城南進研 Research Memo(4):個別指導部門を除いてすべての部門が増収に(1)
[22/01/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績の動向
2. 部門別・グループ会社別の売上動向
(1) 個別指導部門
個別指導部門では「城南コベッツ」ブランドの個別指導塾(小中高及び高卒生対象:1講師につき生徒数2名)を、直営とFC方式で展開しているほか、2018年より「城南予備校DUO」(中高及び高卒生対象:1講師につき生徒数最大10名)の直営教室を「城南コベッツ」に併設する格好で展開している。「城南予備校DUO」は、プロの講師による学習指導とAI教材を組み合わせた効率的な学習プログラムを提供している。AI教材による教育サービスは競合他社も導入し始めているが、城南進学研究社<4720>はプロ講師によるアクティブラーニング形式の指導やマンツーマン指導などのメニューを組み合わせることで差別化を図っている。また、「城南コベッツ」が個別科目の成績向上に力点を置いているのに対して、「城南予備校DUO」は、PBL(Project Based Learning:問題解決型学習)※を実践する教場として位置づけている。
※生徒が自ら課題を見つけ、その課題を解決するまでの過程で様々な知識を習得していく学習法で、アクティブラーニングの1つ。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は、前年同期比0.2%減の865百万円と会社計画を下回った。売上の内訳を見ると直営が同3.4%減の701百万円、FCが同16.8%増の164百万円となり、直営教室の落ち込みが減収要因となっている。また、2021年9月末の教室数は「城南コベッツ」の直営が前年同期比3教室減の51教室、FCが同2教室増の198教室、「城南予備校DUO」が同横ばいの14教室であった。
「城南コベッツ」「城南予備校DUO」の直営については、一部料金プランの見直しにより生徒当たり売上単価が上昇したほか、生徒指導やフォローアップの強化により退塾率も低下するなどプラス面があったものの、教室数の減少や大手塾ポータルサイトを通じたコンタクト数鈍化による生徒数の減少、並びに夏期講習売上の低迷が減収要因となった。一方、「城南コベッツ」のFCについては、教室数増加に伴う生徒数の増加に加えて、新規生徒獲得において塾ポータルサイトへの依存度が低くマイナスの影響をほとんど受けなかったことも増収要因となった。
また、当第2四半期累計の生徒数の傾向として、小学生が増加した一方で高校生が減少した。高校生については「城南予備校」を終了した影響が残っているようだ。このため、今後は高校生の新規生徒募集強化に加えて、小学生で獲得した生徒の継続率を高め、LTVを最大化していくことができるかが、再成長を目指すうえでの重要なカギを握るものと見られる。
(2) 映像事業部門
映像事業部門では、大手予備校・河合塾のフランチャイジー(FCオーナー)として「河合塾マナビス」(高校生対象)を展開している。映像授業はビデオオンデマンド方式で授業を視聴するため、生徒自身のペースで勉強を進めることができる点が特長となっており、同社はそこに予備校運営で培った指導ノウハウを組み合わせることで、高い評価を得て生徒数の獲得に成功している。具体的には、同社は予備校で大学受験指導経験のある人材が指導しているのに対して、競合FCは小・中学生向けをメインとした学習塾が多く、受験対策や進路指導等のノウハウに関して差が出ているものと思われる。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は、前年同期比20.0%増の999百万円と過去最高を大きく更新した。コロナ禍においても在宅でリモート授業を受講できるオンライン教育サービスの強みが生きた格好で、生徒数の増加が主な増収要因となった。2021年9月末の校舎数は前年同期比2校舎減の21校となった。稼働率の低い校舎を前下期に2校閉鎖したことによる。「河合塾マナビス」全体の教室数は2021年3月末時点で340校(うち、FC校舎数278校)と拡大基調が続いており、同社においても下期に1校開校予定(2022年2月)となっており、当面の目標として30校体制の構築を掲げている。
(3) 幼少教育部門
幼少教育部門では、乳幼児を対象とした育脳教室「くぼたのうけん」(直営・FC合計で17教室)、英語が学べる学童保育「放課後ホームステイ E-CAMP」(2教室)、算数に特化した個別指導塾「りんご塾」(5教室)、「城南ルミナ保育園」(1園)に加えて、2019年11月に吸収合併した(株)ジー・イー・エヌの英語スクール「ズー・フォニックス・アカデミー」(乳幼児・小学生を対象。直営・FC合計で15校)が含まれる。また、複数の教育サービスを1拠点で提供する「城南ブレインパーク」は6拠点となっている。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は、前年同期比21.8%増の297百万円となった。前年同期はコロナ禍に伴う政府の緊急事態宣言が発出されたことを受け、「くぼたのうけん」「りんご塾」「ズー・フォニックス・アカデミー」を一時的に休校(2020年4月〜5月)とした影響で売上が落ち込んでいたが、当第2四半期累計では感染防止対策を講じながら運営を継続し増収に転じている。特に、「りんご塾」は前年同期比2教室増加の5教室となったこともあり、売上高は同2.1倍増と好調に推移した。同塾は算数オリンピック※対策に特化した専門塾として、優秀な成績を上げており、今後拠点数をさらに拡大していく予定にしている。
※算数オリンピックとは、小学生以下の子どもを対象とするコンテストで、1992年より毎年開催されている。「日本数学オリンピック」参加選手の登竜門ともなっている、算数を共通語に思考力と独創性を競う大会。
「くぼたのうけん」についてはFC教室を1教室、2021年9月に開校した。既存教室については休会数が多いこともあり、コロナ禍前の水準まで回復しておらず、今後の課題となっている。また、ソリューション事業(「くぼた式育児法」を外部の教育機関(幼稚園、保育園等)に提供するサービス)における導入園数は、コロナ禍で営業活動の制限を受けた影響により、契約団体数で前期末比1件増の45件にとどまった。「ズー・フォニックス・アカデミー」の校舎数は前年同期比4校減少したものの、売上高は若干増となった。「放課後ホームステイ E-CAMP」の校舎数は2021年4月に1校を開校し2校となった。「城南ルミナ保育園」については「くぼた式育児法」の導入に加えて、「ズー・フォニックス・アカデミー」の英語教育プログラムも導入するなど、グループシナジーによる差別化戦略を推進している。
なお、2021年3月期より新たな取り組みとして開始した複合型スクール「城南ブレインパーク」は前期末比2拠点増加(御茶の水、新浦安)の6拠点となった。同パークは「くぼたのうけん」の拠点で、「りんご塾」「ズー・フォニックス・アカデミー」「アトリエ太陽の子(絵画教室)」「そろタッチ※1」といった複数の乳幼児向け教育サービスを、曜日ごとに提供している。脳育×STEAM教育※2で子どもの「たくましい知性」と「しなやかな感性」を伸ばし、発想力や想像力、数学的思考力、コミュニケーション能力などの能力開発に取り組んでいる。複数サービスを受講する生徒数も徐々に増加しているもようだ。
※1 「そろタッチ」とは、そろばんの仕組みをタブレット端末で応用した、新しい暗算学習法。
※2 STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を統合的に学習する教育理念のことを指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 部門別・グループ会社別の売上動向
(1) 個別指導部門
個別指導部門では「城南コベッツ」ブランドの個別指導塾(小中高及び高卒生対象:1講師につき生徒数2名)を、直営とFC方式で展開しているほか、2018年より「城南予備校DUO」(中高及び高卒生対象:1講師につき生徒数最大10名)の直営教室を「城南コベッツ」に併設する格好で展開している。「城南予備校DUO」は、プロの講師による学習指導とAI教材を組み合わせた効率的な学習プログラムを提供している。AI教材による教育サービスは競合他社も導入し始めているが、城南進学研究社<4720>はプロ講師によるアクティブラーニング形式の指導やマンツーマン指導などのメニューを組み合わせることで差別化を図っている。また、「城南コベッツ」が個別科目の成績向上に力点を置いているのに対して、「城南予備校DUO」は、PBL(Project Based Learning:問題解決型学習)※を実践する教場として位置づけている。
※生徒が自ら課題を見つけ、その課題を解決するまでの過程で様々な知識を習得していく学習法で、アクティブラーニングの1つ。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は、前年同期比0.2%減の865百万円と会社計画を下回った。売上の内訳を見ると直営が同3.4%減の701百万円、FCが同16.8%増の164百万円となり、直営教室の落ち込みが減収要因となっている。また、2021年9月末の教室数は「城南コベッツ」の直営が前年同期比3教室減の51教室、FCが同2教室増の198教室、「城南予備校DUO」が同横ばいの14教室であった。
「城南コベッツ」「城南予備校DUO」の直営については、一部料金プランの見直しにより生徒当たり売上単価が上昇したほか、生徒指導やフォローアップの強化により退塾率も低下するなどプラス面があったものの、教室数の減少や大手塾ポータルサイトを通じたコンタクト数鈍化による生徒数の減少、並びに夏期講習売上の低迷が減収要因となった。一方、「城南コベッツ」のFCについては、教室数増加に伴う生徒数の増加に加えて、新規生徒獲得において塾ポータルサイトへの依存度が低くマイナスの影響をほとんど受けなかったことも増収要因となった。
また、当第2四半期累計の生徒数の傾向として、小学生が増加した一方で高校生が減少した。高校生については「城南予備校」を終了した影響が残っているようだ。このため、今後は高校生の新規生徒募集強化に加えて、小学生で獲得した生徒の継続率を高め、LTVを最大化していくことができるかが、再成長を目指すうえでの重要なカギを握るものと見られる。
(2) 映像事業部門
映像事業部門では、大手予備校・河合塾のフランチャイジー(FCオーナー)として「河合塾マナビス」(高校生対象)を展開している。映像授業はビデオオンデマンド方式で授業を視聴するため、生徒自身のペースで勉強を進めることができる点が特長となっており、同社はそこに予備校運営で培った指導ノウハウを組み合わせることで、高い評価を得て生徒数の獲得に成功している。具体的には、同社は予備校で大学受験指導経験のある人材が指導しているのに対して、競合FCは小・中学生向けをメインとした学習塾が多く、受験対策や進路指導等のノウハウに関して差が出ているものと思われる。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は、前年同期比20.0%増の999百万円と過去最高を大きく更新した。コロナ禍においても在宅でリモート授業を受講できるオンライン教育サービスの強みが生きた格好で、生徒数の増加が主な増収要因となった。2021年9月末の校舎数は前年同期比2校舎減の21校となった。稼働率の低い校舎を前下期に2校閉鎖したことによる。「河合塾マナビス」全体の教室数は2021年3月末時点で340校(うち、FC校舎数278校)と拡大基調が続いており、同社においても下期に1校開校予定(2022年2月)となっており、当面の目標として30校体制の構築を掲げている。
(3) 幼少教育部門
幼少教育部門では、乳幼児を対象とした育脳教室「くぼたのうけん」(直営・FC合計で17教室)、英語が学べる学童保育「放課後ホームステイ E-CAMP」(2教室)、算数に特化した個別指導塾「りんご塾」(5教室)、「城南ルミナ保育園」(1園)に加えて、2019年11月に吸収合併した(株)ジー・イー・エヌの英語スクール「ズー・フォニックス・アカデミー」(乳幼児・小学生を対象。直営・FC合計で15校)が含まれる。また、複数の教育サービスを1拠点で提供する「城南ブレインパーク」は6拠点となっている。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は、前年同期比21.8%増の297百万円となった。前年同期はコロナ禍に伴う政府の緊急事態宣言が発出されたことを受け、「くぼたのうけん」「りんご塾」「ズー・フォニックス・アカデミー」を一時的に休校(2020年4月〜5月)とした影響で売上が落ち込んでいたが、当第2四半期累計では感染防止対策を講じながら運営を継続し増収に転じている。特に、「りんご塾」は前年同期比2教室増加の5教室となったこともあり、売上高は同2.1倍増と好調に推移した。同塾は算数オリンピック※対策に特化した専門塾として、優秀な成績を上げており、今後拠点数をさらに拡大していく予定にしている。
※算数オリンピックとは、小学生以下の子どもを対象とするコンテストで、1992年より毎年開催されている。「日本数学オリンピック」参加選手の登竜門ともなっている、算数を共通語に思考力と独創性を競う大会。
「くぼたのうけん」についてはFC教室を1教室、2021年9月に開校した。既存教室については休会数が多いこともあり、コロナ禍前の水準まで回復しておらず、今後の課題となっている。また、ソリューション事業(「くぼた式育児法」を外部の教育機関(幼稚園、保育園等)に提供するサービス)における導入園数は、コロナ禍で営業活動の制限を受けた影響により、契約団体数で前期末比1件増の45件にとどまった。「ズー・フォニックス・アカデミー」の校舎数は前年同期比4校減少したものの、売上高は若干増となった。「放課後ホームステイ E-CAMP」の校舎数は2021年4月に1校を開校し2校となった。「城南ルミナ保育園」については「くぼた式育児法」の導入に加えて、「ズー・フォニックス・アカデミー」の英語教育プログラムも導入するなど、グループシナジーによる差別化戦略を推進している。
なお、2021年3月期より新たな取り組みとして開始した複合型スクール「城南ブレインパーク」は前期末比2拠点増加(御茶の水、新浦安)の6拠点となった。同パークは「くぼたのうけん」の拠点で、「りんご塾」「ズー・フォニックス・アカデミー」「アトリエ太陽の子(絵画教室)」「そろタッチ※1」といった複数の乳幼児向け教育サービスを、曜日ごとに提供している。脳育×STEAM教育※2で子どもの「たくましい知性」と「しなやかな感性」を伸ばし、発想力や想像力、数学的思考力、コミュニケーション能力などの能力開発に取り組んでいる。複数サービスを受講する生徒数も徐々に増加しているもようだ。
※1 「そろタッチ」とは、そろばんの仕組みをタブレット端末で応用した、新しい暗算学習法。
※2 STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を統合的に学習する教育理念のことを指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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