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TOKAI Research Memo(4):2022年3月期業績も増収増益が続き、過去最高を更新する見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2022年3月期の業績見通し
TOKAIホールディングス<3167>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.2%増の207,000百万円、営業利益で同0.1%増の15,240百万円、経常利益で同0.1%増の15,320百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.2%増の8,830百万円と期初計画を据え置いている。売上高は継続取引顧客件数の積み上げや法人向け情報通信事業の拡大、建築設備不動産事業におけるM&A効果等により増収を見込む。利益面では、顧客獲得コストの増加やワークスタイル改革のための環境整備費用(約5億円)、設備投資拡大に伴う減価償却費の増加(約5億円)などを見込んでいるため微増益にとどまる見通し。

第3四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で72.2%、営業利益で60.7%となっており、直近3年間の平均進捗率とほぼ同様のペースとなっている。売上高はエネルギー事業や情報通信事業、アクア事業における顧客件数が当初計画を下回る可能性が高いものの、LPガスや都市ガス料金の値上げ効果で吸収可能と見られる。一方、営業利益も第3四半期まで社内計画を数億円程度上回って進捗しており、今後市場環境に大きな変化がなければ達成できる見通しだ。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別損失の計上により第3四半期までの進捗率が52.5%とやや低くなっているが、第4四半期に特別利益の計上を見込んでいることもあり、会社計画を確保できるものと予想される。

(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前期比4.0%増、営業利益は5.6%減と増収減益を見込む。前提となる家庭用LPガスの販売単価は前期比横ばいを想定していたため、第3四半期以降の値上げは売上高の上振れ要因となる。LPガスの顧客件数は前期末比57千件増加の738千件の計画に対して、第3四半期までで24千件の増加にとどまっている。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)でM&A・アライアンスの交渉が延伸していることなどが響いている。ただ、LPガス業界における大手資本への集約化が進む流れは変わらないと見られ、コロナ禍が収束すれば顧客獲得ぺースも上がってくるものと弊社では予想している。なお、同社は2021年10月に熊本市(熊本県)、2022年1月に福山市(広島県)にそれぞれ営業拠点を新たに開設しており、両地域で合わせて2.6千件の顧客獲得を見込んでいる。

(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比3.2%増、営業利益は横ばい水準を見込んでいる。売上高はコンシューマー向けの顧客件数が想定を下回っていることから若干下振れする可能性が高いものの、利益面では顧客獲得コストの減少や法人向けの好調により計画を上回るものと予想される。コンシューマー向けの顧客件数は、ISPサービス(光コラボ含む)で前期末比横ばい水準の732千件、LIBMOで同8千件増加の61千件を計画していたが、第3四半期までの実績はISPサービスで同7千件の減少、LIBMOで同2千件の増加にとどまっている。

法人向け事業では、2021年12月にSCSK<9719>のデータセンター拠点であるnetXDC印西キャンパス(千葉県印西市)内に、TOKAIコミュニケーションズが提供するキャリア・企業向け通信サービス「BroadLine」の接続ポイントを開設し、同データセンターの利用顧客向けに通信サービスの提供を開始している。また、同年11月にTOKAIコミュニケーションズと監査法人3社(仰星監査法人、監査法人アヴァンティア、RSM清和監査法人)の共同出資により、(同)監査D&Iコンソーシアム(ADIC)を設立した。中小監査法人向けに電子監査調査システム※をセキュアに利用できる共通ITインフラ環境を提供していく。既に3社に対して共通ITインフラを導入済みであり、今後、ほかの中小監査法人向けに電子監査調査システムの導入が拡大していけば、ITインフラサービスの売上増が見込めることになる。

※監査法人が作成し整理保管する義務を負う監査調書を電子的に統合管理するシステム。ADICでは、アヴァンティアが自社開発した「AQuA」のライセンス販売・導入支援のほか、カナダCaseWare International Inc.製の「CaseWare Working Papers」の導入支援などを行っていく。


(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比3.5%減、営業利益は同7.7%増と減収増益を見込む。会計方針変更の影響で20億円の減収要因となるが、実質的には2%程度の増収となる。顧客件数は前期末比25千件増の1,223千件(うち放送サービスで同8千件増の883千件、通信サービスで同18千件増の340千件)を計画しているが、第3四半期末で同26千件の増加(うち放送サービスで同10千件増、通信サービスで同16千件増)となっており、通期業績も計画を上回る可能性が高い。

(4) 建築設備不動産事業、アクア事業、その他
建築設備不動産事業の売上高は前期比25.2%増、営業利益は同14.5%増と2ケタ増収増益を見込む。コロナ禍の影響で2021年3月期に落ち込んだ既存事業の回復とM&Aで取得した子会社の収益貢献を見込んでいる。また、アクア事業の売上高は前期比4.3%増、営業利益は横ばいを見込む。顧客件数は前期末比9千件増加の171千件を計画しているが、第3四半期までで3千件の増加にとどまっていることから、計画をやや下回る可能性がある。その他事業の売上高は前期比14.6%増となる見通し。コロナ禍のマイナス影響が一巡し、介護事業が堅調に推移するほか、婚礼催事事業についても回復を見込んでいる。一方、社内調整額も含めた損失額はワークスタイル改革に伴う関連費用の計上により、3億円程度拡大する見込みとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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