城南進研 Research Memo(5):個別指導部門を除いてすべての部門が増収に(2)
[22/01/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■城南進学研究社<4720>の業績の動向
(4) デジタル教材・ソリューション部門
デジタル教材・ソリューション部門では、「デキタス(オンライン学習教材)」「デキタス・コミュ(Web演習システム)」を学校・学習塾及びスポーツクラブ向け等に提供しており、ビジネスモデルとしてはBtoBtoC型となるが、BtoC型でのサービス提供も行っている。小中学生を対象としたオンライン教材で、教科書内容に沿った授業や演習問題が5教科すべてラインナップされている。また、オンライン環境とパソコンまたはタブレットがあれば自分のペースでいつでも学習できることや、同社グループの講師陣が監修を行っていることが特長となっている。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比1.1%増の58百万円となった。経済産業省主催の「未来の教室」実証事業に3年連続で参画しており、学習塾やスポーツクラブへの導入実績も増え始めている。2021年5月からは、フィットネスクラブを運営する(株)東急スポーツオアシスの27店舗でも提供を開始している。学校以外のID数は前年同期の1,190件から約2.4万件と急拡大している。また、学校向けではコロナ禍が続くなかで2021年9月より無償提供を開始し(期間は応相談)、151校(ID数で約7万件)が導入している。
売上高の推移を半期ベースで見ると、前下期の134百万円の水準から減少したように見えるが、これは経済産業省が2020年度に実施した「EdTech導入補助金」の効果が無くなったことによる。2021年3月期は同補助金の対象サービスの1つとして「デキタス」が採択され、下期に74校が導入した効果で売上高が伸長した(補助金の対象期限は2021年3月まで)。2022年3月期についても「EdTech導入補助金」の対象サービスとして「デキタス」が採択されており、前下期を上回る導入校数が見込まれている。
(5) グループ会社
a) 乳幼児・児童教育関連
乳幼児・児童教育関連のうち、城南ナーサリーは千葉県を中心に「星のおうち」「あっとほーむママ」「ルミナ保育園」など認可保育園8園(千葉県6園、東京都1園、神奈川県1園)を運営しており、売上高は前年同期比0.7%増の185百万円と堅調に推移した。
フェアリィーは、埼玉県内で認可保育園「ふぇありぃ保育園」を14園運営している。新規保育園を1園開設したことによる園児数の増加により、売上高は前年同期比3.9%増の263百万円となった。フェアリィーは保育士の研修・育成システムで優れたノウハウを持っており、新卒者の採用も積極的に行うなど保育士が不足する市場環境において強みとなっている。フェアリィーの育成ノウハウをグループで共有し、従来は経験者限定で採用を行っていた他の保育園も新卒者の採用を開始しており、シナジー効果が徐々に顕在化し始めている。また、同社では保護者の在宅勤務増加や出生数の減少を背景に、新規園児の獲得に苦戦すると見て若干の減収計画を立てていたが、「くぼた式育児法」の導入による差別化戦略に取り組んだ効果もあって、売上高は計画を上回る進捗となった。
リトルランドは、0〜5才児を対象とした「くぼたのうけん(旧クボタメソッド能力開発教室)※」を首都圏で8教室運営しているほか、「こども英語クラブ」「アトリエ太陽の子」など乳幼児・児童を対象とした各種教室を運営している。また、「クボタメソッド」をピアノレッスンに取り入れた「ピアノdeクボタメソッド」認定教室が全国に約400教室あり、認定講師になるための講習会(現在はオンライン講習)を同子会社で開催している。
※2021年1月に同社の「くぼた式育児法」と統合し、名称を統一している。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は、前年同期比38.1%増の66百万円となった。前年同期はコロナ禍に伴う政府の緊急事態宣言発出を受けて、2020年4月から5月にかけてすべての教室を休業とした反動増となっている。ただ、コロナ禍前の水準までは回復しておらず、コロナ禍の影響が少なからず続いているものと見られる。
2021年3月期第2四半期から連結対象となったTresterは、ネイティブ英語環境下での学童保育施設6校を運営しており、売上高は前年同期比154.9%増の108百万円となった。期初からフルに売上貢献したことに加えて、新規に1校開校したことによる生徒数の増加が増収要因となった。今後も質の高い英語学童保育サービスの提供に取り組み、幼児教育部門の事業規模拡大につなげていく戦略となっている。
b) 英語教育関連
英語教育関連のうち、リンゴ・エル・エル・シーは、TOEFL®TESTやIELTSTM対策など留学試験対策専門予備校を1校運営している。オンライン授業への対応も行っているが、コロナ禍で留学の機会がなくなった影響により受講生徒数の回復も鈍く、売上高は前年同期比9.4%増の29百万円にとどまった。なお、同子会社は、大学入試改革への対策として、4技能(読む、聞く、話す、書く)対策教材(5 Codes English)を開発しており、「城南予備校DUO」「城南コベッツ」で提供する学習プログラムのオプションメニューの1つとして組み入れている。
アイベックは、企業向けビジネス英語研修、英会話スクール(1校)を運営している。提供する「iBEC(アイベック)メソッド」は、異文化対応能力やクリティカルシンキング等のグローバルビジネス環境に対応できるリーダーの養成メソッドとして定評がある。また、ケンブリッジ英検の「公認テストセンター」の受託も行っている。同子会社についても、オンラインレッスン「スカイプレッスン」の受講者増加により、売上高は前年同期比32.7%増の66百万円となったものの、海外出張の減少による法人向け英語研修の低迷により、コロナ禍前の水準と比較すると6〜7割の水準にとどまっている。
c) その他
スポーツ関連では、スイミングスクール等の運営を行う久ケ原スポーツクラブの売上高が前年同期比58.9%増の185百万円と、コロナ禍前の水準まで回復した。前年同期は緊急事態宣言の発出に伴う一時休業(2020年4月〜5月)を強いられたため、売上高が落ち込んでいたが、当期は通常の営業体制に戻ったことや「デキタス」「りんご塾」などの教育サービスを受講する生徒も増えたことが増収要因となった。
2021年6月より連結対象に加わったイオマガジンの売上高は33百万円であった。同子会社は「デキタス」のコンテンツ開発やシステム開発等を行っているほか、大企業や大学などで利用されているオンライン学習管理システム「Moodle(ムードル)」※の国内における正式パートナーとして導入支援・サポートを行っている。
※「Moodle」はオープンソースのeラーニングプラットフォームで、世界230ヶ国以上、約1.4億人が利用しており、日本でも大企業や大学などで利用されている。同子会社は2016年に正式パートナーとして認定され、サーバー構築から設定、運用、カスタマイズ開発を行っており、2021年7月より利活用促進のためのサポートサービスも開始している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(4) デジタル教材・ソリューション部門
デジタル教材・ソリューション部門では、「デキタス(オンライン学習教材)」「デキタス・コミュ(Web演習システム)」を学校・学習塾及びスポーツクラブ向け等に提供しており、ビジネスモデルとしてはBtoBtoC型となるが、BtoC型でのサービス提供も行っている。小中学生を対象としたオンライン教材で、教科書内容に沿った授業や演習問題が5教科すべてラインナップされている。また、オンライン環境とパソコンまたはタブレットがあれば自分のペースでいつでも学習できることや、同社グループの講師陣が監修を行っていることが特長となっている。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比1.1%増の58百万円となった。経済産業省主催の「未来の教室」実証事業に3年連続で参画しており、学習塾やスポーツクラブへの導入実績も増え始めている。2021年5月からは、フィットネスクラブを運営する(株)東急スポーツオアシスの27店舗でも提供を開始している。学校以外のID数は前年同期の1,190件から約2.4万件と急拡大している。また、学校向けではコロナ禍が続くなかで2021年9月より無償提供を開始し(期間は応相談)、151校(ID数で約7万件)が導入している。
売上高の推移を半期ベースで見ると、前下期の134百万円の水準から減少したように見えるが、これは経済産業省が2020年度に実施した「EdTech導入補助金」の効果が無くなったことによる。2021年3月期は同補助金の対象サービスの1つとして「デキタス」が採択され、下期に74校が導入した効果で売上高が伸長した(補助金の対象期限は2021年3月まで)。2022年3月期についても「EdTech導入補助金」の対象サービスとして「デキタス」が採択されており、前下期を上回る導入校数が見込まれている。
(5) グループ会社
a) 乳幼児・児童教育関連
乳幼児・児童教育関連のうち、城南ナーサリーは千葉県を中心に「星のおうち」「あっとほーむママ」「ルミナ保育園」など認可保育園8園(千葉県6園、東京都1園、神奈川県1園)を運営しており、売上高は前年同期比0.7%増の185百万円と堅調に推移した。
フェアリィーは、埼玉県内で認可保育園「ふぇありぃ保育園」を14園運営している。新規保育園を1園開設したことによる園児数の増加により、売上高は前年同期比3.9%増の263百万円となった。フェアリィーは保育士の研修・育成システムで優れたノウハウを持っており、新卒者の採用も積極的に行うなど保育士が不足する市場環境において強みとなっている。フェアリィーの育成ノウハウをグループで共有し、従来は経験者限定で採用を行っていた他の保育園も新卒者の採用を開始しており、シナジー効果が徐々に顕在化し始めている。また、同社では保護者の在宅勤務増加や出生数の減少を背景に、新規園児の獲得に苦戦すると見て若干の減収計画を立てていたが、「くぼた式育児法」の導入による差別化戦略に取り組んだ効果もあって、売上高は計画を上回る進捗となった。
リトルランドは、0〜5才児を対象とした「くぼたのうけん(旧クボタメソッド能力開発教室)※」を首都圏で8教室運営しているほか、「こども英語クラブ」「アトリエ太陽の子」など乳幼児・児童を対象とした各種教室を運営している。また、「クボタメソッド」をピアノレッスンに取り入れた「ピアノdeクボタメソッド」認定教室が全国に約400教室あり、認定講師になるための講習会(現在はオンライン講習)を同子会社で開催している。
※2021年1月に同社の「くぼた式育児法」と統合し、名称を統一している。
2022年3月期第2四半期累計の売上高は、前年同期比38.1%増の66百万円となった。前年同期はコロナ禍に伴う政府の緊急事態宣言発出を受けて、2020年4月から5月にかけてすべての教室を休業とした反動増となっている。ただ、コロナ禍前の水準までは回復しておらず、コロナ禍の影響が少なからず続いているものと見られる。
2021年3月期第2四半期から連結対象となったTresterは、ネイティブ英語環境下での学童保育施設6校を運営しており、売上高は前年同期比154.9%増の108百万円となった。期初からフルに売上貢献したことに加えて、新規に1校開校したことによる生徒数の増加が増収要因となった。今後も質の高い英語学童保育サービスの提供に取り組み、幼児教育部門の事業規模拡大につなげていく戦略となっている。
b) 英語教育関連
英語教育関連のうち、リンゴ・エル・エル・シーは、TOEFL®TESTやIELTSTM対策など留学試験対策専門予備校を1校運営している。オンライン授業への対応も行っているが、コロナ禍で留学の機会がなくなった影響により受講生徒数の回復も鈍く、売上高は前年同期比9.4%増の29百万円にとどまった。なお、同子会社は、大学入試改革への対策として、4技能(読む、聞く、話す、書く)対策教材(5 Codes English)を開発しており、「城南予備校DUO」「城南コベッツ」で提供する学習プログラムのオプションメニューの1つとして組み入れている。
アイベックは、企業向けビジネス英語研修、英会話スクール(1校)を運営している。提供する「iBEC(アイベック)メソッド」は、異文化対応能力やクリティカルシンキング等のグローバルビジネス環境に対応できるリーダーの養成メソッドとして定評がある。また、ケンブリッジ英検の「公認テストセンター」の受託も行っている。同子会社についても、オンラインレッスン「スカイプレッスン」の受講者増加により、売上高は前年同期比32.7%増の66百万円となったものの、海外出張の減少による法人向け英語研修の低迷により、コロナ禍前の水準と比較すると6〜7割の水準にとどまっている。
c) その他
スポーツ関連では、スイミングスクール等の運営を行う久ケ原スポーツクラブの売上高が前年同期比58.9%増の185百万円と、コロナ禍前の水準まで回復した。前年同期は緊急事態宣言の発出に伴う一時休業(2020年4月〜5月)を強いられたため、売上高が落ち込んでいたが、当期は通常の営業体制に戻ったことや「デキタス」「りんご塾」などの教育サービスを受講する生徒も増えたことが増収要因となった。
2021年6月より連結対象に加わったイオマガジンの売上高は33百万円であった。同子会社は「デキタス」のコンテンツ開発やシステム開発等を行っているほか、大企業や大学などで利用されているオンライン学習管理システム「Moodle(ムードル)」※の国内における正式パートナーとして導入支援・サポートを行っている。
※「Moodle」はオープンソースのeラーニングプラットフォームで、世界230ヶ国以上、約1.4億人が利用しており、日本でも大企業や大学などで利用されている。同子会社は2016年に正式パートナーとして認定され、サーバー構築から設定、運用、カスタマイズ開発を行っており、2021年7月より利活用促進のためのサポートサービスも開始している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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