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ティアンドエス Research Memo(1):全事業カテゴリー好調により、前期比2桁の大幅増収・増益を達成

注目トピックス 日本株
■要約

ティアンドエス<4055>は重電系や半導体工場などを始めとする大規模システム開発を得意とする独立系ソフトウェア受託開発会社である。東芝<6502>グループ、日立製作所<6501>グループ(以下、日立グループ)、キオクシア(株)グループを主要顧客に、システムの要件定義から保守・運用までバリューチェーン全体にわたるサービスを提供している。長年にわたりこれらの大手顧客と信頼関係を築いてきたことによって優良単価で案件を受注することが可能になっている点は注目に値すると弊社は考える。事業セグメントは、収益の基盤であるソリューションカテゴリー、安定した成長が見込める半導体カテゴリー、将来の成長が見込まれる先進技術ソリューションカテゴリーの3つに分かれている。

1. 2021年11月期の業績概要
2021年11月期の売上高と当期純利益はそれぞれ前期比20.5%増の2,732百万円、同24.7%増の294百万円と大幅に伸長し、そろって過去最高を記録した。その他の利益も軒並み好調。営業利益が同35.6%増の412百万円に拡大したほか、経常利益も同37.7%増の419百万円に膨らんでいる。好業績を受け、売上高及び各利益がそろって2021年1月時点の業績予想(売上高:2,464百万円、営業利益:322百万円、経常利益:328百万円)を大幅に上回る形で着地した。注目すべきは、利益率の高さであると弊社は考えている。今期の営業利益率は、15.1%。2020年3月期決算短信集計(市場第一部・市場第二部・マザース・JASDAQ)における情報・通信業の営業利益率は9.12%であり、この数値と比較すると利益率の高さが際立っていると言えるだろう。

好業績の要因は、すべての事業カテゴリー(ソリューション、半導体、先進技術ソリューション)が前期比ベースで伸びたこと、特に主要顧客であるキオクシアグループの半導体工場向けシステムが好調だったこと??などを追い風に、業績が大きく伸びた。

2. 2022年11月期の業績見通し
2022年11月期も同社は、今期に引き続き過去最高収益を更新することを見込んでいる。引き続き大手主要顧客からの重電・インフラ関連の受注が好調に推移することによってソリューションカテゴリーが順調に伸びると予想しているほか、キオクシアグループの半導体工場新設に伴い、システム開発、保守・運用への需要がさらに高まると見込んでいる。同社の安定した収益源である半導体カテゴリーは、半導体生産量の増減にかかわらず工場が稼働している限り継続的に需要が発生するという性質を持っている。したがって、キオクシアグループの既存工場並びに新規工場増設などを背景に引き続き受注が安定的に推移していくと弊社は考えている。また、先進技術ソリューションカテゴリーも好業績に貢献してきそうだ。売上高に占める割合はまだ少ないものの、AI領域における同社の強みが顧客に認識されてきたこと、そうしたなかで新規顧客が増加傾向にあること??などを背景に、売上の拡大が継続すると同社は見込んでいる。

具体的には、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益がそれぞれ3,100百万円(前期比13.4%増)、550百万円(同33.2%増)、557百万円(同32.9%増)、391百万円(同32.7%増)に拡大すると想定している。

3. 中期の成長戦略
2022年1月時点の中期経営計画によると同社は、業績の基盤となるソリューションカテゴリーを堅調に成長させつつ、そこで生まれたキャッシュを安定した収益が見込める半導体カテゴリーに加え、成長領域かつ新たな収益基盤になる可能性を秘める先進技術ソリューションカテゴリーに重点的に投資していきたい考えだ。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進への需要増に応えるために最新技術によるソリューションを顧客のニーズに沿った形で提案することなどを目指す「顧客ファースト」、東北大学と共同研究を行うスピントロニクス技術を用いた「Only One Technology」の獲得、人材採用の促進をはじめとする「経営基盤の強化」という3つの戦略を軸に持続的な企業価値の向上を実現し、100年企業を目指していく構えだ。

ソリューションカテゴリー、半導体カテゴリーにおける強固な顧客基盤があるからこそ安定してキャッシュを生み出し続けることができ、先進技術ソリューションカテゴリーを次なる収益源に育てるための投資を継続して行っていくことができる環境が整っていると弊社は考えている。

■Key Points
・2021年11月期の業績は、全事業カテゴリーの伸長により2ケタの増収・増益と過去最高業績を達成
・キオクシアグループからの受注好調が予想され、2022年11月期も過去最高業績を2期連続で更新する見通し
・中期的にはソリューションカテゴリーでしっかりとキャッシュを生み出し、半導体カテゴリーと先進技術ソリューションカテゴリーに重点投資することによって100年企業を目指す方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)



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