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アドバンクリエ Research Memo(6):保険代理店事業の収益性が大きく向上

注目トピックス 日本株
■アドバンスクリエイト<8798>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比2.0%増の9,103百万円、営業利益は同69.5%増の1,472百万円と過去最高を更新し、営業利益率も前期の9.7%から16.2%へと大きく上昇した。営業利益率に関してはここ数年間10%前後の水準で推移していたが、過去最高水準だった2011年9月期の17.0%に迫る水準まで上昇した。なお、同事業部門のうち外部顧客売上高は前期比3.9%増の8,303百万円、内部取引高(保険市場の広告収入に該当)は同13.9%減の799百万円となっている。

売上高の増加要因は、アポイント数の増加に伴って成約件数が増加したことによる。アポイント数については、前期比で1割強増加し、このうち4割はオンライン面談によるものとなった。上期はコロナ禍の影響で実面談件数の減少が続いたが、オンライン面談件数の増加によりカバーした。また、下期は第4四半期にかけてやや失速したものの、実面談件数が徐々に回復するなかで、オンライン面談件数も引き続き底堅く推移した。

成約件数の増加に伴い申込ANP(新契約年換算保険料)※1は、前期比4.1%増の8,578百万円と2期ぶりに増加に転じた。販売チャネル別では対面販売(直営店、オンライン保険相談含む)がオンライン保険相談件数の増加もあって同14.9%増の4,272百万円となり、提携代理店による協業販売も同13.3%増の1,787百万円と増加した。一方で、非対面販売(通信販売及びネット完結型販売)は前期に大きく伸長した反動で同14.5%減の2,518百万円と減少に転じた。なお実際の売上となるPV※2については、全体で同8.8%増の8,192百万円と過去最高を更新している。また、契約件数の増加により、期末の保有保険契約数は前期末比9.8%増の636千件と伸びが加速した格好となっている。

※1 ANP(Annualized New business Premium)とは新規契約分の年換算保険料のこと。例えば、月額保険料が5,000円の場合、ANPは6万円となる。
※2 PV(Present Value)とは、保険代理店手数料収入の将来キャッシュ・フローの割引現在価値のこと。同社はPVを売上として計上している。


営業利益率の上昇要因は主に2点ある。第1に、Webプロモーションコストの低減が挙げられる。SEO対策により「保険市場」への集客数を増やすだけでなく、アポイントにつながる可能性の高い顧客属性をAIで解析することによって効率的なプロモーション施策を実施できたこと、またSNS並びにキュレーションサイトを活用したプロモーション施策も集客数の増加に貢献し、費用対効果を高める一因となった。第2に、2020年9月期はオンライン保険相談サービスの立ち上げに伴い一時的に生産性が低下していたが、2021年9月期はオンライン面談の生産性が上昇したことが利益率の上昇要因となった。具体的には、オンライン保険相談での生産性は前期比で13%上昇したほか、1時間当たりの生産性についても訪問面談より10%上回る結果となった。オンライン保険相談における経験やノウハウを蓄積できたことにより、若手社員を中心に生産性の向上が顕著だったようだ。

(2) ASP事業
ASP事業の売上高は前期比6.4%増の195百万円、営業利益は同287.1%増の50百万円となった。主要サービスにおける契約ID数の増加によるストック収入の拡大が増収増益要因となった。ただ、コロナ禍で新規顧客開拓のための営業活動が制限を受けたことで、導入時に計上する一時売上が伸び悩んだこともあり、成長率は同社の想定に届かなかったようだ。

主要サービスの契約ID数を見ると、顧客管理システム「御用聞き」が前期末比17.9%増の3,216件、申込共通プラットフォームシステム「丁稚」が同9.0%増の5,531件となったほか、2021年3月より外販を開始したオンラインビデオ通話システム「Dynamic OMO」が267件となった。「御用聞き」「丁稚」に関しては保険代理店向けで導入が進み、「Dynamic OMO」に関しては、その機能性が評価され保険代理店だけでなく保険会社(チューリッヒ生命保険(株))やクレジットカード会社((株)ジェーシービー)にも導入が広がっており、導入社数は2022年1月時点で約40社となっている。

また、証券管理アプリ「folder」については、期末でダウンロード件数が87.5千件と前期末比で約2.9倍に急増しており、2021年11月には10万件を突破したことを発表している。同アプリは無償利用だが、「folder」を通じてアポイントを取ることができるほか、保険証券を確認して見直し提案を「Dynamic OMO」で実施するなど新たな営業ツールとしての活用が進んでおり、間接的に収益貢献につながっている。2020年秋からは外販もスタートしており、将来的には1,000万件のダウンロード数を目標としている。

(3) メディア事業
メディア事業の売上高は前期比17.6%減の1,030百万円、営業利益は同15.4%減の221百万円となった。保険選びサイト「保険市場」への広告出稿がコロナ禍の影響もあって低調に推移したことが要因となっている。

(4) メディアレップ事業
メディアレップ事業の売上高は前期比横ばいの807百万円、営業利益は165百万円(前期は92百万円の損失)となった。売上高に関しては内部取引高が同54.8%減の260百万円と減少した一方で、外部顧客売上高が同137.6%増の546百万円と好調に推移した。同社の費用対効果の高い広告運用サービスが評価され、取引先が増加した。2020年9月期は先行投資を実施したことで営業損失を計上したが、同投資が一巡したこともあり、2021年9月期は損益が大きく改善した。

(5) 再保険事業
再保険事業の売上高は前期比10.7%増の942百万円、営業利益は同1.2%減の129百万円となった。再保険契約額の積み上げによって売上高は増収基調が続いたものの、利益に関しては費用の計上時期が一部前倒しになった影響で減益となっている。2021年9月末時点における契約先企業数は、前期と同じく11社(生命保険8社、損害保険2社、少額短期保険1社)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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