ジェイ・エス・ビー Research Memo(8):中期経営計画初年度は当初計画を超過達成、目標数値を上方修正(2)
[22/01/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ジェイ・エス・ビー<3480>の中長期の成長戦略
(2) 高齢者住宅事業
高齢者住宅事業のコンセプトは「高齢者住宅をコアに多世代共生型のまちづくりを目指す」である。具体的には高齢者住宅入居者の不動産利活用によって空き家問題を解決し、地域の公民館化、在宅生活支援、オンライン公民館化などを通じて地域課題を解決する事業展開を図ることとしている。
こうした高齢者住宅事業のコンセプトに基づいて、中期経営計画では以下の施策を計画する。
第1に、高齢者住宅の地域公民館化の推進を図る。実現に向けた施策として、1)リアルとオンラインのハイブリッド型による公民館化の推進、2)地域イベントの開催サポート、3)高齢者住宅間の相互訪問による交流などを計画する。京都羽束師にて循環型社会を意識した地域住民向けの古着・おもちゃの再利用イベントを開催し、また地域との交流促進に向け地域包括支援センターとボッチャ体験会を継続開催しており、進捗評価はBで予定どおりに進捗している。2022年10月期からは、大阪府内2棟目の高齢者向け住宅 「グランメゾン迎賓館 豊中刀根山」が本格稼働し、24時間介護士と日中看護による安心サポートを行うほか、公民館化の取り組みを実施する予定だ。
第2に、高齢者所有不動産の利活用促進を目指す。そのための施策として、1)高齢者住宅への入居時等に所有不動産の利活用・売却支援、2)世代間ホームシェア、3)生前整理サポートなどを計画している。高齢者住宅への入居時に自宅等の所有不動産の売却を支援し地域の空き家課題解決にもつなげていることから、進捗評価はBで予定どおりに進捗している。
同社では、2021年3月にハウスドゥグループとの業務提携を行い、高齢者住宅への入居者に対し自宅などの不動産の査定・売却、不動産に関する情報提供、不動産有効活用等に関する提案を開始しており、高齢者住宅周辺に極力空き家を発生させずに地域の活力維持につなげていく方針だ。
第3に、在宅生活支援の拡充を図る。実現のための施策として、1)福祉用具貸与及び介護リフォームの提供エリア拡大、2)見守り事業の開始、3)看護体制強化、ヘルステックの利活用などを計画する。既に大阪北摂エリア、京都市右京区において在宅高齢者向けに見守りサービスを開始し、また一部の高齢者住宅では掃除ロボットや見守り機器を導入し、DXによる生産性の向上を図っており、進捗評価はBで予定どおりに進捗している。
在宅生活支援の拡充の一環として、DXによる生産性向上を図っている。一部住宅に導入した掃除ロボット「Whiz i(ウィズ アイ)」は、自動運転で清掃を行うことで職員は介護業務に専念できる。同じく、24時間見守り機器「Tellus(テラス)」も、見守り介護を拡充することで職員の負担軽減も実現している。また、一部の当社高齢者住宅では地域住民の在宅生活支援のため、入居者に提供している夕食とほぼ同じメニューの「おとなりさん弁当」を提供し、適切な栄養分の摂取と健康寿命延伸の両立を目指している。
(3) 新規事業
中期経営計画では、従来からの事業の柱である不動産賃貸管理事業と高齢者住宅事業に加えて、新規事業の強化も計画する。グループシナジーの発揮を目指した施策として、1)新たな若者成長支援サービス開始、2)HR(人材)事業プラットフォームの提供開始、3)留学生や外国人材の活躍促進などを推進する。物件内や学びのプログラム計画による付加価値サービスの開始、最適なHR事業プラットフォームの構築を目指すため各事業の地力強化・連携検討を推進、日本語学校における就職を目指すコースの設立などを実施しており、進捗評価はAで予定を上回る順調な進捗をしている。
学生マンション事業を展開するUniLifeの入居者に対して、学生に対する就職活動、キャリアアップ、学生生活支援を行うOVO、大学生を対象にしたキャリア教育・支援を行うスタイルガーデン、AI人材のプラットフォーム事業を行うMewcket、幼児教室を運営するUniOVOこどもの森、日本語学校の日本国際語学アカデミーなど、同社グループの各社が協力・連携することでグループシナジーを発揮する計画である。そのなかから、将来の事業の柱となる新たな事業を発掘し、育成を図る戦略である。実績として、Mewcketでは、同社のデータを用いたハッカソンン(プログラマやエンジニアなどが集まり、課題解決に向けて意見を交わし、集中的にシステム開発やデータ分析モデル開発を行うイベント)を開催し、賃料推定モデルを策定した。また、スタイルガーデンでは、入居学生を中心にビジネススクール、インターンシップ、キャリア支援を通じて、決断力、行動力、実現力の育成を図るなど、大学生キャリア教育・支援の地域拡大を図っている。
3. ESGへの取り組み
同社では、「豊かな生活空間の創造」を経営理念として掲げており、ESG(環境・社会・ガバナンス)にも積極的に取り組んでいる。環境(Environment)では、低炭素型社会実現へ向けてDXにより生産性を向上するとともにペーパーレス化を推進し、学生マンション・高齢者住宅等で古着の回収・販売を開始している。社会(Social)では、「Little You 2021~World Shift~supported by UniLife」の公式冠スポンサーに就任し、叶えたい夢がある学生に対して自由に使える資金の支給をサポートし、また「学生下宿年鑑2022 表紙デザインコンペ」を実施している。さらに、ガバナンス(Governance)では、企業価値の最大化に向けて、任意の委員会として報酬委員会を設置するとともに取締役への業績連動報酬制度や株式報酬制度を導入している。このように、同社グループは業績拡大を目指すだけでなく、ESGにも積極的に取り組んでいる。「Global Sustainable Investment Review:Trends Report 2020」によれば、世界的に企業の環境・社会・ガバナンスへの姿勢を重視して企業を選別する「ESG投資」が拡大しており、わが国でも2014年の70億米ドルから2020年には2兆8,740億米ドルへと急拡大している。その意味でも、同社グループの取り組みが注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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(2) 高齢者住宅事業
高齢者住宅事業のコンセプトは「高齢者住宅をコアに多世代共生型のまちづくりを目指す」である。具体的には高齢者住宅入居者の不動産利活用によって空き家問題を解決し、地域の公民館化、在宅生活支援、オンライン公民館化などを通じて地域課題を解決する事業展開を図ることとしている。
こうした高齢者住宅事業のコンセプトに基づいて、中期経営計画では以下の施策を計画する。
第1に、高齢者住宅の地域公民館化の推進を図る。実現に向けた施策として、1)リアルとオンラインのハイブリッド型による公民館化の推進、2)地域イベントの開催サポート、3)高齢者住宅間の相互訪問による交流などを計画する。京都羽束師にて循環型社会を意識した地域住民向けの古着・おもちゃの再利用イベントを開催し、また地域との交流促進に向け地域包括支援センターとボッチャ体験会を継続開催しており、進捗評価はBで予定どおりに進捗している。2022年10月期からは、大阪府内2棟目の高齢者向け住宅 「グランメゾン迎賓館 豊中刀根山」が本格稼働し、24時間介護士と日中看護による安心サポートを行うほか、公民館化の取り組みを実施する予定だ。
第2に、高齢者所有不動産の利活用促進を目指す。そのための施策として、1)高齢者住宅への入居時等に所有不動産の利活用・売却支援、2)世代間ホームシェア、3)生前整理サポートなどを計画している。高齢者住宅への入居時に自宅等の所有不動産の売却を支援し地域の空き家課題解決にもつなげていることから、進捗評価はBで予定どおりに進捗している。
同社では、2021年3月にハウスドゥグループとの業務提携を行い、高齢者住宅への入居者に対し自宅などの不動産の査定・売却、不動産に関する情報提供、不動産有効活用等に関する提案を開始しており、高齢者住宅周辺に極力空き家を発生させずに地域の活力維持につなげていく方針だ。
第3に、在宅生活支援の拡充を図る。実現のための施策として、1)福祉用具貸与及び介護リフォームの提供エリア拡大、2)見守り事業の開始、3)看護体制強化、ヘルステックの利活用などを計画する。既に大阪北摂エリア、京都市右京区において在宅高齢者向けに見守りサービスを開始し、また一部の高齢者住宅では掃除ロボットや見守り機器を導入し、DXによる生産性の向上を図っており、進捗評価はBで予定どおりに進捗している。
在宅生活支援の拡充の一環として、DXによる生産性向上を図っている。一部住宅に導入した掃除ロボット「Whiz i(ウィズ アイ)」は、自動運転で清掃を行うことで職員は介護業務に専念できる。同じく、24時間見守り機器「Tellus(テラス)」も、見守り介護を拡充することで職員の負担軽減も実現している。また、一部の当社高齢者住宅では地域住民の在宅生活支援のため、入居者に提供している夕食とほぼ同じメニューの「おとなりさん弁当」を提供し、適切な栄養分の摂取と健康寿命延伸の両立を目指している。
(3) 新規事業
中期経営計画では、従来からの事業の柱である不動産賃貸管理事業と高齢者住宅事業に加えて、新規事業の強化も計画する。グループシナジーの発揮を目指した施策として、1)新たな若者成長支援サービス開始、2)HR(人材)事業プラットフォームの提供開始、3)留学生や外国人材の活躍促進などを推進する。物件内や学びのプログラム計画による付加価値サービスの開始、最適なHR事業プラットフォームの構築を目指すため各事業の地力強化・連携検討を推進、日本語学校における就職を目指すコースの設立などを実施しており、進捗評価はAで予定を上回る順調な進捗をしている。
学生マンション事業を展開するUniLifeの入居者に対して、学生に対する就職活動、キャリアアップ、学生生活支援を行うOVO、大学生を対象にしたキャリア教育・支援を行うスタイルガーデン、AI人材のプラットフォーム事業を行うMewcket、幼児教室を運営するUniOVOこどもの森、日本語学校の日本国際語学アカデミーなど、同社グループの各社が協力・連携することでグループシナジーを発揮する計画である。そのなかから、将来の事業の柱となる新たな事業を発掘し、育成を図る戦略である。実績として、Mewcketでは、同社のデータを用いたハッカソンン(プログラマやエンジニアなどが集まり、課題解決に向けて意見を交わし、集中的にシステム開発やデータ分析モデル開発を行うイベント)を開催し、賃料推定モデルを策定した。また、スタイルガーデンでは、入居学生を中心にビジネススクール、インターンシップ、キャリア支援を通じて、決断力、行動力、実現力の育成を図るなど、大学生キャリア教育・支援の地域拡大を図っている。
3. ESGへの取り組み
同社では、「豊かな生活空間の創造」を経営理念として掲げており、ESG(環境・社会・ガバナンス)にも積極的に取り組んでいる。環境(Environment)では、低炭素型社会実現へ向けてDXにより生産性を向上するとともにペーパーレス化を推進し、学生マンション・高齢者住宅等で古着の回収・販売を開始している。社会(Social)では、「Little You 2021~World Shift~supported by UniLife」の公式冠スポンサーに就任し、叶えたい夢がある学生に対して自由に使える資金の支給をサポートし、また「学生下宿年鑑2022 表紙デザインコンペ」を実施している。さらに、ガバナンス(Governance)では、企業価値の最大化に向けて、任意の委員会として報酬委員会を設置するとともに取締役への業績連動報酬制度や株式報酬制度を導入している。このように、同社グループは業績拡大を目指すだけでなく、ESGにも積極的に取り組んでいる。「Global Sustainable Investment Review:Trends Report 2020」によれば、世界的に企業の環境・社会・ガバナンスへの姿勢を重視して企業を選別する「ESG投資」が拡大しており、わが国でも2014年の70億米ドルから2020年には2兆8,740億米ドルへと急拡大している。その意味でも、同社グループの取り組みが注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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