31.65%から33.12%に上昇したこと等により営業利益率も上昇した。
※直轄エリアは、関西2府4県(淡路島除く)、関東1都3県、九州(鹿児島県、沖縄県除く)、北海道で、それ以外は地方エリアとしている。
2. 2022年10月期の業績見通し
2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の380,000百万円、営業利益で同5.4%増の28,800百万円を計画している。原料や海上運賃の高騰、為替の影響などコスト増加が継続するリスクを考慮した計画となっており、状況に応じた販売戦略の見直しやコスト削減により計画の達成を目指す。業務スーパーの店舗数は関東・九州エリアを中心に前期末比60店舗増を目指し、既存店出荷額についても前期実績を上回ることを目標としている。2021年以降、原料価格の上昇により食料品の値上げが相次ぐなかで、ローコストオペレーションを強みにした価格面での相対的な優位性は一段と高まるはずで、会社計画の達成は可能と弊社では見ている。
3. 中期経営計画
同社は2022年10月期を最終年度とした中期経営計画の連結業績目標(売上高3,580億円、営業利益260億円)を1年前倒しで達成したため、新たな3ヶ年の中期経営計画を策定した。連結業績目標としては2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円を掲げた。年平均成長率では売上高で4.2%、営業利益で5.4%と堅実な計画となっている。引き続き業務スーパー事業における店舗数拡大とPB商品の拡充による持続的な成長を見込んでいるほか、外食・中食事業についても拡大していく方針となっている。また、業務スーパー事業では新たな取り組みとして販売チャネルの拡大とITを活用した次世代型店舗の導入に取り組んでいくことにしている。業務スーパーが近隣になく来店できない潜在顧客に対して、ECサイトを通じて商品を販売していく。次世代型店舗については2021年8月より「業務スーパー天下茶屋駅前店」を直営で出店し、データ収集とシステム改善を実施している。商品の自動発注システムや、セルフレジとの連携によりレジ待ち時間を削減できるタブレット端末付きショッピングカートについては、2022年10月期中にもFC店舗へ導入を進めていきたい考えだ。店舗のDX化を推進することで生産性と顧客満足度の向上が見込まれ、業務スーパー事業のさらなる成長につながる取り組みとして注目される。
■Key Points
・業務スーパー事業の拡大により、2021年10月期は過去最高業績を連続更新
・原料価格の上昇が続くなか業務スーパーの相対的な優位性が高まり、2022年10月期も増収増益が続く見通し
・出店拡大に加えて店舗運営のDX化とECサイトの立ち上げによりさらなる収益成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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